ikyosuke 作品分析

映画、ミュージカル、音楽、自分が好きなものを分析して語ります。

*Frozen Broadway* 19. True Love

19. True Love

位置付け

以外にもアナのソロ曲は映画本編にはなく、舞台でもこの一曲だけ。(まあ実質 Do You Want To Build a Snowman? はソロ曲みたいなものだけど、なんかあんまりソロ曲というイメージがない) 

さて、17. Kristoff Lullaby ののちに心を決めたクリストフはアナを抱いて城へ急いでいる中、18. Monster でエルサは自らハンスたちに降伏し、全員が城に戻って来ました。

クリストフはアナを守衛に引き渡すと、映画と同じように、スヴェンが無言でこれでいいのか?と問います。しかしクリストフは、「We DID the right thing.」と言い聞かせるように言って、アナを残してさって行きます。背景にはクリストフとアナのデュエットソング What Do You Know About Love? のメロディが寂しく演奏されています。

続いて氷かけているアナのいるところへハンスがやって来ます。

アナ: Hans, kiss me! Only an act of true love can thaw a frozen heart.
ハンス: A True Love's Kiss? If only there was someone out there who loved you.
アナ:You said you did!
ハンス:I lied! (←これ映画にないセリフ) As a thirteenth in line in my own kingdom...(以下略)

で、途中から歌に切り替わります。 これはサントラに入っていませんが3度目の「ハンスの歌」リプライズ

 

 

アナ: Hans, kiss me! Only an act of true love can thaw a frozen heart.
ハンス: A True Love's Kiss? If only there was someone out there who loved you.
アナ:You said you did!
ハンス:I lied! (←これ映画にないセリフ) As a thirteenth in line in my own kingdom...(以下略)

で、途中から歌に切り替わります。 これはサントラに入っていませんが3度目の「ハンスの歌」リプライズ

[Hans]

Once I kill Elsa

あとはエルサを殺して

And give you this ring

君にこの指輪をやれば

I'm King Hans of Arendelle

僕はアレンデールのハンス王だ

 

短すぎるのでCDに入らなかったのだと思いますが、コレ結構大事だと思っていて、
1回目 (5. Hans of the Southern Isles)Just Hans of Southern Isles

2回目 (12. Hans of the Southern Isles (Reprise))Prince Hans of Southern Isles

3回目 (無題だけどつけるなら (Rperise 2) ってとこ)King Hans of Arendelle
このように、回数を経るごとに、ハンスのアレンデールにおける立ち位置が変わって行く。しかもすべて自分からの「名乗り」であるというところがポイントで、それが同じメロディに乗せて歌われることで、どういう風にハンスが自身の位置付けを変化させていっているかがちゃんと描かれています。このあたりぜひ書籍『Frozen Heart』のハンスパートと並行してみていくと面白いです。

 

そして、ハンスが部屋に鍵をかけてアナを閉じ込めるとすぐに、ピアノのイントロが始まります。

 


Patti Murin - True Love (From "Frozen: The Broadway Musical" / Acoustic)

 

 

歌詞と対訳

 

[Anna] 

I've sat alone in this room before

前にもこの部屋に一人ぼっちで座ってたわね

Hours and hours on end

何時間も何時間もずっと

I know this delusional wish 

わかってる これは間違った希望だって

The door would open to reveal a friend

ドアが開いてそこに友達が現れるだなんてことは

 

 

I know this solitude

わかってる この孤独

I know this kind of cold

わかってる この種の寒さ

But I had faith in what the stories told

それでも私は信じてたの 語られる「物語」を

Of true love

真実の愛の物語

How I'd find true love

どうしたら真実の愛なんて見つけられるんだろう

 

 

And here I am in this room again

そうして再びこの部屋にいる自分

Just as lost and small

喪失感にみまわれ、縮こまってる

That lonely girl with a desperate heart

絶望している孤独な少女

Is who I am after all

結局のところ それが私

There's no escaping her

そこから逃れる道はなく

But now the dream is gone

でも今や夢も敗れ

Because I spent a lifetime counting on

だって私はそれだけを頼りに人生を過ごして来たんだもん

True love, true love

真実の愛

 

 

I was looking for a fairytale

私がみつけようとしてたのは「お伽話」

And dove headfirst into his

それで軽率にも彼の腕に真っ先に飛び込んだの

Turns out you can't find love

わかったの 愛は見つけられないんだって

If you don't know what it is

愛が何かもわかってないんだったら

 

  

 

And now it's clear

でももうはっきりわかった

I'll never leave this room

私はこの部屋からも出られないってこと

It ends as it began

私の人生はこうして終わるの、はじまりと同じように

With no one but myself to blame

責められるのはたったひとり自分だけ

I played my part in the play

私は自分の人生という劇の中で 自分の役割は演じきったわ

Dreaming got me here

夢みてたせいで こんなことになったの

And yet the dream won't die

でも それでも夢は完全にはなくならないの

I can't wish it away

どこかへ消し去るなんてできないの

No matter how hard I try

どれほど頑張って消そうとしても

True love

True love

True love

真実の愛

 

 

 

解釈と解説

ピアノのイントロが始まると、幼少期アナが舞台へ登場します。

幼少期アナは、床に横たわりながら歌い始めるアナを見つめています。 

 

[Anna] 

I've sat alone in this room before

前にもこの部屋に一人ぼっちで座ってたわね

Hours and hours on end

何時間も何時間もずっと

I know this delusional wish 

わかってる これは間違った希望だって

The door would open to reveal a friend

ドアが開いてそこに友達が現れるだなんてことは

 

