westergaard 作品分析

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【ディズニー初】同性愛者が主人公の短編「OUT」を巡る論争と監督の想い

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はじめに

ピクサーが制作し、公式ストリーミングサービス「Disney+」で配信している短編シリーズ「SparkShorts」。最新作の「OUT」が「殻を破る」というタイトルで、2020年7月3日に日本のディズニープラスでも公開された。

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この記事では、まずこの作品がどういう文脈で公開されたか、そしてこれをめぐって起こっている論争と2つの署名運動の紹介、最後に監督へのインタビューを和訳したものを紹介します。

「SparkShorts」って?

ピクサーのSparkShorts シリーズは、これまでピクサーが技術的なテストと監督養成のために行ってきた劇場公開用の短編制作プロジェクトの小規模版といった形で、期間は半年、予算もかなり小さい制限の中で社内の監督やアーティストの育成や発掘を試みるプロジェクトである。Disney+というストリーミングサービスを運営していく上では、サービスの魅力を保つために常に新しいコンテンツを配信する必要があり、関連スタジオは配信用のコンテンツの制作に協力することが求められている、というビジネス的な理由も大きいのだろうが、こうして今まで長編作品の監督としてはメガホンを持つことができなかった人たちが、主導して作品作りに取組それが公開されるようになるというのは良い傾向であると言える。

こちらの動画でもお話ししたが、監督の多様性はそのまま作品で描かれる主人公やその抱える悩み、生きづらさなどに反映されるというのは明らかである。

www.youtube.com

 

ピクサーの描く「同性愛者」のこれまで、そして「OUT」をめぐる2つの署名運動

さて、その最新作として公開された「OUT」は、アメリカでの公開時からすぐに話題となっていた。それは本作がピクサーが初めて描く同性愛の主人公についての物語となったからだ。

これまでピクサーは、2016年のファインディング・ドリー、2019年のトイ・ストーリー4などで背景にほのめかし程度のレズビアンカップルと思われるキャラクターが描かれていたが、少なくとも日本ではほとんど話題にすら上がっていない。ピクサーファン!と自称する人もほとんど気付いていない可能性すらある。そんな表現だった。

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そして日本ではまだCOVID-19の混乱のために公開されていないが、「2分の1の魔法」(Onward)では、ようやく初めてセリフがある同性愛のキャラクターが登場した。しかしこのキャラクターは同性愛である必要性は作品全体としてはなく、作品の本筋に与える影響はほとんどゼロな、いわゆる「トークン・マイノリティ・キャラクター」であった(筆者は視聴済み)。確かにこれまでの描写を考えればセリフがあっただけでも大きな進歩ではあるのだが。

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そんな過程を踏んで、ようやく短編で描かれた「グレッグ」と「マニュエル」という男性の同性愛カップル。しかし彼らの表象を巡って2つの署名運動が起きました。

最初に始まった署名は、「同性愛の描写が子どもたちに悪影響を与えるから『OUT』の公開を取りやめること」を求める、非常にホモフォビックなもの。非常に残念なことに、すでに2万8千以上の賛同を集めています。しかしここで主張されていることは、2008年のカリフォルニア州での同性婚合法化に対して起こった「提案8号」の際の「保守派」や一部の「宗教団体」の主張と類似しています。「提案8号」がセンセーショナルだったのは、あれほどリベラルなカリフォルニア州でもこうなってしまったことでした。それから10年以上経ちましたが、「いまだに」このような署名運動が起きてしまうほど根深い問題となっています。そこでは、「不道徳で、無垢な子どもへの脅威だから取り下げろ」ということが主張されています。現時点でディズニーもピクサーも声明は出していません。

tfpstudentaction.org

これに対し、ピクサーに作品の公開を続けることを求める署名も始まりました。筆者はこちらには署名させていただきました。私は別にこの署名の数が集まることが大事だとも思っていませんし、取り下げを求める署名にディズニーやピクサーが屈するとは思っていませんが、それでも声を上げておくべきと思い個人的署名しました。(この記事は、署名を促すものではありません。)

www.change.org

 

ここまでの話はこちらの動画でも紹介しています。

www.youtube.com

 

 

記事和訳

ここからは6月にアメリカで公開された際に、エンターテインメントウィークリーのウェブに掲載された監督とプロデューサへのインタビューを一部省略しながら和訳していきます。

最後に私なりの考察を付け加えて記事を締めたいと思います。

ew.com

長年にわたって、LGBTQコミュニティはピクサーを所有するディズニー社に対して、映画館で上映する映画において、(LGBTQのキャラクターを)より大々的に表象し取り上げるよう呼びかけてきた。そのため、ハンターとサチャーがたった9分のアニメーションである本編を圧倒するような最初の反応を受け取った時、どうしてそれほどたくさんの人々が情熱的に反応するのか理解した。「私たちは、自分たちのような人を物語の中で見ることに飢えているんだって、教えてくれたんです。誰しもが。歩いている人すべてが。」 ハンターは語る。

 

「いろんな意味で、これは初めての取り組みだったんです。」サチャーは付け加える。「スティーヴにとっても私にとっても、そして私たちが愛しリスペクトするこの作品を作ったすべての人のためにも、これがこういった作品の最後の一つにならないことを望んでいます。

この短編で最初に映し出されるのは、「実際の物語に基づく」というタイトルカードです。「いくらかは私のカミングアウトの物語を基にしていますが、でもこれは私のカミングアウトの物語ではない側面もあるんです。」ハンターは説明する。彼の旅路をガイドする魔法の強烈な動物たちはいませんでした(彼が知る限りでは)、それでも真実である側面があります。この話がとってもたくさんの同性愛の人々が直面してきた、拒絶されることへの恐怖から、自分のアイデンティティを家族に隠していることのプレッシャーという意味で。

「私は、17歳のクィアだった自分のための作品を作ろうとしたんです。自分みたいな人を映画の中で見る必要があった、当時の自分のために。」と彼は言う。

この作品の視覚的な美術様式さえもが監督のティーン時代へのオマージュだと言うのです。彼はリトル・ゴールデン・ブックス・エディションのアリス・イン・ワンダーランド不思議の国のアリス)でのメアリー・ブレアの絵が大好きだったのです。「常に美しく描かれた水彩画か、油彩の淡彩画だったんです」と。

 

ハンターは、カナダ、オンタリオの小さな街で育った。そこで見られたメディアには、彼を自己受容へと勇気づけるようなものは一つもなかった。「それ(同性愛)に関することは何もかも「間違い、間違い、間違い」だ、と。私は心のどこかでそれを埋めて出さないようにしていました。」彼は言います。(キャムピーな(いかにも同性愛っぽい)歌声で、彼は「Turn it off, like a light switch」と歌い始めた。ブロードウェイ作品『ブック・オブ・モルモン』(アナ雪のロペス夫妻がかつて携わったことで有名な作品)のミュージカルナンバーを引用しながら。)ハンターはこのように続ける「どこかにやりたくなるし、どこかにやったはずなのに、どこにも消えていかない。ずっとあり続ける。しかもどんどん大きな声で、自分に対して叫び続けてきて、気にせざるを得ないんです。」そういうわけで、50代にも近づいた今、OUTの最初のストーリーボードを描きながら涙を流すことになったのです。描いていたその絵は、グレッグとマニュエルが抱き合い、写真を見ているものでした。「ピクサーでのキャリアで、こんな絵をこれまで描いたことがありませんでした。二人の愛し合う男の人を描いたことが。」

(中略)

トワイライト・ゾーン」のファンだったハンターは、彼の兄のペットを参考にして名前も借りたマグス(Mags)とジジ(Gigi)を、ロッド・サーリング的な役として描きたかった。「ロンが各エピソードの最初と最後を区切り、少し変わったことが起きて、それから終わるというような」ハンターは説明する。「私はそれをクィアなオーディエンスに向けてやりたかったんです。脚本の中でさえ、レインボーから登場するピンクと紫の犬と猫についての部分の文字はピンクと紫の色になっている。その春(インクレディブル2の製作中)、二人は本作のコンセプトをピクサーの代表ジム・モリスと、ピクサーのチーフ・クリエイティヴ・オフィサー(ラセターの後任)ピート・ドクターにピッチした。二人が彼らの判断を耳にするまでは、息を飲むような瞬間だったという。もちろん、知っているように、結果としては青信号(ゴーサイン)が出たわけですが。「この内容に関して逆境はありませんでした」ハンターは回想する。「彼らは、私たちがピクサーストーリーテリングとされるものに対して忠実であることをわかっていたのです。人々を笑わせ、泣かせる、感情を揺さぶるような物語を伝えるということです。」彼がいうには、笑いは人々を「気楽にさせ、エモーショナルな何かで訴えかけたとき、オーディエンスの彼らは心を開いてくれるのです。」と。

