(*この記事は、Ralph Breaks the Internet のボーナスコンテンツに関するネタバレを含みます*)
ボーナスコンテンツ "The Music of Ralph Breaks the Internet" の "A Place Called Slaughter Race" のパートのインタビューを文字起こしし、翻訳したメモ形式の記事です。
Producer Clark Spencer プロデューサー クラーク・スペンサー:
There was a moment in time where we were trying to figure out how do we make very clear to the audience that Vanellope is falling in love with this world go Slaughter Race? この映画の製作中に、どうしたら観客に対してとてもわかりやすい形でヴァネロペがこのスローター・レースという世界に惚れ込んでいるかを伝えられるか考えていた時があったんです。
In typical Disney musical fashion, it would be an “I want” song. まぁ典型的なディズニーミュージカルのパターンでは、それは『I Want』ソングになるんでしょうが。
Director Phil Johnston 監督 フィル・ジョンストン:
It came, weirdly, organically out of just that idea of what if she sang a song? 変な話なんだけど、自然にヴァネロペが歌を歌ったらいいんじゃないかってアイデアが浮かんできたんです。
And then what if it were a very earnest, princess-type “want” song, but done in this morally ambiguous world of Slaughter Race. それからもしそれがとっても素直なプリンセスタイプの『願い』の歌だったらどうかって、でもそれがこの非道徳的なスローター・レースの世界で歌われたらって。
Alan Menken 作曲 アラン・メンケン: Vanellope is kind of an un-traditional princess, so we wanted to have a classic princess song, but, you know, with a twist in the lyrics. ヴァネロペは、いわば非伝統的なプリンセスです。だから私たちはクラシックなプリンセスソングであると同時に、歌詞にひねりを加えたかったんです。
She’s singing like a Disney ingenue, but she’s found this game that she’s fallen in love with. ヴァネロペはディズニー的な純粋な娘のように歌いながら、でも彼女はこの自分の愛するゲームに気がついていくんです。
Johnston ジョンストン: It’s looking a little dangerous, but behind it is this very earnest song, 一見危険なこの場所ですが、その裏にこのとっても純粋な歌をもってきました。
Moore ムーア: She sees the beauty of it. Yeah. ヴァネロペはその美しい側面を見ているんです。えぇ。
Menken メンケン: Well, Sarah Silverman, I’ve just been a fan for years, and she’s an amazing talent. えぇ、サラ・シルヴァーマンですが、私は長らく彼女のファンでした、何せ彼女は驚くべき才能の持ち主ですからね。
She’s somebody who has such a deep wellspring of comic genius. 彼女はまさに、お笑いセンスが尽きない源泉のようなものを持ってますからね。
And she was singing live with the orchestra, which was thrilling for everybody. それで彼女が生オーケストラと一緒に歌ってたときなんて、誰もがワクワクしたもんですよ。
Executive Music Producer Tom Macdougall エグゼクティヴ音楽プロデューサー トム・マクドウガル: She got to be in the room, and she had the most fun I think I’ve ever seen her have. サラはレコーディングルームの中に入ってなきゃいけなかったんですが、とってもそこで楽しんでましたよ、私が見た限りでは一番楽しんでたと思います。
Silverman シルヴァーマン: And, of course, Shank is played by Gal, and she’s kind of the leader of this place. それからもちろん、シャンクはガル・ガドットが演じましたが、彼女はスローター・レースのリーダーのような存在です。
Macdougall マクダウガル: It’s Vanellope’s song. But then this is Gal’s singing debut as well. これはヴァネロペの歌でありますが、同時にガルにとっては歌のデビューでも会ったんです。
Spencer スペンサー: You could see Gal really tear up as she realized just an incredible song this was. ガルが本当に涙ぐんでたのが見えたんですよ、彼女がこの曲がどれほど素晴らしいかっていうのを実感してね。
But, more importantly, that she was going to be a character singing in a Disney animated film. でもそれより何より、彼女はディズニーのアニメーション映画の中で歌うキャラクターになるっていうということが重大だったんです。
Johnston ジョンストン: Gal was amazing. ガルはすごかったよ。
Moore ムーア: Yeah, it’s not something that she does normally. あぁ、歌唱っていうのは彼女が普段やってることではないけどね。
But, man, she was game. でも、彼女はやる気満々だったね。
She got the whole idea of it very quickly. 全部どうしたらいいかっていうのをすぐにのみ込んだんだ。
And just the comedy of it, like Gal and Sarah Silverman singing a Disney princess song about a car racing game. でもうあとはお笑いのようだったよ、ガルとサラ・シルヴァーマンがディズニープリンセスソングを歌ってるんだもの、それもカーレースゲームについてのね。
She was like, “This is awesome.” ガルなんて「これほんとすごい」って感じだったよ。
Johnston ジョンストン: It dawns on me how crazy this movie is. その時はじめてわかったよこの映画がどれほど馬鹿げてるかってね。
I forgot there is a scene where Gal Gadot and Sarah Silverman sing a duet. 忘れてたよ、ガル・ガドットとサラ・シルヴァーマンがデュエットするシーンがあるなんて。
【2回目:オラフのセリフ】 Oh. I don't know why, but I've always loved the idea of summer. And sun, and all things hot.
>オラフの憧れる、愛しているものの一つであることがわかる。
【3回目:オラフの歌う歌詞 In Summer】
When life gets rough (人生が辛くなったら) I like to hold on to my dream(自分の夢にすがりつくのが好きなんだ) Relaxing in the summer sun(夏の太陽の光の中でリラックスして) Just letting off steam(ストレスを解消するんだ)
>辛い時にすがりつく夢として描かれるのは 夏の日の光の中ストレス解消している自分の姿。
【4回目:エルサの歌う歌詞 For the First Time In Forever (Reprise)】
Anna, please go back home(アナ、帰ってちょうだい) Your life awaits(あなたの人生が待ってるわ) Go enjoy the sun and open up the gate(陽の光を楽しみに行って、門を開けて)
【5回目:アナの歌う歌詞 For the First Time In Forever (Reprise)】
Anna: Don't panic(パニックにならないで) Elsa: There's so much fear!(怖すぎるわ) Anna: We'll make the sun shine bright(一緒に太陽を輝かせるのよ) Elsa: You're not safe here!(あなたはここにいたら安全じゃないわ)
まずオープニングナンバーはその名も「Let the Sun Shine On」。 これは「Let It Go」で3回繰り返されるフレーズ「Let the storm rage on」の対になるように作られているフレーズであることは明らか。
つまり、取り除くべきものとしての「the storm」<ー>取り戻すべきものとしての「the sun」という対応関係が明確に示されるようになっているわけです。 さらに歌詞の中では「Together we can keep the storm at bay」(一緒に力を合わせれば嵐を寄せ付けないようにしていられる)という一節もあり、the stormこそが煩わしいこと、問題、ネガティヴなことの象徴となっていることもわかる。
