westergaard 作品分析

映画、ミュージカル、音楽、自分が好きなものを分析して語ります。

*Frozen Broadway* 05. Hans of the Southern Isles 歌詞

05. Hans of the Southern Isles

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位置付け(05. Hans of the Southern Islesまでの経緯 

クリストフとハンス、アナの出会い方

04. For the First Time in Forever の終了時点で、エルサは舞台から退場。舞台には、開いた門から入ってきた国民や来賓たちはアナを中心にして立っています。

クリストフが氷を乗せた台車を動かしたところ、城の中に見とれていてよそ見していたハンスが氷の上に倒れ込みます。慌てたクリストフはそのまま氷の車を止めようとしますが、付近にいたアナも巻き込み、ハンスの上にうつ伏せ状態になるようにアナが倒れこみます。

この状況については、ハンス好きな潤子さん(Twitter: @JMotju)がブローズンレポとして絵で表現してくださっています。ご本人に許可を得られたので、画像を引用しています。

 

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まさにこのような感じです。

ハンスとアナはこのように出会います。

 

クリストフが、ハンスとアナを「バカップル」呼ばわり!?

私が記憶してる会話はこんな感じです。私の記憶してるキーワードから再現した、あくまで雰囲気です。

 

Kristoff: ちょっと、そこのバカップル(lovebirds)?

Anna: あ〜、私たち知り合いでもないんだけど(actually, we've never met)

Hans: でも、今初めてこうして会ってるじゃん(but, we are meeting now)

Anna: そ、そうね

Kristoff: なんでもいいけど!オーケー、君たち冷たい飲み物好きか?

Anna: ええ。

Kristoff: お前たちの飲み物を冷たくしてるのは、この氷だ!この、素晴らしい、クリーーーンな氷だ!!(はっはっはっは笑)だからドケこの野郎!

 

クリストフが、ハンスとアナと同時に初対面すること自体びっくり展開なのに、まさかの一言目が、「バカップル」ですよ!?笑

こうして、売り物である氷の上に乗っかられたクリストフは激オコなまま退散していきます。(笑)

よくもこんな出会い方、脚本として思いついたな、と。

 

"I'm just me." 私は何者でもないわ。/後継者じゃなくてただのスペア "代替え" よ。

そしてハンスと二人きりになると、アナが、映画でもあったあのセリフを。"It's awkward. Um, I'm awkward, you are gorgeous, wait what?" 。

そしてアナは、映画と同じように、自分が女王になる方のプリンセス、つまりエルサではなくてよかったね、と。

Anna: Im not THE princess. My sister, Elsa is the Queen. I'm jsut me.

Hans: Just you? (これも映画にありますね)

Anna: I'm not the heir, I'm just a spare. (これは追加された大事なセリフ)

「後継者じゃなくて、ただのスペア “代替え” よ。」

 

これ、本編の方で没になったDeleted Song "More Than a Spare"を想起させる、というかロペス夫妻とリー監督がどっちも関わってるのだからそこからきてるとしか思えないセリフで、すごく印象的でした。

 

たしか、アナは、それに続けて「自分は、"sheltered life" (閉じ込められた人生)を送って来たから、"actual real life people" とこうやって会話するの苦手なんだ。でも上手くなりたいわ〜」なんてことを言うんですが、さすがのハンスもレスに困って沈黙…みたいなシーンで笑いが起きてたと記憶してます。

そして、「じゃあね!楽しんで」と、その場を去ろうとするアナを引き止めようと、ハンスは声をかけます。

こうして始まるナンバーが、ハンスの自己紹介ソングにして、2度もリプライズされる、ハンスのテーマソング 05. Hans of the Southern Isles です。

 

歌詞と対訳

※1.なお歌詞は、私が聴き取ったものになるので正確かどうかの保証はありません。また対訳もざっくりとつけていますのでご指摘やご意見ありましたらコメントしてください。