 

ハンターは、まだ「OUT」のコンセプトを、この短編以外に拡張することを考えてはいな言います。ですが、ソーシャルメディア上でファンからは、続編があるなら「グレッグとマニュエルに何が起こるのかがみてみたい」などの声が上がっています。他には、マグスとジジのスピンオフを提案する声もあります。「彼らの琴線に触れたことが伝わってきます」と言う。しかしその琴線からの音は十分に大きいのでしょうか。

 

「OUT」がハリウッドとアニメーションにおいてLGBTQの可視性に関する主要なマイルストーンとなる一方で、これに関する表象がまだディズニーの長編映画の中核ではほとんど不在なままであることを改めて思い出させます。2016年の「ファインディング・ドリー」では、二人の女性たちを含む一瞬のシーンが批評家のエッセイや、視聴者の反応の中で話題になりました。その中で、彼女たちが同性カップルかもしれないと言う憶測が飛びました。それ以前には、ハンターがスーパーヴァイジング・アニメーターとして携わった2012年の「メリダとおそろしの森」は、多くの人々に、メリダこそが密かなピクサーはつのレズビアンの主人公なのではないかと、思慮させることとなった。そうであるかどうかについては何も表立って言及されることはなかったにもかかわらず。ハンターはメリダが同性愛者であったとは考えたことがなかったという。なぜなら、共同監督のブレンダ・チャップマンの非常に個人的なところからきた物語だったからです。「でも私たちは、自分たちのような人を映画の中にみたいのです。」彼は加える。「だから理解できるんです。人々がそのように読み取るということも。ちょうど「アナと雪の女王」も同じようになりましたね。」ウォルト・ディズニー・アニメーションが「アナと雪の女王2」の制作に乗り出した時、とあるファンのキャンペーンが、続編でエルサにガールフレンドを与えるようディズニー社に呼びかけました。「私は、(映画を見て)自分たちのようなものかどうかを推察するのにうんざりしてます」ハンターは言う。「本当に可視化されたものを見たいんです。本当に自分たちを映画の中で見たいのです。」

今年初めに公開された、ピクサーの「2分の1の魔法」は、リナ・ウェイスが演じるオフィサー・スペクターというオープンリー・ゲイ(同性愛)・キャラクターを表現した、同スタジオで初の作品となりました。スペクターは、映画の会話の中で、ガールフレンドの娘と仲良くなることについて言及します。ほんの一瞬ではありますが、BBCは、厳格なホモフォビックな法律をもって中東の多くの国々が同作の上映を禁止したことを報道しています。このことは、なぜ「OUT」の作品のようなレベルでのLGBTQの可視性が、他の長編作品などにおいて見られないのはなぜか、というより大きな問題についての説明となります。たくさんの国々が、映画に影響する検閲の法律を備えており、ディズニーはこれまでも、ジョシュ・ギャッドの演じるル・フウの目を瞑ったら一瞬で見逃してしまうレベルの描写があった実写版「美女と野獣」でも同様の経験をしている。

 

エンターテインメント・ウィークリーに寄せられた主張では、GLAADのエンターテインメントメディアの監督、ジェレミー・ブラックロウは、「OUT」について「ウォルト・ディズニー・カンパニーにとって、LGBTQの人々を含む全ての愛に溢れるカップルや家族についての物語を歓迎するホームとして自社を築き上げていく上で、非常に大きな前向きなステップである。GLAADは、本日のDisney+での「OUT」のデビューをみるのを楽しみにしており、世界中のディズニーファンに対してより一層のLGBTQの受容を進めていくであろう、そのパワーについて興奮している。」と言及する。

「映画業界は、これまでもそうであったように、進化し続けている」とサチャーは言う。「映画がとても素晴らしいものであるのは、それが私たちが生きている世界の全てのスペクトラム(色が分かれて虹となるもの)を反映するものとして使われ得るからである。みんなが自分自身をみる機会がある限り、すなわち子どもたちが若い時に映画や、そこに描かれる記憶に残る、そして彼らに個人的なレベルで語りかけるキャラクターを指差すことができる限り、それこそが私たちのゴールだったんです。」

サチャーは今、新しいDisney+向けのプロジェクトの初期段階に取り掛かっている。それはまだあと数年は公開されないもののようだが。また、ハンターは同じストリーミングサービス向けの作品の開発を手助けしているが、今もっとクィアな物語を作りたいという「浮気心」があると言う。「着手したいと思うアイデアをいくつか抱えています。」と彼は言う。メジャーなスタジオから出る長編アニメーション映画にLGBTQのメインキャラクターが登場するかどうかについて言えば、ハンターは「すぐそこまできている」と信じているという。

「ちょっと待ってて欲しい。これは実現するから。」と付け加える。「私たちはどこへも行かない。もちろん一瞬で突然あらゆる映画がクィアになるわけではない。でも私たちは実際今ここにいて、この世界を構成している一部分であるのだから、映画の中で自分たちのような人を見られるようになる必要があるんです。」

(記事翻訳おわり)

 

おわりに

途中で紹介したこちらの動画でも話した通り、従来ピクサーが行ってきた「トークン・マイノリティ」としての描き方は、ステレオタイプの形成・維持や脇役としての立場の固定化をしてしまいますから、主人公に据えて丁寧に描くことは急務と言えるでしょう。

今回は10分以下の短編作品でしたから、あまり丁寧に葛藤が描けたとは評価し難いです。正直言って、カミングアウトの過程や、母親がもともと理解していたこと、父親は母親が理解したらすぐに無言で理解するという描き方は乱暴的すぎると言わざるを得ません。

私もトランスジェンダーに関する中高生向けの教材制作などに仕事で携わったこともありますので、この辺りについてはかなり慎重に分析したり議論したりした上で制作した経験もあり、この作品を観ると、なんとも言えないものを抱えざるを得ません。

しかし、一方でこのような「理想の姿」が、救いになる側面があることも無視してはいけないとも考えます。私たちはまだ、冒頭で紹介したような「ホモフォビックな」署名運動が起きてしまう社会に生きています。あのような署名運動があるという事実を聞いただけでも立ち直れないようなショックを受ける可能性だってあります。まずはピクサーの(ディズニーにとっても)第一歩として、主人公に据え、親子の理想形を描いたのだろうということで理解してこのOUTを称えたいと考えています。

 

一方で、主人公として取り上げることは「特別扱いのようで嫌だ」という声も聞こえてきます。確かに「同性愛者が主人公の短編」と言われてしまうことは、まだまだそれがある種「普特別」であることが強調される結果となっているわけです。この記事もそれに加担してしまっています。それでもこれまでの作品においては「いなかった」ことにされてきたわけで、このように取り上げることが段階として必要なこともまた確かなものです。これは監督も何度も繰り返していました。

それでも、この「OUT」での描かれ方が不十分な側面があることを制作人が認識しているであろうことは、インタビューでの監督の語り口からしても明らかです。長編作品で描くことについても、監督が触れていたように、まだまだほんのちょっとの同性愛描写で映画自体の放映が禁止されてしまう国がいくつもあることが、興行収入へ影響するということで、なかなか取り組めないままでいるということなのでしょう。

 

今回、みるか見ないかを選択できるウェブストリーミングの短編であってもあのような署名が3万近くの賛同を集めてしまう現状を見ても、アーティストがどれほど描きたいと思っていても、株主などはなかなか同意しないものなのかもしれません。とは言え、ピクサー社内にも、ディズニーアニメーションの社内にも、グレッグやマニュエルのような人が多くいるはずですから、監督の言うように期待して良いのかもしれません。

 

どちらにしても、まずはこの「OUT」が署名に屈して消されないことを祈るばかりです。

 

皆さんは、この「OUT」観賞されてどのような感想を抱かれているでしょうか?
ぜひこちらのブログか、動画へのコメント欄にお寄せください。可能な限りTwitterなどでもご紹介するようにします。

 

www.youtube.com

 

 

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ディズニー・スプラッシュマウンテン署名運動とは!?(追記)プリンセスと魔法のキスのアトラクションに変更決定

 

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追記

 実際に、結果としては、署名にあった要求に応える形で変更することが公式に発表されました!!(2020.6.26.)