さらに戴冠式の進展を描きながらエルサが自分の心のうちにある本当はアナと過ごしたいという気持ちを歌う「Dnagerous to Dream」においては「I know I never see the sunny day」という一節があり、これは「Let the Sun Shine On」を歌っていた時のような幸せな日々は帰ってこないという旨の歌詞であることが推察される。
オラフのIn Summerがエルサの本心の代弁である、という話は多くの人が長らく論じてきたことだが、「Dnagerous to Dream」で「Sunny dayが本当は見たいけどもう見れないのはわかってる」とエルサ本人の口から歌われることで、その答えあわせがされたと言っても良いだろう。
The Sky
"sky" という単語はFrozen本編の中で4回言及されます。
【1回目:幼少期アナのセリフ】 The sky is awake, so I'm awake. So, we have to play. (お空が起きてるから私も起きてる。だから二人で遊ばなくちゃ。)
I am one with the wind and skyの一節を真面目に取れば、同様にthe skyも彼女の一部であるはずである。
The Sky=オーロラであれば、オーロラが彼女の心境や魔法を映し出していると考えることができ、筋は通るわけである。
つまり、何が言いたいかと言えば、I am one with the wind and sky の一件普通の単語に見える "the wind" と "sky" はしっかり脚本全体を通した上で選ばれている言葉であることが確認できるのだ。
The Sun, The Moon, The Sky
ということでこれまで見てきたように 「Making Today a Perfect Day」に登場する一節 "I'm giving you the sun, the moon, and the sky" のうち、the sun と the sky ははっきりと作品の世界観の中における意味合いが表明されていることがわかります。
そして、the windの使われ方でみたように、ロペス夫妻が何も意味もなくなんとなくごろが良いからという理由で "the moon" をここにいれているとは思えない、と私が思う理由もお分かりいただけたかと思います。
これ以上どう妄想するかは個人にかかっていると思いますが、もし Panyaさんのルーン文字解読が当っていて、 The power of moon skyが魔法の起源だとすれば、月について何かしらの言及がFrozen IIでなされる可能性が高いのではないかと思われます。
また気になるのは The power of moon ではなく moon sky となっている点です。
最後にブローズンで月がしっかり描かれるのは、Frozen本編でもそうであったように Love Is an Open Door のシーンにおいてのみです。このシーンで月が象徴的に描かれることは果たして関係あるのでしょうか? アナとハンスのシーンでありエルサにはあまり関係ないと思うので、ここの月は単なるシーンを作り上げる小道具の一つであると個人的には思っていますが…
【DCAフローズン】:Frozen: Live at the Hyperion(アナハイムにあるDisneyland ResortにあるDisney California Adventure のハイピリオンシアターで2016年5月より行われている映画により忠実で全長約60分という短縮版のミュージカル形式のショー。Frozenの監督で脚本家のジェニファー・リー、作曲のロペス夫妻も関わっているが、基本的に新曲はない。新たに追加されたアレンジや、既存の曲を別の形で利用している部分はある)
【ブローズン(または「舞台版」)】:Frozen: the Broadway Musical (2018年3月よりブロードウェイSt.James Theaterで上演している映画版Frozenをベースに、Frozenの監督で脚本家のジェニファー・リーが脚本に、作曲のロペス夫妻は新曲を作曲という形で関わっている。DCAフローズンと制作期間は被っていると思われるも公開はこちらの方が後であり、DCAはむしろブローズンと差別化されているはずである。)
[Ensemble] Elsa was a special child / From her first frozen tear Her magic filled her parents' hearts / With so much love and fear エルサは特別な子だった / 最初に流した凍った涙から 両親の心は彼女に対する愛と恐れであふれていた
[Queen Iduna] "Elsa, no! What did we say?" 「エルサ、ダメよ!約束したでしょ?」
[Elsa] "Magic must stay secret" 「魔法は秘密にしてなきゃいけない」
[Queen Iduna] "And there's just some things we can't do in public" 「私たちには人前ではやっていけないことがあるのよ」
[Anna] "Like, run naked in the breeze" 「そよ風あびながら裸で走ることとかね!」
これは何がヒントかと言うと「there's just some things YOU can't do in public」でも成り立つはずです。当然サラッと聞き流してしまえば、「we」は「ロイヤルファミリー」を指し、ロイヤルとしてやってはいけないことがある、と言う風に読むことができましょう。しかし、これ以降のヒントをみていくと単にそれだけではない気がしてきます。 (もちろんアナは裸で走りまわっちゃダメだけど。笑)
2)「A family with secrets to keep」
そして1度目のサビを挟んで、続く語りの部分でこのようにアンサンブルが付け加えます。
[Ensemble] Once there was a family / With secrets to keep As rulers in a land where / Respect for the crown runs deep かつて隠すべき秘密(複数形)をもった家族がいた 王家への尊敬が深く浸透している王国の統治者として
パビー:「A Queen who knows our call?」(私たちの呼び方を知っている女王か?)
イデュナ:「I'm a child of Northern Nomads*」(私は北方遊牧民の子どもよ) 【※Frozen Jr.という米国の学校向けの短縮版ブローズンの台本で答え合わせができました。その台本はコピーライト的に貼るとまずそうなので、リンクを置いておきます。この台本の17ページに掲載されています。なおこの台本とブローズンは言い回しやセリフを言うキャラクターなど大きく異なる部分も多いですが単語レベルでは参照して良さそうです。)】
ちなみにエルサのアイスパレスを訪れて、For the First Time in Forever Repriseの最後で心に魔法をくらってしまったアナの髪の毛が白くなっていることに気づいたクリストフは、イデュナが使ったのと同じ呪文を唱えて、「HIdden Folks」を呼び、「Fixer Upper」のシーンが始まります。(映画と異なり、クリストフは幼少期のアナの治癒を目撃しているわけではないので、多分僕の「家族」が助けてくれるはずだ、といって穴を連れて行きます。そして「パビーが直したのみたことある」と言うのはブルダが言います。)
先ほど紹介した、「Let the Sun Shine On」の一節、「Once there was a family / With secrets to keep」が歌われる時、イデュナはアグナル王と肩を寄せ合いながら、手袋を抑えています。ここまで書き忘れておりましたが、イデュナは登場時から手袋をしていて、それを事故後にエルサの手につけさせます。
ほかにも、「Do You Want to Build a Snowman」曲中にアグナル国王がエルサに「Conceal, Don't feel」を教えるときや「There will come a day you have to stand before your people without them」(手袋を外して国民の前に立たねばならない日(=戴冠式)がくるんだぞ)と言うときなど事あるごとに手袋をした自分の手を気にしている演技をしていることに気がつきました。
私はてっきり「Call on us anytime. We love children. Raised a few strange ourselves」の「a few strays ourselves」はクリストフについての説明だと思っていましたが、 @moonboat_sr さんからこれにイデュナが含まれるのでは、と言われました。それを頭において舞台を観に行くと、それが多いにありえそうだということにある演技から気づきました。
— westergaard II @NYアレンデリアン (@westergaard2319) 2018年5月23日
前に @LSAarendelle さんが、オラアド冒頭でユールの鐘を強調してたのに最後にはI don't need the bells to ringになることについて書かれてたが、要は「大事なのは "カタチ" じゃない」っていうのが一貫したメッセージなんだろうな〜。 アナも当初はいわゆる「真実の愛」っていうカタチを求めてた。 https://t.co/IVZ4GXgh04
— westergaard II @NYアレンデリアン (@westergaard2319) 2018年5月26日
そのことについて、ハンスに裏切られだんだん凍り付いていく中で歌うアナのソロ曲 "True Love" では、"I was looking for a fairy tale" (私が探し求めてたのは「おとぎ話」だったのね)って自分で歌うアナ。映画よりも、一段大人なアナだなって思う瞬間はやっぱりここ。https://t.co/QFVnW2pgKV