このパートはエルサが出て来るのを期待してずっと待っていた Do You Want To Build a Snowman の頃のことを思い出しながら歌っていることが舞台の上ではっきり表現されます。

この後ドアからオラフが入って来ることを考えると、オラフが入って来てくれた時アナがどれだけ嬉しかったか、どれだけ救われたかが強調されます。

 

I know this solitude

わかってる この孤独

I know this kind of cold

わかってる この種の寒さ

 

 アナからは「cold」という単語が出るのは珍しいです。結局「cold」とは何かの解釈を検討する記事が書けていないのですが、前回の 18. Monster でエルサの「I'm making my world colder / How long can it survive?」を訳した時、孤独の限界がきている様子だろうということで書いたように、とりあえずのところ、cold を孤独の象徴としています。(「making my world colder の限界がきている」=「もはや cold never bothered me anyway ではない」 という解釈  そのうち曲を横断した分析記事書きます!)

 

But I had faith in what the stories told

それでも私は信じてたの 語られる「物語」を

Of true love

真実の愛の物語

How I'd find true love

どうしたら真実の愛なんて見つけられるんだろう

  

アナは、語られる真実の愛の物語を信じていたと歌います。この辺りは、 10. What Do You Know About Love? でクリストフに、お前現実のことわかってなさすぎだろ?っていう意味で、「Some people read a lot of books」と皮肉られた時に、アナが「I like books!」と返していることからもわかるように、映画では描かれなかったもののエルサが出てこないため一人で過ごしていた時、物語の本をたくさん読んでいたであろうことが推測できます。(まあ本が好きなプリンセスっていうと、美女と野獣のベルが真っ先にイメージされますが。アナもおんなじくらい頭の中がファンタジーということなんですね。)
I had faith ですので、ハンスの裏切りによってもはや信じられなくなっていることも伺えます。

 

And here I am in this room again

そうして再びこの部屋にいる自分

Just as lost and small

喪失感にみまわれ、縮こまってる

That lonely girl with a desperate heart

絶望している孤独な少女

Is who I am after all

結局のところ それが私

 

こはちょっと微妙です。この部屋というのがなんの部屋なのか結局はっきりしないのです。アナの寝室なのか、はたまた映画の時と同じように図書室なのか。

図書室からエルサの部屋につながるドアでもあるのか。

図書室なのであれば、本をずっと読んでいたということとリンクする気はするのですが、あまりそこは舞台版では明言されません。

 

There's no escaping her

そこから逃れる道はなく

But now the dream is gone

でも今や夢も敗れ

Because I spent a lifetime counting on

だって私はそれだけを頼りに人生を過ごして来たんだもん

True love, true love

真実の愛

 

逃れる道がないことと、夢が消え去ったことが逆説でつながれていることから、アナはこれまでなぜ拒絶されたかもわからないままエルサに拒絶され続けていた13年間、夢みることで唯一逃避していたことが読み取れます。

そして真実の愛だけを頼りに生きてきた、と。まさにシンデレラです。「No matter how your heart is grieving / If you keep on believing / The dream that you wish will come true」と相手が誰なのかもはっきりしない漠然とした夢を信じ続けたシンデレラの姿と重なります。

アナがあれだけ夢見心地な性格なのが、それが唯一彼女自身の心を救う方法だったからと考えると、単なる浮世離れした夢みがちなプリンセス、というステレオタイプではなくアナにもう少し寄り添った見方ができるな、と思い私は個人的にこの一節は気に入っています。

 

I was looking for a fairytale

私がみつけようとしてたのは「お伽話」

And dove headfirst into his

それで軽率にも彼の腕に真っ先に飛び込んだの

Turns out you can't find love

わかったの 愛は見つけられないんだって

If you don't know what it is

愛が何かもわかってないんだったら

 

でもそんなアナも、ハンスに裏切られ死が迫っていることを悟ったからか、少し冷静に自分を見つめています。

I was looking for a fairytale / And dove headfirst into his でハンスに無理やりつけられた婚約指輪を外します。
(投げ捨てるかと思いきやポケットに入れます。これは演出の都合かな?笑 アナなら投げそう)

愛が何かもわかっていなかったら愛など見つけられないってわかったの、という節はおそらく、クリストフから "What do you know about love?" と問われ続けたことを相当アナなりに気にしていたんだなぁというのもわかる部分です。

 

And now it's clear

でももうはっきりわかった

I'll never leave this room

私はこの部屋からも出られないってこと

It ends as it began

私の人生はこうして終わるの、はじまりと同じように

With no one but myself to blame

責められるのはたったひとり自分だけ

I played my part in the play

私は自分の人生という劇の中で 自分の役割は演じきったわ

 

アナはこの時点でもう自分が死から逃れられないことを悟り、完全に諦めてしまっているかのようです。しかしそれでも決して完全には諦めないのがアナ。

 

Dreaming got me here

夢みてたせいで こんなことになったの

And yet the dream won't die

でも それでも夢は完全にはなくならないの

I can't wish it away

どこかへ消し去るなんてできないの

No matter how hard I try

どれほど頑張って消そうとしても

True love

True love

True love

真実の愛


夢見心地な自分が今のような結果を招いたとはわかりつつも、それでも真実の愛を見つけられるはずという希望を完全に消し去ることはできない、と弱り果てて床に寝そべりながらか細くも力強く歌う、諦めないプリンセス。

そこにオラフがやってきます。 

 

楽曲リストはこちら。