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disneyparks.disney.go.com

 

この報道に関する速報動画はこちら↓

www.youtube.com

 

はじめに

当ブログでも、広い意味でのディズニーが行う「多様性」「社会的マイノリティ」「周縁化される人々」に関した表象のあり方の変更について取り上げてきていますが、2020年6月16日の報道で、「Disney reportedly creating new committee on minority representation in Orland parks and resorts」という記事が上がりました。
現在、#BlackLivesMatter 等が再燃する中において、ディズニーは本ブログでも主要なテーマとして扱ってきたDisney On Broadwayのアカウント等でもこのような投稿が多々なされていることからもわかるように非常に敏感にこう言ったことに対して意見表明をしています。

www.instagram.com

www.instagram.com

 

パーク(いわゆるディズニーランドなどを含む総称)における表象の更新は、(「ディズニーランドは永遠に完成しない=更新され続ける」という言葉がある割に)映画よりも遅いことがあり、これまでも「価値観のタイムカプセル」的に揶揄されてきましたが、そのことについて動き出しつつあるようだ、という報道です。

この記事ではこちらを和訳しながら、内容を追いかけていきます。

www.orlandoweekly.com

 

またこちらの記事の内容は、当ブログの筆者 @westergaard2319 のYouTubeチャンネルでもトーク動画として扱いました。ぜひご覧ください!

www.youtube.com

 

記事の和訳

タイトル

Disney reportedly creating new committee on minority representation in Orland parks and resorts

「レポートによるとディズニーは、新たに、オーランドのパーク&リゾート(=Walt Disney World: WDW)におけるマイノリティの表象に関する協議会を形成しているようだ」

 

アメリカ人が自文化の文化の隅々にまでとり憑いている「人種差別の幽霊」と取っ組み合っている中、企業は今、自らの歴史的な過ちと不平等を永続させ続けている根深い偏見に対処することへ熱心に取り組もうとしています。ウォルトディズニカンパニーほど、このご時世で求められる自己の見直しに関する難儀な課題を持っている企業は他にないと言えるでしょう。

 

ディズニー社は、これまで議論になった問題について、ケースに応じて対応してきました。特定の人種やエスニック集団についての現在となっては受け入れがたい表現についての注意喚起を加えたり(Disney+などで配信される際に記載されているものなど)、特定のシーンをカットしたり(ダンボのジム・クロウのシーンはDisney+ではもう見られない*)、歌詞を変更したり(これはアラジンのアラビアンナイトに関する本ブログの記事を参照してください)、他の変更をすることで、問題のあるコンテンツを消すべく試みてきました。

 

*ダンボのジムクロウについてこの記事の中では削除されたと報道されているが、その後削除を取りやめ注意喚起にとどまった模様。

whatsondisneyplus.com

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これらの変更が映画においてなされてきたことは特筆すべきである一方で、同社のリゾート(テーマパーク)は、ここ数週間でも、多くの人々がディズニーリゾートでの経験について声を上げるようになってきたことから新たな課題に直面した。それらの声というのは、ずっと放置されてきた人種主義的な物語に基づいたアトラクションの更新を求めるものです。

 

Change.org という署名サイトにおいて、スプラッシュ・マウンテンのアトラクションの「リ・テーマリング(テーマの見直し、変更)」を求める声が上がり、国際的にも注目を集め、すでに1万以上の署名を集めています。

ジャズを歌うオランウータン(「ジャングル・ブック」)や、文字通りジム・クロウと名付けられた「ジャイヴトーキン(黒人ジャズミュージシャンのスラング)」な カラス(「ダンボ」)や、マジカル・ニグロ的な(白人の主人公を助けにくるサブキャラ的存在の黒人)集団が登場する作品が数多くあるディズニー作品だが、その中においても「南部の歌(ソング・オブ・ザ・サウス)」ほど問題のある映画はなかったと言える。1946年に製作された、南北戦争後の南部諸州再編の時代のプランテーションを舞台にした映画だ。そこでは、プランテーションの所有者の孫が黒人のストーリーテラーであるリーマスおじさんと仲良くなる。ブレアラビット、ブレアフォックス、ブレアベアが命を宿り、その物語の中にはオトリとしての罠である「ター・ベイビー」(「く*んぼ」にあたる差別用語)などの話も登場する。映画が元としている、ジョーエル・チャンドラー・ハリスの元の物語においては南北戦争以前の南部についての風刺批判が見つけられるが、映画ではその視点が不在である。問題になっているアトラクション、スプラッシュマウンテンはこの映画を元としている。

 

ディズニー(パーク)の抱える問題は、スプラッシュマウンテンひとつに限った話ではない。「ピーターパンの空飛ぶ旅」には、1953年の作品「ピーターパン」に登場する「インディアン」とやりとりをしたシーンに基づく、移動テント小屋の集落が登場する。作品においてインディアンは、歌を歌うのだが、そこが「ブロークン・イングリッシュ(カタコトの英語)」でない言葉を話す唯一の場面である。にもかかわらず、その歌の内容は「What Makes the Red Man Red(なぜ、赤い人は赤いのか)」(赤というのはネイティヴアメリカンに対して結び付けられる象徴的な色である。歌詞の内容も、英語が話せないことを揶揄する歌詞の内容で非常に差別的な歌である。)

他のアトラクションにおいても、それぞれ個別に問題直面する。例えば、エスニックな多様性や、マイノリティの歴史表象の不在、あるいは、黒人や他の非白人の技術的な貢献が「カルーセル・オブ・プログレス」(円形のシアターで、座席がメリーゴーランドのように回り、各時代の生活の様子をタイムマシーンのように見せていくアトラクション、日本にはない)で不在であること、などだ。

 

報告によれば、今ディズニーは、新たに、パーク・リゾート部門の中において、ディズニーパークの中にある、一連の問題のあるシーンやキャラクター、アトラクション全体について取り組むための協議会を立ち上げたという。そのリストは見直しのたびに増えていっているという。

 

信頼できる情報筋であるthe WDW Magic forumsでは、複数の情報ソースから、ディズニー社がどのように不適切なキャラクターの描き方についての対応するかについて議論しているという報告が寄せられているという。この新たに提案された協議会が取り組むアトラクションのリストは、噂によると、上記に書いたアトラクションのほか、「イッツ・ア・スモール・ワールド」「カントリー・ベア・ジャンボリー」「ザ・ホール・オブ・プレジデンツ(日本にはない)」「ジ・アメリカン・アドベンチャー・アンド・ザ・フープ・デ・ドゥー・レビュー(日本にはない)」も含んでいるという。

もし実行されるなら、その見直しは、ディズニーのアトラクションの不適切な部分の特定や変更についてより正式なアプローチがなされることになるだろう。ディズニーが、公式にそういったレビューのための協議会があることを認めるかどうかは定かではない。またその協議会からの提案を公にするかどうか、はたまたそのプロセスを明かすかどうかについても、定かではない。


驚くべきことに、「ディクシー・ランディングス」と知られるプランテーションをテーマにしたリゾート(WDW内に存在)はこのリークされた協議会による見直しのリストには入っていない。どうやらディズニーは20年前に行った名称の変更以上のことをするつもりはないようだ。今は「ポート・オーリンズ、リヴァーサイド」として知られているが、このリゾートはディズニーワールドのホテルの(コロナ後の)再オープンの第二波に含まれるようで、7月中旬には再オープンされることになっている。ディズニーはこのプランテーションをテーマにした建物を、「風格のある白柱の邸宅」と呼ぶ一方で、ディズニーワールドのウェブサイトでは数日前まで、「南北戦争前の南部の優雅さを感じながら寝転んでくつろいでください」という文句で客へアピールしていた。そこには、(黒人奴隷による綿花栽培をしていた時代の象徴である)搾綿機も置かれている。

 

ディズニーがアトラクションやその他の提供物について更新をするのは今回が初めてではない。2016年6月14日にワニが2歳の子供を殺した後は、ディズニーはワニに関する多くのものを撤去した。2015年には、ビル・コスビーの胸像がハリウッド・スタジオ・パークから撤去された。彼の性的暴行に関する申し立てがあったことが明らかになったからだ。また南部連合の旗は、土産店から撤去され、エプコット・パークのアメリカン・アドベンチャーのホール・オブ・フラッグスに今後決して飾られないことになった。さらに、「カリブの海賊」の複数のシーンはジェンダー表象の観点からより良い表現へと更新された。