— westergaard II @NYアレンデリアン (@westergaard2319) 2018年5月26日
[エルサ] Mother, it's how it has to be (お母さま、きっとこうしなくちゃいけないのよ) What's best for her is best for me (アナにとって最善の選択なら、それは私にとっての最善なの) Father, I'll do as you say (お父さま、言われた通りにするわ)
[アグナル] We'll help you to control it, I know we'll find a way (お母さま、きっとこうしなくちゃいけないのよ)
[イデュナ] Only until we gain more ansers in hand (でも離れ離れになるのも、もっと別の答えが見つかるまでのことよ) We'll find a way back (一緒に方法を探しましょう)
[イデュナ&アグナル] To be a family again
ここで四人は手を取り合おうとしますが、エルサはアナが差し出す手を握れずに走って去ってしまいます。
そしてDo You Want to Build a Snowman中に亡くなった両親は、フィナーレで舞台脇に再登場するDCAフローズンのとは異なり、カーテンコールまで2度と登場することはありません。しかし、エルサが度々「Father」「Mother」と呼びかけるかたちで言及されます。
ここでは「Father」「Mother」と言う言葉こそないものの、「Heaven knows I tried」という歌詞があるのは皆さんもご存知かと思います。私はこの「Heaven」が両親を指していると解釈しています。
それは「Heaven Knows I tried」が枕詞となって、アグナルに仕込まれ劇中なんどもエルサが唱えるあのマントラ「Don't let them in, don't let them see, be the good girl you always have to be, Conceal, don't feel, don't let them know」が導かれるからです。がこれはF1の時点でも言えることでした。
— westergaard II @NYアレンデリアン (@westergaard2319) 2018年10月4日
「Let It Go」の終盤で、エルサが変身した時もともときていた戴冠式ドレスが消える件については、最近シュガラオでプリンセスに助けられたラルフがドレスを着た時、中の服が消えることとも関連して再び話題になりましたが。
ブローズンでは「Let It Go」の演出も異なる部分が多くあります。
まず、F1では最初のサビに入る直前の「Well now they know」で父アグナルからもらった手袋を飛ばし、最初の「Let it go」で有名なあの魔法を出しますが、ブローズン「Let It Go」ではサビの最初の「Let it go」でアグナルがつけさせた母イデュナの手袋を飛ばします。魔法はまだ使いません。
またF1では魔法を使い始めてすぐ「Can't hold it back anymore」でオラフwithoutニンジンを作りますが、ブローズンではその演出もありません。そして後ほど、オラフはニンジンまでついた状態でアナたちの元に現れます。これは「Let It Go」がF1の時系列と異なり、第一部の最後に移動されたことで、それよりも先にオラフが登場しなくてはならないことが関係していると思われます。
ただ、アレンデールの紋章の入った重たい長いマントをCold Never Botherd Me Anywayとともに吹き飛ばすところはF1もブローズンも同じです。
また、最後に変身するタイミングも「And I'm rise like a break of dawn」ではなくその手前の「Past is in the past」のあと最後のサビの「Let it go」の前の裏拍になっています。これは音楽的な盛り上がりと変身のタイミングを合わせることが関係しています。ここではほぼ必ず拍手が起こり「フォー」と歓声とともに会場全体が沸きます 笑。(Well, you know, this is broadway.)
さらに映画と異なるのはF1では「Past is in the past」で投げるティアラを投げません。これはブロードウェイショーの多くはマイクがウィッグについていることが関係していると思います。ただ髪の毛は一本三つ編みに手で直します。
つまりLet It Goが母イデュナから授かった「手袋」「ドレス」からの解放のように描かれている、ということが示されます。映画では父親に教わったマントラ「Conceal, Don't feel」からの解放が強調されますが、ブローズンでは衣装を通して母イデュナからの解放も描かれるのです。
[エルサ] Was I a monster from the start? 私は生まれつきモンスターだったの? How did I end up with this frozen heart? どうしてこの凍りついた心になってしまったの? Bringing destruction to the stage 世界に破壊をもたらし Caught in a war that I never meant to wage 関与する予定のなかった争いに巻き込まれて Do I kill a monster? モンスターは私自身で殺すしかないの?
Father お父様 You know what's best for me 私にとっての最善を知ってるはずよね If I die, will they be free? 私が死ねば、みんなは自由になるの?
Mother お母様 What if after I'm gone もしも私が逝った後 The cold gets colder and storm rages on? 寒さはさらに増して、嵐が強くなってしまったら?
米国では今週Ralph Breaks the Internet のストリーミングが始まったので、それをじっくり分析しようと思っていたら、それに手をつけ始めた朝にFrozen IIのティザートレイラーが出るし、今朝は今度はToyStory4の本編映像の30秒前出しがGMAであったおかげでそっちに気を取られ、これだけ愛するコンテンツの考えなきゃいけないことであふれていて本当にうれしい悲鳴なのですが、いかんせん私もこれだけやっているわけではないので手が回り切らない笑
【DCAフローズン】:Frozen: Live at the Hyperion(アナハイムにあるDisneyland ResortにあるDisney California Adventure のハイピリオンシアターで2016年5月より行われている映画により忠実で全長約60分という短縮版のミュージカル形式のショー。Frozenの監督で脚本家のジェニファー・リー、作曲のロペス夫妻も関わっているが、基本的に新曲はない。新たに追加されたアレンジや、既存の曲を別の形で利用している部分はある)
【ブローズン(または「舞台版」)】:Frozen: the Broadway Musical (2018年3月よりブロードウェイSt.James Theaterで上演している映画版Frozenをベースに、Frozenの監督で脚本家のジェニファー・リーが脚本に、作曲のロペス夫妻は新曲を作曲という形で関わっている。DCAフローズンと制作期間は被っていると思われるも公開はこちらの方が後であり、DCAはむしろブローズンと差別化されているはずである。)
【F2】:Frozen II:2019年公開予定の続編
※ちなみに私は恐れ多くも「OUAT」ことOnce Upon a Timeシリーズは全く見ていないのでこれについては言及できないです。また、「DCLフローズン」ことDCLディズニークルーズラインのワンダー号で2016年11月から上映中の映画に忠実なミュージカルショーも見たことがないので言及できませんが、@1cVam (twitter) さんのレポートを見る限りではDCA版とほぼ同じ台本でほぼ同じ演出のようです。上演時間や公開時期がほぼ同じなことからもそれは納得がいきます。
でもその前に一つ説明すべきことがありました。ブローズンでは「Do You Want to Build a Snowman」は劇の冒頭「Vuelie」の直後に一度プリプライズの形で歌われるのです。幕が開いて最初は幼少期姉妹が二人で「Do You Want to Build a Snowman」を歌うところから始まるのです。
とにかくその冒頭のプリプライズ部分で、「じゃあ今夜寝る前に雪だるま作ろうね」とエルサがアナに約束し、アナが大喜びするところでオープニングナンバー「Let the Sun Shine On」が始まるという形で舞台が幕を開けます。
さて、時間は「A Little Bit of You」に戻してきます。おもちゃでできた「雪だるま」を作ってアナが「オラフ」となづけ「And I love warm hug」のくだりをエルサがオラフ声で言います。もともとアナとの約束は雪だるまを作ることだったので、約束を果たしたエルサは眠りにつこうとします。
[Elsa] "Okay, time for bed!" さぁ寝る時間よ!
[Anna] "What? No! Time for more magic, please and thank you!" え?ダメ!もっと魔法を見せてくれるんでしょ、お願い!
[Elsa] "Anna, you know I'm not supposed to even be doing this!" アナ、こんなことだってしちゃいけないことだってわかってるでしょ!
[Anna] "But your magic is the most beautiful, wonderful, perfectful thing in the whole wide world!" でもエルサの魔法は、広い世界で一番キレイで、ステキで、完璧なんだよ!
[Elsa] "Do you really think so?" 本当にそう思うの?
[Anna] "Yes! So do it, please, before I burst from inside to outside!" うん!だからやってよ!早くしないと爆発しちゃうよ!