※2.歌詞だけが見たい場合はこのままみてください。「続きを読む」以降では、合間で解釈や解説を語りながら、あらためて歌詞をおさらいします。

 

[Hans]

"Wait, don't go"

待って、行かないで

"You don't have to be embarrassed princess 'Oh-I'm-just-me' "

恥ずかしい王女だなんて言わなくていい、「私は別に何者でもないわ」なんて

I'm someone even more embarrassing to be

それより僕はもっと恥ずべき人だ

I'm only the thirteenth son of a king

僕は13番目の王子なだけ

Of a very small kingdom

とっても小さい王国の

Of very small islands to the South

とっても小さい南方の島のね

And nobody sings about this humble face

こんな身分の低い僕のことを賛美する人なんていない

Or my lack of grace

僕の上品さの欠如を指摘することも

Or quotes what comes out of my mouth

僕の言ったことを引用する人もいない

Thank goodness!

むしろ、ホッとしてるけど!

I've journeyed a long way to see your sister crowned

君のお姉さんの戴冠を祝いにはるばるやって来た

To honor and to back you

敬意を示し、君にお返ししようと

Yet here I go to smack you to the ground

なのにここで君にぶつかって倒した

Please accept the humblest of the apologies

心からのお詫びをお受け取りください

From a clumsy prince who's only come to serve and please

参列しにきただけの不器用な王子からのお詫びを

With a line of mean, big brothers

並々ならぬ偉大な兄たちの

That goes on for miles

長く長く続く列の端っこにいる

A man you won't see on a statue of bronze

銅像になんてならない人

Just Hans of the Southern Isles

何者でもない、ただのサザンアイルズのハンスです

 

[Anna]

"Hi, Hans of the Southern Isles"

どうも、サザンアイルズのハンス

[Hans]

"Hi, Anna of Arendelle"

やぁ、アレンデールのアナ

 

 

〜続きを読む以降では、解釈と解説を書いております。〜

 

解釈と解説

アナへの語りかけから始まる、いわゆるミュージカルらしい始まり方をするハンスのソロナンバー。

[Hans]

"Wait, don't go"

待って、行かないで

"You don't have to be embarrassed princess 'Oh I'm just me' "

恥ずかしい王女だなんて言わなくていい、「私は別に何者でもないわ」なんて

 

'Oh I'm just me'は直前にアナが自分のことについて、エルサと比較して、女王になるわけでもなんでもないただのスペアとしての自分を謙遜して言った台詞の引用です。

 

I'm someone even more embarrassing to be

それより僕はもっと恥ずべき人だ

I'm only the thirteenth son of a king

僕は13番目の王子なだけ

Of a very small kingdom

とっても小さい王国の

Of very small islands to the South

とっても小さい南方の島のね

 

ブローズンのハンスは、自分が13番目の王子であることをめちゃめちゃ強調します。

彼にとって13番目の王子であることがコンプレックスであることが自身の口によって語られるという意味で象徴的です。

 

ディズニー公式のノベライズ "A FROZEN HEART" では、ハンスのこのコンプレックスについて、幼少期の描写など含めながら細かく描写されています。

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このノベライズは、映画のストーリーを奇数章はアナ目線、偶数章はハンス目線で描き直した小説になっています。

最初の方は、アナの幼少期の裏でハンスがどのような幼少期を過ごしてきたか等、正確には英語で描かれている以上のことが語られるため、全てを合致するものとして認識するのは少し無理がある部分もあるかもしれませんが、ディズニーが公式で出しているものなので、まぁ1つの解釈の仕方としては、ある程度参考になるかと。

まだお読みになられていない方は、ぜひ!