取締役会長のボブ・アイガー(ロバート・A・アイガー)と、新たにCEOに指名されたボブ・チャペックの両氏が、新たなイニシアティブに基づいて、ディズニーのマイノリティ表彰についての歴史を公に認めようと思っていることがほのめかされている。

全ての主要なハリウッドのスタジオがそうであるのと同様に、ディズニーもまた指揮をとる役職レベルにおける、深刻なマイノリティの代表者の不足(人事的な意味で)という問題がある。この点については、間も無くなされるであろうスタジオサイドに関するアナウンスメントによって取り組まれる予定だ。ディズニー社のその新たなイニシアティヴに関するニュースは、ディズニーの所有下にあるABCのような局ではない、ハリウッドに関する報道に焦点をおいたメディアから発信される模様だ。

どんな変更であれ、ディズニーのアトラクションやリゾートについて承認された変更は、実際に実装されるまで数年かかるようだ。現時点においては、ひとまず全て再オープンすることが待ち望まれている。7月中旬にはディズニーワールド、ディズニーランドのテーマパークがオープンする予定になっている。

 

westergaardのコメント

映画についてはスタジオが、どんどん過去の表象をパロディしたり、実写版の作成などによって、「遅すぎ」ではありながらもある程度「軽やかに」「柔軟に」対応するようになってきている。新しく作られる作品においてはどんどん過去の表象について「self-reflexive(自己再帰的)」な描き方がされるようになってきていることは、私が最近始めたYouTubeチャンネルでも紹介しているような『シュガー・ラッシュ:オンライン』や、記事でも取り扱った『アナと雪の女王2』などで見られている通りだ。 

www.youtube.com

 

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またオンラインでの配信サービスプラットフォームとしてのDisney+が展開され始めたことから、カット、変更、注意喚起などの対応がなされやすくなったことは良い傾向であった。

front-row.jp

 

ディズニーのテーマパークは、昨今日本でもようやく配信され始めた「イマジニアリング・ストーリー」でも語られていると思うが、一旦作ったらそれっきり変更が基本的には加えられない映画(実際には上のように変更されるようになってきているが)に対して、常に更新し続けることのできる場としての意味があった。

にもかかわらず、パークこそが「過去の価値観」を冷凍保存し続ける場所となってしまっている側面がある現状は否定することはできない。

しかし同時にディズニーのパークが、過去の「古き良きアメリカ」を振り返る歴史追体験的側面があることから、そういった過去にどう向き合うかという問題が絡んでくるため簡単には解決できない。

また、南部の唄(ソング・オブ・ザ・サウス)が批判されたように、実際に存在したはずの差別がなかったことにしてしまうのも問題とされる。実際、一次大戦直後が舞台にっている、初のアフリカ系アメリカ人女性を主人公にした「プリンセスと魔法のキス(2009年公開)」においても、公民権運動以前であればあったはずの差別がほぼなかったことにされており、それに対する批判は公開当時からなされてきている。

あれほどヒットしたアナと雪の女王においても、スカンジナビア半島遊牧民族であるサーミの描き方や文化の扱い方についての批判が為された結果、アナと雪の女王2においてはサーミを模した民族に対する歴史的迫害とその歴史修正主義的な態度を改めることが主人公たちの旅の中で課せられた。さらに制作にあたっては文化盗用(カルチュラル・アプロプリエーション)にならないよう、サーミと契約を結んでいることなども公表されている。

ikyosuke.hatenablog.com

 

他にも、Zootopiaのように差別や偏見に対して取り組む作品も登場しており、ディズニーアニメーションスタジオはじめとする映画スタジオ部門が取り組んでいることを追って、パーク・リゾートの部門(Disney Parks, Experiences and Products)下の各部署も取り組んでいくことになったのであろうと推察される。

#BlackLivesMatter が再びセンセーショナルになってきている現在、アメリカにおいて、そして世界においてあまりに巨大すぎるメディア企業が、多くの人たちの価値観に子どもの頃から影響を与え続ける「ディズニーランド」などのパークのアトラクションがどのように変更されていくのか、注意深く見守っていきたい。

 

 

 

※ディズニーカンパニー内の部署の構成については以下の図を参照。この図は、先日ブロードウェイアナと雪の女王が終了した理由について考察した記事のために作成したものであるが、中央にあるのが「Disney Parks, Experiences and Products」。

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ikyosuke.hatenablog.com

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おうちでBroadway Frozenを楽しみ尽くす!20の公式動画まとめ【終演決定 追悼企画】

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はじめに

ブロードウェイミュージカル FROZEN (ブローズン)の完全終演が電撃発表されてから一週間以上経ちました。いまだに信じられませんが、追悼企画第二弾と言うことで、現在ウェブ上でみられる、公式のブローズン関連動画を全て集めて紹介する企画です。

ikyosuke.hatenablog.com

 

今おうちで楽しめるブローズン関連動画一覧

違法でアップされているものはここでは紹介していません。

全て Disney on Broadwayのものか、あるいは米国のテレビ放送された映像をテレビ局の公式アカウントが挙げているもののみの紹介となっています。

 

動画の順番は、劇中で各ナンバーが使われる順番に並べています。

全曲のリストはこちらをご参照ください。

 

ikyosuke.hatenablog.com

 

 

1)宣伝用トレーラー

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2)トニー賞授賞式特別ダイジェスト版

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3)Patti Murinらによる “For the First Time in Forever” ステージ版

生まれてはじめて、の名で知られるこの曲も舞台化するにあたって変更されています。

変更点についてはぜひこちらの記事をご参照ください。

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ikyosuke.hatenablog.com

 

 

4)Cassie Levyによる “Dangerous to Dream” 歌詞つき動画

エルサのソロ曲。戴冠式が遂行される中、アナへの想いを歌った恋のバラード?!

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ikyosuke.hatenablog.com

 

 

5)Patti Murin と John Riddleによる “Love Is an Open Door“ ステージ版

ハンスとアナのナンバーも少し長くなっています。

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6)Patti Murin と Jelani Alladinによる “What Do You Know About Love?” 歌詞つき動画

アナとクリストフのデュエット。山登りしながら徐々に信頼を築いていきます。

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ikyosuke.hatenablog.com

 

 

7)Greg Hildrethによる “In “Summer

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8)Ryann Redmond(2019年キャスト)による “In Summer” スタジオ特別アレンジ版

「レディ・オラフ」の名でしれたライアンさん。劇団四季でも女性キャストもオラフを演じることになるそうです。

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9)Cassie Levyによる “Let It Go“ スタジオ版

何度見ても飽きない。

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10)Cassie Levyによる “Let It Go” ステージ版 

説明は、いりませんね笑

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11)Cassie Levyによる “Monster” スタジオ版

最初に公開された楽曲。エルサのソロナンバー。

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ikyosuke.hatenablog.com

 

 

12)Patti Murinによる “True Love” スタジオ版

アナのソロ曲。ハンスに裏切られ希望を失いつつも夢は捨てられないと歌う。

この曲は2020年度版キャスト導入と同時にカットされ、幻になりましたが、今ではブローズン自体が幻に。こちらの曲はロンドンや劇団四季での公演には含まれないと言われています。

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ikyosuke.hatenablog.com

 

 

13)Patti Murinのアナになるまで

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14)Cassie Levyのエルサになるまで

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15)Andrew Pirozziのスヴェンになるまで

スヴェンを演じるには相当に高度なバレエ技術が必要だとか。

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16)ロペス夫妻による音楽の解説

これは貴重ですね!

www.youtube.com

 

17)北米ツアーキャスト “For the First Time in Forever” 

ツアー公演は、コロナ収束後に大幅に予定を遅らせて実施継続する模様。

www.youtube.com

 

18)北米ツアーキャスト “What Do You Know About Love?”