「Let the Sun Shine On」はオープニングナンバーなのでアンサンブルのパートが語りとして説明をしている部分が冒頭に設けられています。
[Ensemble] Elsa was a special child / From her first frozen tear Her magic filled her parents' hearts / With so much love and fear エルサは特別な子だった / 最初に流した凍った涙から 両親の心は彼女に対する愛と恐れであふれていた
[Queen Iduna] "Elsa, no! What did we say?" 「エルサ、ダメよ!約束したでしょ?」
[Elsa] "Magic must stay secret" 「魔法は秘密にしてなきゃいけない」
[Queen Iduna] "And there's just some things we can't do in public" 「私たちには人前ではやっていけないことがあるのよ」
[Anna] "Like, run naked in the breeze" 「そよ風あびながら裸で走ることとかね!」
これは何がヒントかと言うと「there's just some things YOU can't do in public」でも成り立つはずです。当然サラッと聞き流してしまえば、「we」は「ロイヤルファミリー」を指し、ロイヤルとしてやってはいけないことがある、と言う風に読むことができましょう。しかし、これ以降のヒントをみていくと単にそれだけではない気がしてきます。 (もちろんアナは裸で走りまわっちゃダメだけど。笑)
2)「A family with secrets to keep」
そして1度目のサビを挟んで、続く語りの部分でこのようにアンサンブルが付け加えます。
[Ensemble] Once there was a family / With secrets to keep As rulers in a land where / Respect for the crown runs deep かつて隠すべき秘密(複数形)をもった家族がいた 王家への尊敬が深く浸透している王国の統治者として
パビー:「A Queen who knows our call?」(私たちの呼び方を知っている女王か?)
イデュナ:「I'm a child of Northern Nomads*」(私は北方遊牧民の子どもよ) 【※Frozen Jr.という米国の学校向けの短縮版ブローズンの台本で答え合わせができました。その台本はコピーライト的に貼るとまずそうなので、リンクを置いておきます。この台本の17ページに掲載されています。なおこの台本とブローズンは言い回しやセリフを言うキャラクターなど大きく異なる部分も多いですが単語レベルでは参照して良さそうです。)】
ちなみにエルサのアイスパレスを訪れて、For the First Time in Forever Repriseの最後で心に魔法をくらってしまったアナの髪の毛が白くなっていることに気づいたクリストフは、イデュナが使ったのと同じ呪文を唱えて、「HIdden Folks」を呼び、「Fixer Upper」のシーンが始まります。(映画と異なり、クリストフは幼少期のアナの治癒を目撃しているわけではないので、多分僕の「家族」が助けてくれるはずだ、といって穴を連れて行きます。そして「パビーが直したのみたことある」と言うのはブルダが言います。)
先ほど紹介した、「Let the Sun Shine On」の一節、「Once there was a family / With secrets to keep」が歌われる時、イデュナはアグナル王と肩を寄せ合いながら、手袋を抑えています。ここまで書き忘れておりましたが、イデュナは登場時から手袋をしていて、それを事故後にエルサの手につけさせます。
ほかにも、「Do You Want to Build a Snowman」曲中にアグナル国王がエルサに「Conceal, Don't feel」を教えるときや「There will come a day you have to stand before your people without them」(手袋を外して国民の前に立たねばならない日(=戴冠式)がくるんだぞ)と言うときなど事あるごとに手袋をした自分の手を気にしている演技をしていることに気がつきました。
私はてっきり「Call on us anytime. We love children. Raised a few strange ourselves」の「a few strays ourselves」はクリストフについての説明だと思っていましたが、 @moonboat_sr さんからこれにイデュナが含まれるのでは、と言われました。それを頭において舞台を観に行くと、それが多いにありえそうだということにある演技から気づきました。
[Elsa] There's so much I've longed to say ずっと言いたかったことがたくさんあるの
[Anna] Then say it all, beginning with today なら言ってよ、今日から始めればいいのよ
[Elsa] It's like a dream まるで夢のよう I thought could never be 現実になると思ってなかった
[Anna] Elsa! You're free エルサ!もう自由なんだよ
Let it go, let it go Show us what you can do 何ができるのか見せてよ
[Anna, Kristoff & Olaf] Let it go, let it go
[Elsa] The magic one is you 魔法なのはアナ、あなたよ 'Cause here we stand だってこうしてここに一緒に立ってる In the light of day 陽の光の当たる中 Let the sun shine on 陽よ照らせ I take this warmth within and sending up above この内なる温もりを天高く送り上げ
[Elsa & Anna] Goodbye to dark and fear let's fill this world with light and love 暗闇や恐怖には別れを告げて この世界を光と愛で溢れさせ
[Elsa, Anna, Kristoff & Olaf] And here surrounded by a family at last そしてようやくここで家族に囲まれて
[All] We never going back 決して戻らない The past is in the past すべては過ぎたこと
アナが元に戻り、世界が氷解し、クリストフがアナにキスを申し出て、アナがそれに応えてキスをし、ハンスを殴った段階でこの曲が始まるわけですが、その中でエルサはずっと夢見るのさえ危険(c.f. 「Dangerous to Dream」)と思っていたアナと一緒に過ごせる時間を手に入れます。言いたいことがたくさんあるというエルサに対し、「もう過去の辛かったことは忘れて(Let it go)、何ができるのか見せてよ(Show us what you can do)」と語りかける形で歌が始まるのです。
もうこの時点で顔面が洪水なのですが、エルサがそれに応えて言うのが「The magic one is you(魔法なのはあなたの方よ、アナ)」なのです。
そしてアナが解けた後、オラフの「An act of love will thaw a frozen heart」というセリフにハッとしたエルサは「Love wil thaw. Of course, Love!」と言ってアナの手を取り、エルサが最初に凍らせてしまった柱の同じ場所を、アナと手をつないだ状態で触ります。すると世界が氷解していくのです。
アナはエルサとは異なり、いわゆる「魔法」は持っていないはずですが、このことからもアナの持つ愛の力がある種の「魔法」として描かれていて、さらにその後エルサが歌う「The magic one is you」によってそのことが言葉として言及される、と考えて良いでしょう。
そして舞台開始一年前のメインビジュアル公開時のキャッチフレーズは、「Love is a force of nature」というものでした。「magic」とこそ言っていないものの、「force」はF1の「Frozen Heart」でも示される重要キーワードであったようにほぼ「magic」と同義で使われていると思われますから、アナの持っている「magic」はそのあふれんばかりの「love」であると解釈できるかもしれません。
— westergaard II @NYアレンデリアン (@westergaard2319) 2018年5月23日
前に @LSAarendelle さんが、オラアド冒頭でユールの鐘を強調してたのに最後にはI don't need the bells to ringになることについて書かれてたが、要は「大事なのは "カタチ" じゃない」っていうのが一貫したメッセージなんだろうな〜。 アナも当初はいわゆる「真実の愛」っていうカタチを求めてた。 https://t.co/IVZ4GXgh04
— westergaard II @NYアレンデリアン (@westergaard2319) 2018年5月26日
そのことについて、ハンスに裏切られだんだん凍り付いていく中で歌うアナのソロ曲 "True Love" では、"I was looking for a fairy tale" (私が探し求めてたのは「おとぎ話」だったのね)って自分で歌うアナ。映画よりも、一段大人なアナだなって思う瞬間はやっぱりここ。https://t.co/QFVnW2pgKV