といっても全編英語ですが()

以前どなたかが、一章ずつ和訳されていたサイトがあった気もするのですが今見当たりません

 

ちょっと文量が文量なので和訳はできていませんが、こっちも含めた考察をするともっといろいろ見えてくる気もします。ちなみにブローズンにはもっとコレが反映されるかと思ってましたが、そうでもありませんでした。

連ドラで "FROZEN" やるときは、ハンスの幼少期とかも観てみたいな~なんて。

とにかく "A FROZEN HEART" とってもオススメです。Amazonで ¥946 で買えるっぽいですよ笑(2018年5月20日時点)

 

また脱線しましたが、この後に続く部分では、ノベライズほど細かくはないものの、

"I've been searching my whole life to find my own place" という "Love is an Open Door" のワンフレーズの裏に隠された真意を説明するのにあたる内容が歌われます。

 

And nobody sings about this humble face

こんな身分の低い僕のことを賛美する人なんていない

Or my lack of grace

僕の上品さの欠如を指摘することも

Or quotes what comes out of my mouth

僕の言ったことを引用する人もいない

Thank goodness!

むしろ、ホッとしてるけど!

 

"nobody sings about this humble face" は、直訳すると「誰もこの卑しいhumbleface(新人:ニューフェイスのフェイスみたいな)>について歌う人はいない」

<sing> には、(偉大な人などについて)詩(歌)にして賛美する、という意味があるので、「こんな身分の低い僕のことを賛美する人などいない」と訳しています。つまり自分は、「注目すらされない」「陽の目を見ない」「取るに足らない」存在である、と。

 

I've journeyed a long way to see your sister crowned

君のお姉さんの戴冠を祝いにはるばるやって来た

To honor and to back you

敬意を示し、君にお返ししようと

Yet here I go to smack you to the ground

なのにここで君にぶつかって倒した

Please accept the humblest of the apologies

心からのお詫びをお受け取りください

From a clumsy prince who's only come to serve and please

参列しにきただけの不器用な王子からのお詫びを

 

"To honor and to back you" "back you" は正直この訳でいいのかわかりません。

でもとにかくここでポイントなのは、ハンスが本当に自分を謙遜している様子が彼の口から出る自信のなさげな言葉で表現されていることです。

With a line of mean, big brothers

並々ならぬ偉大な兄たちの

That goes on for miles

長く長く続く列の端っこにいる

A man you won't see on a statue of bronze

銅像になんてならない人

その自信のなさというのが、12人も上に兄がいて、その中で相手にもされずに生きてきた、居場所がないままに過ごしてきたことからきていて、どれほどハンスがそのことをコンプレックスとして抱えているかが伝わってくるようです。

(この歌詞聴いた時、BIG HERO 6 (ベイマックス)でハンスの石像がベイマックスロケットパンチで打ち砕かれるシーンを思い出して一人で吹きそうになってました笑)

 

Just Hans of the Southern Isles

何者でもない、ただのサザンアイルズのハンスです

 

[Anna]

"Hi, Hans of the Southern Isles"

どうも、サザンアイルズのハンス

[Hans]

"Hi, Anna of Arendelle"

やぁ、アレンデールのアナ

 

この挨拶は、Prince Hans of the Southern Isles や、Princess Anna of Arendelle と対応していて、互いにPrince であるかどうかや、Princess であるかどうかという「肩書き」よりも、一個人としてのハンス、アナという人間として見てほしいという思いが現れているのではないかと思われます。

ちなみにこの後リプライズされていくにあたって、その位置付けが明らかになって来ますが、それはまたその時までのお楽しみということで。

今は、"Just Hans of the Southern Isles" が歌部分の最後のフレーズになっていますが、ここの部分の言い方がどんどん変わっていくことで、ハンスの立ち位置が変わっていくことが表現されます。

 

ハンスの歌、とってもかっこいいんですが、どこか物悲しい感じに響いてくる歌詞です。

ブローズンはちょっとまだ観に行けないって方も、サントラがCDででるまでにぜひ "A FROZEN HEART" 読んで観てください。3年前に私が買った時の半額くらいになってますので 笑(2018年5月20日時点)

 

 

ということで、05. Hans of the Southern Isles でした!

次は、我らが陛下を讃える公式ソング 06. Queen Anointed です。

戴冠式に歌われるアカペラ曲です。

 

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