ブローズンのセットと違ってツアーで持ち運びやすいように簡易的なセットになっています。

www.youtube.com

 

19)幻の2020年新キャスト

わずか一ヶ月足らずで公演が終わってしまった幻の2020年キャストの紹介動画。

www.youtube.com

 

20)幻の2020年新曲 姉妹デュエット “I Can’t Lose You”

北米ツアー公演より追加された新曲が2020年度キャスト導入と同時にブローズンにも組み入れられましたが、幻となってしまいました。

こちらの曲は劇団四季にはくるのでしょうか??

www.youtube.com

 

ikyosuke.hatenablog.com

 

おわりに

以上20本。私もこの記事執筆にあたり全て見直しましたが見応えありますね。

残念ながら公演期間中にニューヨークへ行けなかった方も、劇団四季は2021年6月から公演開始できるように準備しているようですし、

どうしても英語で見たいという方は、ぜひロンドンのウエストエンドでの公演や、オーストラリアでの講演が始まった際には足を運んでみてください。

私もウエストエンドへ行くことにしました。まずはこの感染症拡大が一刻も早く落ち着くことを祈っております。

それでは let the sun shine on!!

 

 

 

 

まだの方はこちらもどうぞ。
おうち時間でできる「センター試験風アナ雪テスト」

ikyosuke.hatenablog.com

 

*** 関連記事 *** 

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【アナ雪1,2音楽分析】「雪だるまつくろう」=「The Next Right Thing」!?__小室敬幸さんのライトモティーフ分析を整理・補足

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はじめに

2020年5月14日木曜日、TBSラジオ アフター6ジャンクションの午後8時からの枠で、音楽ライターの小室敬幸さんによるアナと雪の女王の音楽分析が放送され、話題を呼びました。

小室さん自身は過去にもFrozen、アナと雪の女王シリーズの音楽分析を兼ねてからされており、私が見つけた限りではすでに2本ほど挙げられています。

今回の放送では、以下の2本の記事の内容についても触れながら、さらに包括的に1作目と2作目で共通して使われるメロディやライトモティーフについて言及されました。

この記事執筆時点では、まだその放送がradikoで聴くことができますが、いずれ聴くことができなくなってしまうため、またエリア外の人が聴くことができないという声があったため、今回小室さんの分析を私なりに整理することにしました。

途中途中に私が追記や補足をしている部分もあります。

ちなみに記事の最後には、確認問題がありますので、しっかり最後まで読みながら手元で動画とサントラを再生しつつ、理解できたかを確認してくださいね!(笑)

note.com

gendai.ismedia.jp

 

小室さんが解説したメロディとライトモティーフの一覧

◉前提◉ スコアの「ライトモティーフ」とは?

・一度使われたメロディを、繰り返したり、変奏することで、音楽を使って過去の出来事を連想させる」のが目的。

音楽学者イエーンの言葉

・ドイツ語のライトは英語でリード:導く

・1879年にはワーグナー自身も使った

 

アナと雪の女王ではこの「ライトモティーフ」がかなり複雑に組み込まれているが、それがストーリーテリングを音楽の側面から助けている。

 

この記事では、小室さんが解説した順番に追いながら、映像が公式からYouTubeに上がっていない場合は、そのメロディが流れているシーンのスクリーンショットを掲載したので、自分で手元の映画で確かめてみてくださいね!!

 

1)<Frozen Heart のメロディ>

・「Frozen Heart(氷の心)」

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・「Coronation Day(戴冠式の日)」

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・(これは小室さんは言及しなかったが)「For the First Time In Forever (Reprise)(生まれてはじめて(リプライズ))」の終盤のファゴット

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2)Let It Go のイントロ=<両親(特に父親)のメロディA> 

初めて登場するのは、両親が死ぬシーン。

・「Do You Want to Build a Snowman? 雪だるまつくろう」の間奏

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youtu.be

・「Let It Go(レット・イット・ゴー ありのままで)」のイントロピア

www.youtube.com


・(これは小室さんは言及していませんでしたが)アナを再び傷つけてしまったエルサが、動揺しながら真っ赤に染まるアイスパレスの中で歩き回るシーン「Conceal, Don't Feel(落ち着くのよ)」:ここでも両親のことを思い浮かべていることがうかがえる。

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3)Let It Go のBメロ=<両親(特に父親)のメロディB> 

初めて流れるのは、父アグナルがエルサに手袋を与えて、魔法を隠すように言うシーン。

・「Do You Want to Build a Snowman? 雪だるまつくろう」の間奏

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youtu.be


・「For the First Time in Forever 生まれてはじめて」のエルサパート

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youtu.be

・「Let It Go(レット・イット・ゴー ありのままで)」のBメロ

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youtu.be

 

4)<「Elsa and Anna(エルサとアナ)」のメロディ>

ここから<エルサのライトモティーフ>と<姉妹の思いやりのライトモティーフ>が派生する。

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5)<エルサのライトモティーフ>(4からの派生)

♫シソファミレミ ラード ラード

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エルサに関するあらゆるところで使われる。元のメロディ自体も魔法の怪しい感じを反映している。

繰り返されるシーンの例:
「エルサのライトモティーフ」の追い込まれた版は、同じ「Elsa and Anna(エルサとアナ)」の後半の事故直後や「Sorcery(秘められた力)」などに登場。

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これらと同じ「エルサのライトモティーフ」は、Frozen2にもたくさん登場する。

 

6)<姉妹の思いやりのモティーフ>(4からの派生)

♫レードミシー
(小室さんは言及しなかったが、このメロディを背景にしながら初めてオラフが作られる)

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繰り返されるシーンの例:
アナが身を挺してエルサを守るシーン ♫ミーレソドーシファラー

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7)<Do You Want to Build a Snowman? のメロディ>

<姉妹の思いやりのモティーフ>

♫レードミシー

▶︎長調にして:ファーミラレー
▶︎音の動きを前半後半に分ける ファミ/ラレ
▶︎繰り返しを増やす ファミファ レラレ
▶︎並べ替えると レラレファミファ
=<Do You Want to Build a Snowman? のメロディ>

  

 

8)<4精霊のライトモティーフ>

8−1)アースジャイアントのモティー(曲:The Mist, Earth Giants)楽器はGemshorn Flute
8−2)ゲイルのモティー(曲:Exodus, Wind, The Ship, Epilogue)
8−3)ブルーニのモティー(曲:The Mist, Fire and Ice)
▶︎隣り合った音から離れた音へ:不穏な感じを表現

(小室さんは言及しなかったが、ブルーニやゲイルは、本人たちが登場していなくても、森にエルサらが入った直後、ブルーニの目線やゲイルの目線のカメラで映像が映されるシーンでも演奏されており、見えなくても彼ら?がそこにいることが伝わる演出になっている。)

8−4)ノックのモティー(曲:The Ship, Dark Sea)
▶︎水の記憶のライトモティーフでもあり、アートハランのモティーフなので特に重要

エルサが、船で記憶を蘇らせるシーンでも流れる。

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9)<The Voice のメロディ>

9−1)歌唱法:キュールニング
The Voice のベースは、キュールニング(これはロペス夫妻が次の動画で公認済み)

www.youtube.com

www.youtube.com


1作目に登場したキュールニング
・「Elsa and Anna(エルサとアナ)」:パパママ助けて!

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・「Sorcery(秘められた力)」:アナや国民らから逃走、国が凍りつく時

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・「Whiteout(氷原)」:ハンスから逃走中

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▶︎エルサの「心の叫び」

 

9−2)ライトモティーフとしての The Voice

www.youtube.com

・「All Is Found(魔法の川の子守唄)」:後半のサビの背景で奏でられる弦楽器(1:32〜)

youtu.be

・「Into the Unknown(心のままに)」:声そのものだが誰か別の人の声として現れる

www.youtube.com

・「Show Yourself(みせて、あなたを)」:エルサ自身が一人で歌う=自分の声だと気づく

www.youtube.com

▶︎エルサを読んでいた「The Voice」は、エルサの「心の声」であることが再確認される

 

この内容はまさに私が別のヒントを中心に考察したこちらの記事の結論と同じになります。

ikyosuke.hatenablog.com

 

10)<The Next Right Thing のメロディ> 

www.youtube.com

ikyosuke.hatenablog.com

 

繰り返される ”The Next Right Thing”

・(1)パビーの台詞

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・(2)マティアスの台詞:背景にはメロディの予告がある「Iduna’s Scarf(イドゥナのスカーフ)」

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・(3)アナ自身のソロナンバー ”The Next Right Thing”

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▶︎Do You Want to Build a Snowmanのメロディの変奏であるThe Next Right Thing

ミシシ ソファ The Next Right Thing

ミシ ミソファソ Do You Want to Build a Snowman

 

小室さんによる作品全体のメッセージの解釈

心の声とは、日常生活で感じる違和感であり、それを無視するのではなくThe Next Right Thing:次にできることをしようということこそがメッセージではないか。

 

映画全体のメッセージが「The Next Right Thing」であることを別の側面から確認している私の議論はこちらにまとめてあります。

ikyosuke.hatenablog.com

 

 

では、最後に確認問題です!!!