— westergaard II @NYアレンデリアン (@westergaard2319) 2018年5月26日
[エルサ] Mother, it's how it has to be (お母さま、きっとこうしなくちゃいけないのよ) What's best for her is best for me (アナにとって最善の選択なら、それは私にとっての最善なの) Father, I'll do as you say (お父さま、言われた通りにするわ)
[アグナル] We'll help you to control it, I know we'll find a way (お母さま、きっとこうしなくちゃいけないのよ)
[イデュナ] Only until we gain more ansers in hand (でも離れ離れになるのも、もっと別の答えが見つかるまでのことよ) We'll find a way back (一緒に方法を探しましょう)
[イデュナ&アグナル] To be a family again
ここで四人は手を取り合おうとしますが、エルサはアナが差し出す手を握れずに走って去ってしまいます。
そしてDo You Want to Build a Snowman中に亡くなった両親は、フィナーレで舞台脇に再登場するDCAフローズンのとは異なり、カーテンコールまで2度と登場することはありません。しかし、エルサが度々「Father」「Mother」と呼びかけるかたちで言及されます。
ここでは「Father」「Mother」と言う言葉こそないものの、「Heaven knows I tried」という歌詞があるのは皆さんもご存知かと思います。私はこの「Heaven」が両親を指していると解釈しています。
それは「Heaven Knows I tried」が枕詞となって、アグナルに仕込まれ劇中なんどもエルサが唱えるあのマントラ「Don't let them in, don't let them see, be the good girl you always have to be, Conceal, don't feel, don't let them know」が導かれるからです。がこれはF1の時点でも言えることでした。
— westergaard II @NYアレンデリアン (@westergaard2319) 2018年10月4日
「Let It Go」の終盤で、エルサが変身した時もともときていた戴冠式ドレスが消える件については、最近シュガラオでプリンセスに助けられたラルフがドレスを着た時、中の服が消えることとも関連して再び話題になりましたが。
ブローズンでは「Let It Go」の演出も異なる部分が多くあります。
まず、F1では最初のサビに入る直前の「Well now they know」で父アグナルからもらった手袋を飛ばし、最初の「Let it go」で有名なあの魔法を出しますが、ブローズン「Let It Go」ではサビの最初の「Let it go」でアグナルがつけさせた母イデュナの手袋を飛ばします。魔法はまだ使いません。
またF1では魔法を使い始めてすぐ「Can't hold it back anymore」でオラフwithoutニンジンを作りますが、ブローズンではその演出もありません。そして後ほど、オラフはニンジンまでついた状態でアナたちの元に現れます。これは「Let It Go」がF1の時系列と異なり、第一部の最後に移動されたことで、それよりも先にオラフが登場しなくてはならないことが関係していると思われます。
ただ、アレンデールの紋章の入った重たい長いマントをCold Never Botherd Me Anywayとともに吹き飛ばすところはF1もブローズンも同じです。
また、最後に変身するタイミングも「And I'm rise like a break of dawn」ではなくその手前の「Past is in the past」のあと最後のサビの「Let it go」の前の裏拍になっています。これは音楽的な盛り上がりと変身のタイミングを合わせることが関係しています。ここではほぼ必ず拍手が起こり「フォー」と歓声とともに会場全体が沸きます 笑。(Well, you know, this is broadway.)
さらに映画と異なるのはF1では「Past is in the past」で投げるティアラを投げません。これはブロードウェイショーの多くはマイクがウィッグについていることが関係していると思います。ただ髪の毛は一本三つ編みに手で直します。
つまりLet It Goが母イデュナから授かった「手袋」「ドレス」からの解放のように描かれている、ということが示されます。映画では父親に教わったマントラ「Conceal, Don't feel」からの解放が強調されますが、ブローズンでは衣装を通して母イデュナからの解放も描かれるのです。
[エルサ] Was I a monster from the start? 私は生まれつきモンスターだったの? How did I end up with this frozen heart? どうしてこの凍りついた心になってしまったの? Bringing destruction to the stage 世界に破壊をもたらし Caught in a war that I never meant to wage 関与する予定のなかった争いに巻き込まれて Do I kill a monster? モンスターは私自身で殺すしかないの?
Father お父様 You know what's best for me 私にとっての最善を知ってるはずよね If I die, will they be free? 私が死ねば、みんなは自由になるの?
Mother お母様 What if after I'm gone もしも私が逝った後 The cold gets colder and storm rages on? 寒さはさらに増して、嵐が強くなってしまったら?
F1で Ice Harvester たちが「Beware the Frozen Heart」と歌いながら見上げるオーロラと形も色も似ていることがよくわかります。
またブローズンもF1同様、Let the Sun Shine Onが終わってベッドに入った後、召使いや両親が部屋をさると、アナがエルサを起こしに行って「Sky is awake, and I'm awake, so we have to play.(お空も起きてるし、わたしもおきてる、遊ばなきゃ)」という台詞を言います。
基本的にブローズンの写真はないので私の記憶でしか語れませんが、Fixer Upperのシーンでは、緑と青を基調としたオーロラから始まり、ブルダがアナに語りかけるシーンの「Thraw a little love their way」のあたりで黄色いオーロラが現れ始めます。そこからしばらくは青・緑に黄色が加わっています。
「The heart is not easiy let go of its pain」(心から痛みを解き放たせるのは難しい) ここで「Let go」が出てくるんですね。ここで映画とは異なりクリストフがとりあえずやってみてくれと頼み、パビーが魔法を取り除こうとしている間にクリストフが自分の心の中にアナのことを想う気持ちがあることに気づいた心境を吐露するナンバーが挟まれます(「Kristoff Lullaby」)。その最中も背景には緑・青・黄のオーロラが映されています。
しかしやはりパビーの力では魔法は取り除けず、「Only an act of true love will thaw a frozen heart」という下りになり、ハンスのいると思われるアレンデール城へ一行は向かいます。
そこから今度はアナを探しにエルサの城へ向かうハンス一行のシーンへ。
F1で最後にオーロラが出てくるのはFixer Upperのシーンですが、ブローズンではその後のシーンにもオーロラが確認できます。最後にオーロラが出ているのは、ハンスたちがアイスパレスに向かうシーンの背景。こちらが公式の画像。ハンスの後ろにいる赤い服がウェーゼルトン公爵とその部下たち。そして後ろにアレンデールの国民の男性たちも続きます。後ろに出ているオーロラはまた青白く、Let It Goの背景で出ていたのと近いものに見えます。
Let It Goで青々としていた氷は、アナを再び傷つけしまったところで少し水色に近くなり、赤みを帯びている部分も出てきます。その後取り乱すエルサの周りはどんどん赤くなり、トゲも生えてきます。公爵の部下たちが攻めてくると黄色になります。 黄色については、オラフが初登場シーンで色について言及していて「How about yellow? No, not yellow. Snow and yellow? No go.」と。黄色がよくない色であることがはっきり示されます。
この氷の色の変化はブローズンではほぼ再現されません。ほぼというのは、「For the First Time in Forever Reprise」でだんだんパニックになっていくエルサの周りだけ赤い照明で照らされるという演出が取られているからです。しかしその後城全体が赤くなったりはしませんし、ハンスらが攻めてくる「Monster」の時にも黄色くはなりません。
むしろ色に変化があるのはオーロラです。
開演前[青・緑] =>「Sky is awake」[青・緑] =>「Let It Go」[水色] =>「Fixer Upper(序盤)」[青・緑] =>「Throw a little love their way」[青・緑・黄] =>「Fixer Upper(ダンスパート)」[青・緑・黄・赤] =>「Fixer Upper(終盤)」[青・緑] =>「Kristoff Lullaby」[青・緑・黄] =>「Monster」[水色]
