ikyosuke 作品分析

映画、ミュージカル、音楽、自分が好きなものを分析して語ります。

*Frozen Broadway* 17. Kristoff Lullaby

17. Kristoff Lullaby

位置付け

アナの髪の毛が白くなり始めていることから異変を察知したクリストフが、小さい頃から世話になっているHidden Folk(映画でいうトロール)を呼び出し、映画と同じようにFixer Upper を一通りやったあとで、アナは倒れてしまう。

パビーはアナのHeartに魔法が直撃しているから難しいと言いながらも、それでもいいから試してみてくれと懇願するクリストフに促されパビーは魔法で取り除こうとする。

ここでは、Hidden Folkの歌(CDに収録されていない呪文のような歌)がパビーとアンサンブルらによって歌われるが、その途中で舞台全体がスローモーションになり、クリストフの心の中で思っていることが歌として表現されるのがこの曲。

 

歌詞と対訳

 

[Kristoff] 

What is this hollow kind of happiness I'm feeling?

いまオレが感じている空虚な幸せはなんだろう?

This type of terror is new

こんな怖さを感じるのは初めてだ

And the fact that I can hardly breathe is now revealing

自分の息が詰まるほどだということに今気付かされた

How much I've changed because of you

いったいオレはどれほど変わったんだろう 君のおかげで

 

 

You light the world for me

君はオレの世界に光を照らしてくれた

You live life fearlessly

君は何も恐れずに生きていて

Braver than the bravest of us do

俺たちの誰よりもずっと勇敢で

You trust, you hope, you dare

信じて、希望を持っていて、思い切りがある

You choose to feel and care

感じること、気にかけることを選び

I thought that I was strong till I bumped into you

オレは自分が強いと思ってた 君に出会うまでは

 

 

What do I know about love?

オレは愛の何をわかっているんだろう?

What do I know about love?

いったい愛の何をわかっているんだろう?

 

 

Everything I thought I did

オレがしたと思ったことはすべて

You've gone and changed it kid

君はすでにやっていて変えたものだ

You're what I know about love

 

君はオレが知ってる愛そのものだ

 

 

 

解釈と解説

 映画版では、クリストフの内面が明かされることはほとんどなく、どのような心境でハンスのところへ連れて行こうとしたのかは描かれませんでした。

もちろん、ハンスのところへ連れて言った後引き返す際にはスヴェントの会話を通してクリストフがアナのことを本当は心配で仕方ないということが明かされますが、舞台版ではそのシーンがないためこの歌を通してアナへの想いがあることを表現したととることもできそうです。

後半の歌詞からもわかるように、1幕の中盤で歌われたアナとのデュエット What Do You Know About Love のリプライズのようなメロディをとっています。

 

[Kristoff] 

What is this hollow kind of happiness I'm feeling?

いまオレが感じている空虚な幸せはなんだろう?

This type of terror is new

こんな怖さを感じるのは初めてだ

And the fact that I can hardly breathe is now revealing

自分の息が詰まるほどだということに今気付かされた

How much I've changed because of you

いったいオレはどれほど変わったんだろう 君のおかげで

 

アナは現在エルサの魔法によって瀕死の状態にあり、クリストフはこれまで他人のことをここまで心配したことがなかったということなのでしょうか。

アナの命への心配が募ると同時に、自分がアナを愛しているということへの自覚が高まって生きます。

クリストフは人を愛することができるほど変わったのです。クリストフは出会ったばかりの人と恋に落ちる「おとぎ話」のような恋愛に対して軽蔑すら抱いていましたが、ほとんど出会ったばかりのようなアナに対してこれほどの愛を覚えている自分にはじめて気づいたのかもしれません。

 

You light the world for me

君はオレの世界に光を照らしてくれた

You live life fearlessly

君は何も恐れずに生きていて

Braver than the bravest of us do

俺たちの誰よりもずっと勇敢で

You trust, you hope, you dare

信じて、希望を持っていて、思い切りがある

You choose to feel and care

感じること、気にかけることを選び

I thought that I was strong till I bumped into you

オレは自分が強いと思ってた 君に出会うまでは

 

クリストフがアナのことを尊敬する理由が次々に並べられます。

注目すべきは彼が自身のことを「強い」と思っていたと言っていることでしょう。t

つまり今彼は自分のことを「強い」と思っていないということです。

 

彼が考えていた強さというのは、独立して一人で生計を立て、山の中で孤独に暮らしていることだったのだろうと考えられます(もちろんHidden Folkはいるが)。"Reindeer Are Better Than People" で歌われるように、ほかの人に頼らないことが彼にとって大切な価値観だったことが読み取れます。

しかし、アナのエルサや王国に対する一途な思いや、そのための思い切った行動を目の当たりにしてきたクリストフは、もはや孤独であることを「強さ」だと考えなくなリ始めているのです。

そしてここで "bumped into you" を使うことで、"Love is an Open Door" でのアナのハンスに対する表現と揃えているところも憎いですね。

 

 

What do I know about love?

オレは愛の何をわかっているんだろう?

What do I know about love?

いったい愛の何をわかっているんだろう?

 

"What Do You Know About Love" に対するアンサーソングであることはこれで明らかです。

 

Everything I thought I did

オレがしたと思ったことはすべて

You've gone and changed it kid

君はすでにやっていて変えたものだ

You're what I know about love 

君はオレが知ってる愛そのものだ

 

クリストフが歌い終わると同時に、パビーたちの呪文の歌がフェードインしてきて、部隊の動きはスローモーションから通常のスピードに戻ります。

しかしパビーの力ではHeartを変えることはできず、Only an act of true love can thaw a frozen heart というおきまりのセリフが登場します。

クリストフは、ハンスのところへアナを連れて行くことを即座に決断します。