この Iduna's Scardf という、アレンデリアンとノーサルドラが再び手を取り合うことになったこのシーンの1曲の中に、これまで紹介したあらゆるメロディやライトモティーフが使われています。皆さんはいくつ見つけられるでしょうか? 再生しながら探してみてください。

私が公開前からサントラのこの曲が素晴らしい、とTwitter で言いまくっていた理由がお分かりいただけるのではないでしょうか?

youtu.be

 

 

*****

ちなみに、お手元のブルーレイにも、「Scoring a Sequel:楽器が奏でる音楽」というタイトルの特典映像に、4精霊のモティーフについてや、モティーフをロペス夫妻のメロディから持ってきていることなどは、スコアを担当しているクリストフ・ベックが語っている様子が収録されているので確認してみてください。

www.youtube.com

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【コロナ禍で終了】なぜライオンキングでもアラジンでもなくブローズンが?! Broadway Frozen アナと雪の女王ブロードウェイ

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Elsa is no match for Corona…

米国時間、2020年5月14日。

ニューヨークタイムズに次の文章で始まる記事が掲載されました。

「たとえクイーン・エルサの魔法をもってしても、コロナウイルスパンデミックには敵わなかった。(Even Queen Elsa's magic is no match for the coronavirus pandemic.)」

映画ファンの方は、この文章が1作目の裏切られたアナがハンスに言い放つ「You're no match for Elsa.(あんたはエルサに敵わないわ)」を思い出すのではないでしょうか。

www.nytimes.com

 

本ブログは、ブローズンこと、ブロードウェイ版ミュージカルのFrozen:アナと雪の女王の歌詞分析、作品分析を主なトピックとしてスタートしましたが、残念ながらこの新型コロナウイルスパンデミックの影響を受け、アメリカ時間5月14日にディズニーシアトリカルプロダクションはコロナが落ち着いても、再演はしないという決定を発表しました。

ブロードウェイの演目は、2020年3月11日より公演を休止し、その後何度にもわたって休演期間の延長をアナウンスし、ブローズンも9月までの休演がアナウンスされたばかりでした。

本記事では、New York Timesに掲載された記事の内容を参考に、休演から終演という判断に至った経緯についてまとめておきたいと思います。

(こちらが当ブログの最初の記事↓↓↓)

ikyosuke.hatenablog.com

 

ブローズンの歴史

2013年11月 Frozen(アニメーション映画) 全米公開

2014年 1月 ロバート・アイガーCEOが Frozenの舞台版が準備中であると発言

2017年 8月 Denverで、トライアウト公演がスタート

2018年 2月22日 New York St. James Theatre でプレビュー公演スタート(『ブローズン』)

2018年 3月22日 New York St. James Theatre で正式公演スタート(オリジナルキャスト)

2018年 4月3日 当ブログ著者 westergaardが初観賞(←超個人的)

2019年 2月19日 2019年度の新キャストによる公演スタート(ブローズン2019キャスト*1)

2019年11月 北米ツアー公演スタート(私の呼び名『ツアーズン』)

2020年2月18日 2020年度の新キャストによる公演スタート(ブローズン2020キャスト)とともに、ツアー版の新演出、新曲、一部曲のカットが適応される*2

2020年3月11日 新型コロナウイルスパンデミックを受け、公演休止

2020年5月14日 度重なる「公演休止期間延長」のアナウンスの後、3月11日の公演をもって終演したとすることを発表。

 

※1)2019年度新キャストについてはこちら

ikyosuke.hatenablog.com

※2)2020年度新曲、新演出についてはこちら

ikyosuke.hatenablog.com

 

Short History of Disney on Broadway:ディズニー舞台版ミュージカルの歴史

ディズニー社と一口に行ってもその下の構造は非常に複雑です。

皆さんがよく耳にするような部署をまとめてみました。

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ブロードウェイの公演を司っているのは、The Walt Disney Company下のStudio Entertainment: The Walt Disney Studiosの、Disney Theatrical GroupのDisney Theatrical Productions(DTP)です。

ややこしいでしょ?笑

ちなみに劇団四季はこのDTPとパートナーシップを結んで、ディズニーの舞台作品の日本語版アダプテーションを公演しています。

 

さて、DTPによるブロードウェイでの公演ははじめは、Beauty and the Beast美女と野獣でした。

1991年に公開されたアニメーション映画『美女と野獣』があまりに素晴らしく、「まるでブロードウェイミュージカルのようだ」という批評が相次いだことを受け、当時のCEOマイケルアイズナーが実際にブロードウェイのミュージカルプロダクションにする判断をしてしまった、というのがその始まりでした。

1993年にHoustonでトライアウト公演をしたのち、1994年にはブロードウェイで。1995年にはLos Angeles, Melbourne, Toronto, Vienna, 北米ツアー、そして劇団四季が東京で公演開始するなど世界展開。2019年はこの、Disney on Broadwayのスタート(1994)から25周年ということで記念の公演や特番の放送が(アメリカでは)たくさん行われました。

 

1994年 Beauty and the beast(2007年7月に終演)【13年】
1997年 Lion King(ロングラン中)【23年】
1999年 The Hunchback of Notre Dame(2002年終演)<ベルリンのみ>【3年】
2006年 Tarzan(2007年7月に終演)【1年】
     Mary Poppins(2013年終演)【7年】
2008年 The Little Mermaid(2009年8月に終演)【1年】
2014年 Aladdin(ロングラン中)【6年】
2018年 Frozen(2020年3月終演)【2年】

に至るまであらゆる公演がスタートしては終演してきました。(この他にもいくつかの演目がありますが、今回は割愛)

こうしてみると、20年以上ロングランしている Lion King がどれだけ強いコンテンツかがよくわかりますね。

逆に、日本でロングランしている、リトルマーメイドや美女と野獣がブロードウェイではとうに終わってしまっていることや、リトルマーメイドの短さに驚かされたのではないかと思います。

 

劇団四季とDisney on Broadwayの違い

これは色々な違いがありますが、今回のブローズン廃止に関係する部分だけ取り上げます。

1)シアター(劇場)は専用ではなく契約。

2)キャストやスタッフは専属ではなく年契約。

3)チケットは変動相場制、公式公認のリセール(転売)あり

まず、劇団四季は劇団として専用の劇場や劇団員を抱えていますが、ブロードウェイというのは、シアターや役者は独立していて、プロダクションが作品ごとにシアターを契約したり、役者やスタッフを年契約で雇っています。すべてが作品ごとです。

ディズニーの場合はプロダクションが同時並行的に複数の作品をあちこちの劇場で、またツアー公演や海外公演を行なっている状況になっているわけですが、シアターを所有しているわけでも、専属の役者がいるわけでもありません。

このため、現在のようないつまで公演が再開できないかわからないという状況では、永遠と借りているシアターや役者はじめスタッフへの契約料を支払い続けねばならなくなります(現在のコロナ禍で、演者をはじめとしたスタッフへのお金がどうなっているのかは不明)。

2020年時点でDisney on Broadwayは、ロングラン中の Lion King、Aladdin、Frozenの3本立てて運営していました。

この他にDTPは、北米ツアー版のFrozenやAladdinなどを運営しており、ロンドンのウェストエンドや、オーストラリアなどでも直営で公演を行なっていますし、今後ローンチするための公演準備にもお金をかけているはずです。

これらはすべてコロナ禍で休演していますから、維持費に相当なコストがかかっていると想定されます。その一方いつまで休演を余儀なくされるかわからない状況が続いています。

今回、新キャストに切り替わってから一ヶ月もしないうちに休演になり、その後終演という扱いになったことから、2020年度キャストやスタッフの1年分の契約金が支払われるとは私は思えません。ですから、彼らは実質このFrozenからの収入はなくなってしまう可能性すら危惧されますが、正確なところはわかりません。しかし、劇団ではない作品ごとの契約を行なっているブロードウェイではこのようなことが起きているわけです。

 

さらにチケットは変動相場制です。S席、A席、B席のような大雑把な区分けではなく、エリアの中でも微妙な位置によって価格に差があったり、さらには購入する時期によって同じ席でも値段が変動します。年末年始などは高くなりますし、逆にギリギリになっても空席がある平日などは、価格が急に低くなったり、プロモーションコードでキャンペーン価格で席が手に入ったりします。ちなみに私はNYで生活していた時、こういった良い席なのに値段の下がったチケットをうまく手に入れて、何度も通っていました。

さらに公式が認める転売が存在します。これは一度個人が購入した座席をリセールと言って売りに出すことができ、売れた場合には個人にお金が入るという仕組みになっていて、購入時よりも高い値段をつけることも低い値段をつけることもできます。ただし売れなかった場合は、売りに出した人の負担になる仕組みです。これにより、年末年始は先に押さえて転売されることも多く値段が極端に吊り上がることもあります。

 

なぜブローズンがお取り潰しになったのか?