が、2月12日より米国ではストリーミング配信が始まり、セリフも全て字幕という形であれば確認できる愛ようになりましたので、重箱の隅をつついていきたいと思っております。そして今回は前のブログの中で、やると宣言していた挿入歌「A Place Called Slaughter Race」の分析、考察をしていきたいと思います。また解釈していくうちに、吹替版上映に挿入されている吹替詞で納得のいかない部分が出て来たことをきっかけに独自で訳詞をつけてみるという試みをしてみました。
この記事が少しでも、「A Place Called Slaughter Race」の元の歌詞の意味するところや、ヴァネロペの心境についてより深く考えるためのヒントになればと思って書きたいと思います。
初めて聴いた時の感想
シュガー・ラッシュ・オンラインことRalph Breaks the Internetでミュージカル作品でもないのに突如挟まれた挿入歌。
そうなんです、映像がなかったので曲だけでは判断できなかったのもあるのですが、曲としてはあまり刺さらなかったのです。他の方がどう感じたかはわかりませんが、Tangledの I've Got a Dreamの雰囲気の前半、デュエットになる後半、最後のチロリーンというアラン・メンケンのプリンセスソングのおきまりの終わり方、それはわかるのですがあまり曲として面白さが感じられないまま公開日を迎え、劇場で映画を鑑賞し、ようやくこの曲の面白さがわかりました。
この歌の導入自体としてある、Oh My Disneyのプリンセスたちとの会話の中で前振りで「プリンセスが夢について歌い始めると音楽がどこかから流れて来てスポットライトが当たる」と教えられたヴァネロペがハンドルについて歌うとうまくいかず、ハンドルが「本当に望んでいるもの(somthing that you really want)」でないことが明らかになります。
うまくいかないヴァネロペに対してポカホンタスが言ったのが「自分が反射する場所へ行くこと・水面をみつけて見つめること(go some place to reflect / finding a form of water and staring at it)」でした。これは明らかにMulanでムーランが歌う「Reflection(リフレクション)」をはじめとする楽曲に対する言及であり、ヴァネロペがOhMyDisneyをあとにしてすぐコップからこぼれてできた水たまりに顔を移すショットは「Reflection」のイントロのショットそのもの。
タトゥーのおじさんのショットの後ろでは、Singin' in the Rain(雨に唄えば)以降 最近ではLa La Land や Mary Poppins Returns に至るまで、ミュージカルで電灯が出てくればあらゆるところで引用され続けている、電灯に捕まって回る振り付けが目に入ります。
そして続くショットはカラフルな車の上でカラフルな衣装で踊る人たち。これはもう明らかに La La Land のオープニングナンバー Another Day of Sun の引用とみてよいでしょう。
ここでまたアランメンケンソングからの引用に戻ります。 車の上で踊っているダンサーたちが左右を入れ替えるようにジャンプするドリーショットが続くのですが、これは Beauty and the Beast のショーストップナンバー「Be Our Guest」の最初のサビの終盤でジョッキたちがジャンプするショットの動きを再現しているように見えます。
ブロードウェイで振付師をしていた Busby Berkeley (バスリー・バークレー:1895〜1976)がミュージカル映画を手がけていく際に導入し、彼を一躍有名にした作品42nd Street (1933)でもしっかりこの真上から撮るショットが使われています。同年に公開されたFootlight Parade (1933) のプールのシーンも有名で、これはディズニー関連だと、アニメ版Beauty and the Beast (1991)のBe Our Guestでも、実写版(2016)のそれでも引用されています。
私は、自分の気に入ったいろんなミュージカルナンバーを対象に、元の英詞を解釈して翻訳し、さらに気が向くとメロディに乗っけられるような独自の和訳詞を考えるというのを趣味的にやっているのですが、今回はこの「A Place Called Slaughter Race」について、原詞の意味するところや、大幅に歌詞の内容が変更されて翻訳された経緯を探るために私が独自で訳詞をつけてみました。
これは、Ralph Breaks the Internet (2018) (邦題:『シュガー・ラッシュ・オンライン』)(2018)の挿入歌 "A Place Called Slaughter Race"(邦題:『あたしの居場所』)の原詞をブログ筆者が独自に和訳して詞をつけたものです。 元の映像の音声の上に、素人が歌声をボイスオーバーで重ねておりますので、不快に感じる可能性がある方は再生しないか、音声をオフにして再生することをお勧めします。冗談半分で、笑ってみていただけると幸いです。 また、訳詞の全文と、訳詞をこのようにつけた背景などについては、以下で紹介しておりますのでよかったら動画より下の部分をご覧ください。動画の下に、オリジナル歌詞とその対訳、吹替詞、そしてこの動画にて公開した独自訳詞の三種類とその解説を掲載しています。
ここは一番解釈が難しいのですが、特別な場所でもなんでもないのですがONE DOLLAR STOR(アメリカに住んでいる感覚だと、日本でいう百均よりも品揃えはイマイチ)を見つけて歌います。大したものではないですが、シュガーラッシュの世界にはないものなので、ヴァネロペにとってはテンションの上がるものなのかもしれません。でもそれが見ている観客の感覚では、特になんの変哲も無い100均なので、それをわざわざ歌詞に盛り込んでしまうほど興奮しているヴァネロペとのギャップが面白いのです。 ここは結構劇場でもウケていました。
[Vanellope] Wait. You're saying if I just stare at some water... え待って。つまりあたしがなんかの水をみつめると…
[Ariel] Duh! IMPORTANT water. もう、わかってないわね。「自分にとって大切な水」よ。
[Venellope] Right, of course. Important water. I stare at that important water and somehow magically I'll start singing about my dream? そうよね。もちろん。「大切な水」ね。あたしがその「大切な水」を見つめると、なんか魔法のように自分の夢について歌い始めちゃうってわけ? [Princesses] Yeah. / For sure. えぇ、そうよ。/もちろん。
[Venellope] I don't think so, ladies. But thanks. あたしはそんなことないと思うわ。でも、ありがと。
つまり、ヴァネロペは表向きには「magicaly I'll start singing about my dream」について非常に懐疑的です。にも関わらず、そのOhMyDisneyを去った直後、ラルフからハンドルが手に入ったという連絡を受ける前、ヴァネロペはなぜか水たまりを覗き込みながら、次のような独り言を言っています。
[Vanellope] Come on song, come on. I'm REFLECTING! 歌よ出てこい、出てきて! あたし反射してるじゃん!!
What is that I want? What is my quest? What is my dream? よし、あたしの望みはなに?あたしが探してるものは?あたしの夢って?
Raah! (OhMyDisneyの城に目をやり)Well, ladies I tried. No song for this princess I guess.(ポケットに手を入れてゴミを蹴飛ばすw) はぁ。プリンセスのみんな、やってみたよ。でもこのプリンセスには歌はないみたい。
ちなみにこのシーンで後ろに写っている「J・I・V・E」はなんの略称かわかりませんが、Jiveというのは俗語で「調子のいいことを言って人をだます/いいかげんなことを言う(英辞郎 on the web参照)」という意味がありますので、ヴァネロペはプリンセスたちに騙されたと(この時点では)思っているのを反映しているのかもしれません。
[Rapunzel] And now for the million-dollar question. じゃあこれは一番大事な質問。 Do people assume all your problems got solved because a big strong man showed up? 大きな力持ちの男の人が出て来たことであなたの問題が解決されたと周りの人たちから思われてる?
[Venellope] Yes! What is up with that? そう!ほんとアレなんなのよ?
That great white in the sewer <下水道のサメ> 下水道にいる あの大きな白いの(Great White Shark:ホオジロザメ) 下水道の白い子
You'll be happy that you knew her <でもホントはいい子> もう会ってて良かったと思うはずよ 前にも会ってるよね?