端的にいって、理由は現在ブロードウェイで上演されているDisney on Broadway の3作品のうち、ブローズンが最も収益が低かったから、です。ライオンキングと、アラジンの公演を継続するために、シアターの契約などを続けていくには最も収益率の低いブローズンを切らざるを得なかった、というのが正直なところのようです。非常に残念ですが。

NY Timesの記事では、ブローズンは26億〜30億円ほどかけて製作されていると推測されており、2018年に初演の際はかなり期待をされていたが、評論家からは厳しい評価を受け、ピーク時期には2.7-2.8億円/週ほどの収入を上げたが、この2月には1億円/週ほどに落ち込んでいた、と。

これは、先に書いたようにチケットが変動相場制であることが関係していると思います。需要が高まれば、最初に公式が売る価格自体が吊り上げられますから、収入は多くなります。

しかしあまりに席が余っている場合は、公式が値段を下げられる最低まで下げます。その上転売すらされず、公式価格のまま誰も買わずにその座席が残れば、収益は減少します。

2月にキャスト変更直後に観にいった友人が3階席(Balcony)がガラガラだった、という証言も私のツイートへのリプライで来ていましたから、このNY Timesに書かれている売り上げの落ち込みはそう言った形で目に見えて現れていたのかもしれません。

 

確かに、私がみていた限りでは2018年の年末も2019年の年末も確かにブローズンより、アラジンの方が値段は高くなっていました。このことからもアラジンの方が「人気があった」ことは推察されます。

NY Timesの記事では、こうした人気の落ち込みから、コロナ収束後も集客が以前のようなピーク時に戻ることは難しいだろうということが今回の終演判断を後押しした一つの理由だったようだと書かれている。

また、今ブロードウェイ公演を終演すれば、一部の小道具や衣装などが、現在準備が進んでいるロンドンやオーストラリアなどでの公演に再利用できるということも指摘しています。

 

端的にいうと、収益率の低さと、今終演することで一部のリソースを効率的に再利用できるから、とまとめられます。

 

おわりに

現在公式ウェブサイトを見ると、ブロードウェイ公演の情報はキャスト情報含め跡形もなく消され、一切見られなくなってしまっています。

残っているのは北米ツアーの情報です。北米ツアーも中止になっていますが、現時点においてはコロナ収束後にツアー公演のみなんとか継続する予定のようです。

 

途中に見たDisney on Broadwayの歴史を振り返れば、ブローズンは消して極端に短かったわけではありません。むしろ、ライオンキングが長すぎるのです笑

また日本の劇団四季は、ブロードウェイのようにどんどん新作が登場してくる競争の中にさらされているわけではないことや、専用劇場や劇団員が存在することからあれだけロングランができる特殊な状況にあることも、逆に浮かび上がってくるのではないでしょうか。

もちろん、日本でこの秋から始まるはずだった劇団四季による公演も延期され、チケット販売開始時期についてのアナウンスも夏にされるとなっていますが、それもいつまで待たされるかわかりません。でも幸いまだ全くなかったことになる、という決定はされていません。

 

今回は非常に残念なニュースとなってしまいましたが、この2年少しのブロードウェイでの公演期間に幸運にも見にいくことはできた皆さんはラッキーだったということで、またその間に私のブログが少しでも役に立ったと思っていただけたなら嬉しい限りです。

 

私は、2020年度版の新キャストと新曲、新演出を観るために2020年3月に渡航すべくあらゆる手配をしていましたが、私が向かう前の3月11日に「最終公演」を終えてしまったため残念ながら見ることなく終わってしまいましたが、劇団四季で I Can't Lose You が聴ける日が来ることを祈っております。

 

それではまだ大変な時期が続きますが、心の中では Let the Sun Shine Onし続け、日のひかりを浴びながら歩き出せる日を希望を持って待ち続けましょう!

 

これを機に、Disney Broadway Frozenのオリジナルサウンドトラックを購入した!という方はぜひこちらの一連のブローズン歌詞分析記事をご参照くださいね。

 

ikyosuke.hatenablog.com

 

ikyosuke.hatenablog.com

 

 

こんな本もあります。おすすめです ↓↓↓

The Disney Musical on Stage and Screen

The Disney Musical on Stage and Screen

  • 発売日: 2017/06/29
  • メディア: ペーパーバック
 

 

 

 

 

Frozen2 アナ雪2【未公開曲:I Seek the Truth 】歌詞和訳・独自訳詞 エルサとアナのデュエット

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はじめに

アナと雪の女王2の公開から半年近くになり、間も無く日本でもデジタル配信や、ディスク発売によっていつでも映画が鑑賞できるようになりますね。

新型肺炎の影響で色々と楽しみがなくなっている中でもありますし、兼ねてから当ブログや筆者のツイッターアカウント(@westergaard2319)の方にも「是非、Deleted Songも扱って欲しい!」という声を多数いただいていたので、ようやく着手しました。

Frozen2 Deleted Songs 未公開曲

公開されている Deleted Song は、5曲。そして驚くことに、カラオケJOYSOUNDでは全ての曲が配信されているので、是非「三密」の代表であるカラオケボックスが再開された時には歌ってみてください!
(歌いやすいような日本語歌詞もつけましたのでこの記事の最後に紹介します!)

1)All Is Found (Lullaby Ending)(イドゥナの子守唄の転調なしバージョン:歌詞は同じ)

www.youtube.com

2)Home(アナのソロ曲)

www.youtube.com

3)I Seek the Truth(エルサとアナのデュエット曲)

www.youtube.com

4)Unmeltable Me(オラフのソロ曲)

www.youtube.com

5)Get This Right(クリストフとアナのデュエット曲)

www.youtube.com

この記事ではまず、エルサとアナのデュエット曲 I Seek the Truth を扱います。

 

Frozen2 Deleted Songs 未公開曲

 I Seek the Truth は、曲の構造としてはまさに『生まれてはじめて』の逆バージョンと言えます。
一作目の『生まれてはじめて:For the First Time in Forever』は、変化を望むアナが中盤までメインで歌い、その後に変化を拒みつつも変化(開門)を宣言するエルサのパートが挟まり、そして二人の遠隔デュエットとなります。

この I Seek the Truth では、真実を知るために旅に出たいエルサがメインで、そしてようやく手に入れたエルサとの平穏な日々を失いたくないアナパートが挟まり、二人のデュエットとなります。

この曲については、他の『Home』『Unmeltable Me』『Get This Right』と異なり、サウンドトラックのデラックス版に収録はされているものの、映像(絵コンテ:Storyboard)は公開されていません。
現在YouTubeで部分的に公式が公開しているものもありますが、これらは日本語版のBlu-rayディスクにも収録される予定で、その際には公式の日本語字幕がつけられる予定です。
しかし、I Seek the Truth はその中に含まれていないことから、一体どのような場面だったのかは想像するしかありません。


米国で既に販売されているディスクの中にはいくつかの削除されたシーン(deleted scenes)が収録されておりその中に「The Secret Room」というものがあります。
これは、アナとエルサが城の中の秘密の部屋で、母イドゥナがエルサの魔法について研究していたらしい痕跡を見つけるシーンです。どうやらイドゥナは、アレンデールでは使用が禁止されているノーサルドラの言語を使って文章を書いていたようです。

I Seek the Truth では、この「本」がキーワードとして出てくることから、この記事では、このシーンの直後に歌われる予定だったのではないか?という解釈で翻訳をつけています。

(なお、真相は不明で、これは一つの解釈です。まさに Seek the Truth  したくなる笑)

www.youtube.com

 

歌詞と対訳

お待たせしました。それでは歌詞と対訳です。

 

 

[Elsa]

Mother I am flipping through the past
母さん、私 過去をパラパラ目を通してる

Turning pages of a book to find you
あなたを見つけるため 本をめくってる

Mother I am lost
母さん、私 迷子よ

Mother I am scared
母さん、私 怖いよ

Mother I don't know what to do.
母さん、私 どうしていいか わからない

What were you trying to say?
何を言ってくれようとしてたの?