Great White Shark でホオジロザメなのですが、見たらわかるだろうということであえて白い子と言いました。その方がシャンクが可愛がっているのが伝わる気がしたからです。また、「You'll be happy that you knew her」というのも面白くて。 これは、最初にスローター・レースに足を踏み入れた時、このサメに二人は怯えてしまいます。で、シャンクはなんらかの形でヴァネロペがすでにこのサメにあっていることを知っていて、You'll be happyというのは前にあってたけどその印象とは本当は違うから、今もう一度紹介してあげると前に出会えててよかったと思えるはずだよ!っていう意味だと解釈できます。なので前にもあってるよね?という確認風にしました。
[Shark]
Dogs and cats, they sure taste great <ワンコニャンコ可愛いし> 犬さん、猫さん、もちろんとっても美味しい 犬さん 猫さん とっても美味しい
[Wolf]
With a side of license plate <ナンバープレートも> ナンバープレートの付け合わせもついてくる ナンバープレートの付け合わせ
[Dog]
Some find us deplorable <かわいそうなオレたち> ボクらを悲惨な状況だって見る人もいる 哀れなボクら
[Vanellope]
Well, I think you're adorable <そうかな?楽しそうだよ> そうかな、あたしはとっても可愛いと思うよ とっても可愛いと思うよ
My heart's in flight, and, wow, it's a blast <ワクワクがわぉ!止まんない> 心が飛んでるみたい うわぁ ホントに最高 心ウキウキ もう最高
Feels like my dreams are real at last <夢をついに見つけた!> ようやくあたしの夢が現実になるみたいに感じる ついに夢が叶うの
ここは、La La Landの車のシーンの引用の直後空を飛んでいるので、あのプラネタリウムのシーンや、Moulin RougeのYour Songのシーンを彷彿とさせます。要するにこれは本当に飛んでいるかどうかはともかく、彼女的に軽くなって上昇し飛んでいる気分になっていることが重要です。その感じを出すために響き的に浮いてそうなウキウキにしてみました(笑)。
2月24日の公開日以来、La La Land の批評・分析に関する記事は毎日のようにネット上にアップされていて、最近は少なくとも一日一回それを検索するのが日課になっている。単なる感想から構造批評まで様々だが、記事ごとに色々な解釈や関連知識が得られるので興味深く読ませていただいている。もちろん私も公開初日以来何度も映画館に通い、La La Landの虜になったうちの一人だ。
映画の中で主人公たちによって歌われる(ないし演奏される)主要な楽曲は、『♫Another Day of Sun』『♫Someone In the Crowd』『♫Mia & Sebastian’s Theme』『♫A Lovely Night』『♫City of Stars』『♫Start a Fire』『♫Audition』の7曲だ。
さて、先ほども言及したように、この映画の音楽は主要な6曲のアレンジと組み合わせで構成されている。それは『♫Start a Fire』を除く、『♫Another Day of Sun(ADS)』『♫Someone In the Crowd(SIC)』『♫Mia & Sebastian’s Theme(MST)』『♫A Lovely Night(ALN)』『♫City of Stars(COS)』『♫Audition(ADT)』の6曲だ。
ミアと同じく孤独な夢追い人であるセブが、もっと堅実な生活をしろと言う姉のローラに「ロマンチックの何が悪い」と反論するシーンでは『♫Someone In the Crowd』のメロディーが流れている。(『♫Classic Rope-A-Dope』)このことからセブも、夢を実現するチャンスを作ってくれる “Someone In the Crowd” を必要としていることが表現される。逆に、このシーンでローラに対してセブが『♫Someone In the Crowd』のリプライズ的な曲を歌い始めたら、私だったら引いてしまう(笑)。ちなみにこの曲の後、セブがオーナーの指示で弾くクリスマスソングを挟んで、ついに『♫Mia & Sebastian’s Theme』を演奏し、そこでミアとセブが本当の意味で出会うが、それ以降ミアがLAを去って故郷に帰るシーンまで『♫Someone In the Crowd』のメロディーが登場することはない。『♫Mia & Sebastian’s Theme』をきっかけに、夢を実現するチャンスを作ってくれる “Someone In the Crowd” としてのお互いの存在を見つけてしまったためなのだろう。
【春】
『♫A Lovely Night』の直後のシーンでは、二人で踊った時間を名残惜しく感じるのか、ミアのプリウスが見えなくなったあとでセブが少しまたタップダンスのステップを踏んでみたり、翌朝ミアが職場へ向かう際にターンをしたりする様子が描かれるが、その背景には『♫A Lovely Night』のメロディーが流れている。(『♫There the Whole Time / Twirl』) その次のシーンで、仕事を終えたミアとセブが撮影現場を散歩するシーンでは、ミアが自身の夢の原点となった叔母さんとの思い出を語るが、そのシーンの音楽はなんと映画終盤の見せ場の一つ目に当たる『♫Audition』のメロディーだ。(『♫Bogart & Bergman』)一方で、そんな夢を持ちながらもオーディションに落ち続けていると言う現実を語りだし「ジャスは嫌いなの」と告白するまでの音楽は、後にセブが歌う『♫City of Stars』のメロディーがかかっている。『♫City of Stars』では、2つの "dream that I cannot make true” について歌われるので、『♫City of Stars』のメロディーは「叶わぬ夢のテーマ」と位置付けることができよう。(『♫Mia Hates Jazz』) その直後、LIGHTHOUSE CAFEでセブが自分のジャズバーを開くという自分の夢を語った後に、ミアがオーディションの1次を通過したという知らせを受けRIALTOでの映画デートを約束するシーンでは、『♫A Lovely Night』のジャズアレンジがかかる。 セブの『♫City of Stars』を挟んで、オーディションでまともに取り合ってもらえなかったミアが、RIALTOの看板を見てセブとの約束を思い出して気を取り直すシーンでは再び『♫A Lovely Night』が流れる。それを機に『♫A Lovely Night』のメロディーは聴かれなくなる。この後『♫A Lovely Night』のメロディーが登場するのは、ミアのオーディション後「ずっと愛してる」と言い合った後のシーン、すなわち空白の5年間の直前になる。 そこから遅刻してRIALTOに行き、グリフィス天文台でのデートを経て初のキスに至るまでは一貫して『♫Mia & Sebastian’s Theme』のアレンジが続く。ミアと目線もあまり合わせず、兄カップルとの食事でもほとんどミアを会話に入れない今彼グレッグ。ミアはそんなつまらない食事をしているレストランで、ふと聞き覚えのあるメロディにハッとする。『♫Mia & Sebastian’s Theme』はセブが作ったオリジナル曲なはずなので、レストランでBGMとして流れているとは考えにくい。そのため、これはミアがセブのことを無意識のうちに考えていて、その時レストランでBGMとして流れてきた、多くの人には聞き流されてしまい会話によってかき消されてしまうジャズ音楽に、意識が行きセブへの想いを募らせるという演出なのではないかと解釈している。そして映画館でのフィルムが焼けるというアクシデントを経て、ミア提案の「聖地巡礼」として向かったグリフィス天文台のプラネタリウムにて『♫Someone In the Crowd』に登場したフレーズ “the one to finally lift you off the ground” が、文字通りに実現したところで【春】は幕を閉じる。
【夏】
『♫Summer Montage』を経た後、行きつけのLIGHTHOUSE CAFEでキースが声をかけてくる際にかかるのは映画冒頭の『♫Another Day of Sun』のアレンジだ。(『♫It Pays』)その夜ミアの一人芝居の脚本を聞いたセブが、自分のバーのことについて話し始めるシーンでは、再び『♫Another Day of Sun』のアレンジが流れる(『♫Chicken On a Stick』)。その翌朝は,あまり批評記事には書かれないが、セブにとってはかなりのターニングポイントとなったであろうシーンだ。ミアが母親にセブのことについて電話で話していて、「今は安定した職についていないけど、きっと貯金があるのよ。とにかくジャズバーは開くし、気に入るはずよ」と言う。それを聞いたセブは、キースには連絡を取らないときっぱり言っていたにも関わらず、キースのバンドMessengersの練習場所へ向かう。彼にとってある意味での “Another Day of Sun” が昇ってしまった瞬間だったのではないだろうか。ちなみに劇中でこのシーン以外で『♫Another Day of Sun』のアレンジがわかりやすいカタチで登場するシーンは『♫Epilogue』以外他にはない。印象的な冒頭からだいぶ時間の経過したところでこのキャッチーなメロディーを使ったことには、ターニングポイントのマーカーとして大きな意味があるのではないかと考えている。 続いて、この作品において本当の意味でリプライズされた唯一の曲『♫City of Stars / Mat Finally Come True』を経ながら、ミアは一人芝居の準備を着々と進め、セブはミアとの暮らしのための稼ぎとしてのバンド活動を続けていく。クリスマスソングや80年代ポップスを弾かさせられていた時のように、彼が本当にやりたい “pure jazz” ではないものを演奏するとき、彼は生き生きしていない。しかし、物語全体の折り返し地点となる『♫Start a Fire』のライブでピアノとキーボードを演奏するセブは、“pure jazz” ではないにも関わらず、それまでとは違って楽しそうに生き生きとした表情を見せる。その表情を見たミアが、夢をどこかへおいてきてしまった彼にはっきりと気づいたところで【夏】は終わる。
【秋】
バンド活動で忙しいセブとは滅多に会えない日々を送りながら一人芝居を二週間後に控えたミアがチャイナタウンのカフェで作業をしているところから始まる。ここでは非常にわかりづらいが、『♫Chicken On a Stick』の最初の部分で使われた『♫Another Day of Sun』のアレンジのフレーズがピッチを下げて再登場する。ミアは唯一の夢の応援者であるセブとなかなか会えなくなってしまったつらい日々においても引き続き、翌朝昇る太陽 “Another Day of Sun” を信じて夢に向かい続けていることを象徴しているかのようだ。その後、久しぶりに帰宅したセブがサプライズディナーを振る舞うシーンでは、彼が劇中の世界観の中でレコードで再生しているBGMとして『♫City of Stars』のアレンジが流れる。(『♫Boise』)そしてこの時が、『♫City of Stars』のメロディの劇中最後の登場となる(ただし『♫Epilogue』を除く)。 この位置付けの意味するところについては、『♫City of Stars』のメロディが最初に登場したのが『♫Mia Hates Jazz』としてだったこと、『♫Boise』が流れたシーンでは、ミアは「私は今はもうジャズが好きだ」と言うこと、クレジットタイトルの後にミア一人のハミングによる『♫City of Stars (Humming)』があることなどがヒントになりそうだが、まだ私は解釈ができていない。 そしてついに二人の関係が一旦は破綻するシーンである、セブがミアの一人芝居に間に合わなかった時の音楽『♫Missed the Play』ではマイナーアレンジで『♫Mia & Sebastian’s Theme』の一節が流れる。 それに続くミアの帰郷シーンでは、映画始めの【冬】のシーン以来初めての『♫Someone In the Crowd』のメロディーが登場するが、その曲の途中からLAにいるセブにう映像が切り替わりその曲がセブによって婚約パーティーのBGMとして演奏されていることが描かれる。二人はそれぞれの “Someone In the Crowd” を失ってしまい再び独りずつになってしまった描写だろう。 その曲の直後セブの携帯に、ミアの一人芝居を見たキャスティングディレクターから電話が入り、連絡のつかないミアに知らせるために、セブはミアの自宅を探しに行く。その時セブがミアの自宅を探すヒントにしたのは、演劇のタイトル「So Long Boulder City」と『♫A Lovely Night』の翌日お互いの夢を語り合ったあの【春】の日にミアが発した「よく叔母と家の目の前にある図書館で古い映画をみた」という一言だったのだと言うことが前後の演出から理解できる。セブが翌朝ミアを迎えに自宅前に来た時にかかる曲(『♫The House In Front of the Library』)のメロディーは、もちろんヒントになった言葉をミアは発したあの時に流れていた『♫Bogart & Bergman』と同じ『♫Audition (The Fools Who Dream)』のメロディーだ。その後ようやくミアにより『♫Audition (The Fools Who Dream)』が歌われ、すべての曲が出揃ったところで、再び【春】以来の『♫A Lovely Night』のメロディを使った『♫You Love Jazz Now』が登場して【秋】が幕を閉じ、空白の5年を迎える。
"This is funny because not even 20 minutes ago I left Disney and came here, I just finished up a little bit of Toy Story 4 and Hanks was coming in right after me — we're old good buddies and I asked him "What can I tell them about this?", and he goes "You've already said a bit too much".
まあこれは面白い話だよ、だってまだ20分も経ってないけど、僕はディズニー(のスタジオ)からここへきたんだ。ちょうど Toy Story 4 の録音を少し終わらせたばっかりでね。(トム)ハンクスが入れ替わりにスタジオに入ってきたんだけど、もちろん僕らは中の良い友達さ、で、彼に聞いたんだ「番組でこの作品について何なら言えるかな?」って、そしたら「君はもう喋りすぎだよ」ってさ。
◯ 最後のセリフについて◯
Cause I say Tom and I both (I gotta be careful), we both read the last two lines of this movie, I get choked up and he even said "I had to turn around in the booth", and I said, "I did too".
だから喋り過ぎちゃわないように気をつけないといけないんだけど、トム(ハンクス)と僕は、この映画(Toy Story 4)の最後の二行のセリフを読んで、言葉がでなくなるほど胸が詰まって、トムは「レコーディングブースでは顔は向けられないな」とまで言ってきて、「僕もだよ」って返したよ。
The last couple of scenes, especially the last lines of the movie will be a memorable moment for everybody. Oh, it's wonderful, it's wonderful.
Bo Peep has been missing and you're going to find out in a very tragically where she's been and what that means for toys like her, and Woody has to decide where he's gonna fall on that deal. It's really so clever, so wonderful, so warm about and how they (Pixar) do this? How these guys (creators at Pixar), I just say this story is so emotional, so funny, so brilliant.
Toy Story 3 ended originally with a little girl sitting there, and all of us saw that little girl smile and Andy said with his eyes (a cartoon character) she might take care of these toys — cause we were originally in Toy Story 3 waving on the porch, that was it. It looked like maybe this little girl will take care of us — well, maybe she didn't take care of us so well.
前作の Toy Story 3 は少女(ボニー)が座っていて、僕ら(観客)がみんな見たように、ボニーが微笑んでて、(まぁアニメーションのキャラクターではあるからこういうのも変なんだけど)アンディーの送る視線は「きっとこの子が自分の大事にしてきたおもちゃたちを可愛がってくれるんだ」って言ってるようだったでしょう。だってほら、僕ら(おもちゃたち)は Toy Story 3 で最後(ボニーの家の)玄関に座って(車で大学に向かってさっていくアンディに)手を振っていてそれで終わったでしょう。それで、この女の子ボニーがきっと僕らを大事にしてくれるだろうって感じだったじゃない?でも、どうやらボニーは僕らおもちゃたちをあんまり大切にしてくれなかったようだね。」
(どよめくスタジオ)
◯アウトロ◯
It's just wonderful where it goes and how it comes together.
ただただ素晴らしいんだ、物語の結末とどうやって話がまとまるのかってとこが。
(スタジオの出演者の一人: "I just can't wait to see the drama of it" もうその展開が見られるのが待ちきれないね。)
Oh, it's wonderful. But it's, the best thing is Forky, is the new character.
But when Bonnie takes the whole gang on her family's road trip excursion, Woody ends up on an unexpected detour that includes a reunion with his long-lost friend Bo Peep (voice of Annie Potts).
Bo Peep has been missing and you're going to find out in a very tragically where she's been and what that means for toys like her, and Woody has to decide where he's gonna fall on that deal.
"While Woody was watching Andy grow up, Bo gathered dust until she took upon herself to head out into the world. And when Woody shows up, they can't believe that they've found each other again."
当然ここででてくる「To infinity and my foot」というのは、昨年11月に公開された、Teaser Trailer 2で、ダッキーとバニーが「To infinity and beyond」というバズのセリフを茶化していたところからつながってくるわけですが、単なるネタではなさそうなのです。
もう一度あの予告編を振り返ると、「To infinity and beyond」というバズのセリフに対して、ダッキーとバニーは次のようにリアクションしていました。