You must have written it down for a reason
何かわけがあって書き残したのよね

Must've thought I'd find it someday.
いつか私が見つけると思ったのよね

 

I feel this power surging through me every minute
私 この力が刻々と強くなるのを感じるの

Like a horse that's gone wild.
荒れ狂う馬のように

Mother you were here
母さん、ここにいたのよね

Mother you are gone
母さん、もう行ってしまったわね

And you left behind a scared child.
この怯える子どもを置き去りにして

 

Can't sit around and cry
ただ座って泣いてなんていられない

There's too much to lose
失うものが多すぎる

And I think that I've
Been given this power for a reason
この力はなにか理由があって与えられたのよね

And I need to know why.
どうしても なぜか知りたいの

 

 

I seek the truth
真実を見つけ出すの

What are you telling me?
なにを教えてくれる?

I'm ready to hear.
聞く準備はいいわ

Can't go forward this way
もうこれ以上このままではいられない

With questions growing day by day
日に日に大きくなるこの疑問

I seek the truth
真実を見つけ出すの

What are you showing me?
なにを見せてくれる?

I'm ready to see
見る準備はいいわ

I need to know who you were
知りたいの あなたが何者か

To know who I am meant to be.
私が何者になる運命なのか知るために

 

 

Mother you were everyone's queen
母さん、あなたはみんなの女王だった

I watched you closely and you taught me well.
近くで見てたわたしに たくさん教えてくれた

How do I be you?
どうしたら母さんみたいになれる?

How do I be good?
どうしたら良き者になれる?

How do I be me in Arendelle?
どうしたらアレンデールにいるべき自分になれる?

How do I govern this land 
どうしたらいい? この国を治めるには

With a power inside that I can't command?
私が制御できないこの力を持ちながら

It's growing and speaking a language
強くなるの そして語り出すの

That I don't understand!
私のわからない言葉で!

 

And I seek the truth!
だから 真実を見つけ出すの

What are you teaching me?
なにを教えてくれるの?

I'm ready to learn
学ぶ準備はいいわ

Can't retreat once again.
もう二度と引きこもれない

And so I turn to you back then.
あの頃の母さんに向き合うわ

I seek the truth!
真実を見つけ出すの

You left me messages
母さんは私にメッセージ残したわね

And they hold the key.
そこにカギがあるのよね

I need to know what they mean
どうしても知りたい その意味を

To know who you want me to be.
母さんが私にどうなってほしかったのか知るために

 

 

[Anna]

Another secret
また秘密

And another and another.
ほかにもひとつ、またひとつ

At least you were consistent
少なくとも一貫してたわね

Hello father! Hello mother!
父さん、母さん、こんにちは

But I won't let that pull us back to what we were before.
でもその秘密のせいで あの頃に後戻りしたりはさせない

I won't let her close that door!
エルサにドアは閉めさせない

No more doors anymore!
もうドアはうんざり

 

 

 

[Elsa, (Anna)]

Where the Northwind
Meets the sea. . .
北風が海に巡り合うその場所に

(No more secrets. . .)
(もう秘密はなし)

There's a river. . .
川が流れる

(Stay together. . .)
(一緒にいて)

Full of memory!
記憶に満たされた川

(You're my family.)
(私たちは家族だから)

Come, my darling
Homeward bound. . .
良い子よ帰っておいで

(I just found you)
(見つけたばかりよ)

Homeward bound!
おかえり

(You'll stay found!)
(このままで)

 

[Elsa, (Anna)]

I seek the truth!
真実を見つけ出すの

You drew a map for me
母さんは地図書いて
You left me a clue
ヒントを残してくれたのね

You didn't leave me alone
母さんはわたしを独りにはしなかったのね

You're with me guiding what I do!
一緒にいてくれたのね わたしのすることを導き

I seek the truth!
真実を見つけ出すの

(Elsa)
(エルサ)

They say that it can hurt but even so
真実がたとえ私を傷つけるものであったもしても

(Elsa)
(エルサ)

I need to know who you were
どうしても知りたいあなたが何者だったのか

So I can know who I am
私が何者かをわかるために

And I won't let it
手放さない この決意を

(I won't let you)
(手放さない あなたを)

Go
もう

(I won't let you)
(手放さない あなたを)

Go
もう

 

独自の吹替歌詞『見つける 今こそ』

最後に、この対訳をもとに、独自の吹替歌詞をつけたので紹介します。

 

タイトルは『見つける 今こそ』。

I Seek the Truth 「ウ段」で伸ばす音を「真実〜」「見つける〜」と2パターンで訳出することで、キーワードとしました。

 

 

[エルサ]

母さん 残してくれた
この本 めくりながら
迷ってる
怯えてる
どうしたらいいの
なんのために
書き残したのだろう
わけがあるはずね

 

強くなる力に
日々悩まされてきたの
ねえ会いたい
でも会えない
残され震えるわたし
泣いてる暇はない
でもあるのよ理由
何かしら この力に
だから  知りたい

 

そう真実
を見つけ出すの 今こそ
深まる謎
ますます知りたい だから

見つける
あなたの秘密 今こそ
あなたが誰か
わたしを知るために

 

母さん みんなに
慕われてた女王だったね
なりたいの
あんな女王
アレンデールのために
どうしたらここで
力抑え 暮らせるの
今も 語りかける
この 
謎の力

 

だから真実
を見つけ出すの 今こそ
戻れないわ
あの暗い日々 だから

見つける
残されたカギ 集めて
解き明かしたい
わたしへの想い

 

[アナ]

また秘密
ほら まただ まただ
いつもこうなるの
ねぇ 父さん 母さん
でも繰り返さない 寂しい日々を
閉めさせないの
扉 二度と

 

 

[エルサ,(アナ)]

北風が 海に(秘密は禁止)

巡り合う(離れちゃダメ)

記憶の川(家族は常に)

おいで良い子よ(見つけたばかり)

向かうわ(行かないで)

 

そう真実
そこへ導く この地図
残してくれた
わたしのため だから

見つける(エルサ)
傷ついたりしてでも(エルサ)
あなたの過去に
わたしの運命に
背は向けない(離れない)
もう
(離れない)
もう

 

是非、カラオケボックスが再開したら、アナ雪クレイジーなお友達とのカラオケの際には、英語版や日本語版を歌ってみてください!!

今後も他のDeleted Songについての記事を、のんびりアップしていく「予定」です。
(予定は未定、という逃げも一応用意しておく。笑)

 

それでは、お元気で stay home stay safe!



 

センター試験風「FROZEN: アナと雪の女王」問題(2020)

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 はじめに

舞浜新聞さんが今年公開された「センター試験風『東京ディズニーリゾート』問題」にインスパイアされ、その『FROZEN:アナと雪の女王』版を作ってみようと思い立ちました。

maihama.hateblo.jp

 

どのくらいの方が興味があるのかな?と思い、Twitterで軽くアンケートをとってみたところ、そこそこ関心を持っていただける方がいらしたので、作ってみることにしました。

 

 

<問題編>

 

センター試験風ですので選択式の問題になっています。

マークシートは問題を解く皆さんがご自身で用意してください(笑)。

マークシートがなくても、問題用紙に書き込んでいくスタイルで十分に解けますので、印刷して書き込んでいただいたり、あるいはダウンロードしたPDFにiPad等のアプリで書き込んでいただいても構いません。

 

⬇︎⬇︎⬇︎⬇︎ 問題編は以下のリンクよりダウンロードしてください。⬇︎⬇︎⬇︎⬇︎

drive.google.com

 

一部問題に不備がありました。解答編の方で訂正をしていますので、ご確認ください。 

 

<解答編>

⬇︎⬇︎⬇︎⬇︎ 解答編は以下のリンクよりダウンロードしてください。⬇︎⬇︎⬇︎⬇︎

drive.google.com

 

 

問題・解答の不備や間違い等にお気づきの際は、Twitter アカウント @westergaard2319 までリプライ等でご連絡いただけると、何らかの対応ができるかもしれません。

それでは皆さんの、もてる知識を全力で "Let go" して、制限時間90分以内に解答してみてくださいね!