ikyosuke 作品分析

映画、ミュージカル、音楽、自分が好きなものを分析して語ります。

*Frozen Broadway* 04. For the First Time in Forever 歌詞

04. For the First Time in Forever

位置付け

03. Do You Want to Build a Snowman? のラストで扉越しに座り込んだエルサが "Do you wanna build a snowman?" と呟いた後、そのままエルサは立ち上がり、翌日の戴冠式に向けて準備をします。

司教が来て、式典で人々を前に持たねばならない王笏と宝珠を見せますが、エルサは触ろうともしません。

その後ろでは、 アグナルのテーマとも言える、dn't let them in, don't let them see のフレーズがオーケストラによって演奏されています。

父アグナル国王が言っていた、" a day when you have to stand before your people without them" (手袋を外して国の人たちの前に立たねばならない日)がついに来たことが示されます。

 

そして舞台が転換し、アナの部屋へ。

女性の召使いがドレスをもって部屋へ来て、アナを起こそうと声をかけます。

起き上がったアナは、髪はボサボサ。これは映画版と同じですが、手にはなんと、「サー・ヨルゲンビョルゲン」が!

(オラアドこと Olaf's Frozen Adventure、邦題『アナと雪の女王 家族の思い出』を参照のこと。)

 

実は、A Little Bit of You のシーンにもちらっと登場しますが、このベッドでアナが持っているのが最後の登場になります。それにしてもオラアドでエルサが再発見した時、アナは「これは誰?」って尋ねるので、知らない設定になっていますから辻褄はあいません。

(まあプロダクション期間が両方被っていたことも想定されますし、調整がうまくいかなかったのでしょうか。うーん惜しい。けど映画と舞台は、製作陣がいくら同じような顔ぶれでもあくまで別の作品ですからね。)

 

そして、寝ぼけてたアナも、召使いの二人が持って来たドレスを見て、思い出します!

待ちに待った戴冠式です!

 

歌詞と対訳

では早速歌詞と対訳いきます。映画版からの変更・追加部分赤字にしてあります。

※1.なお歌詞は、私が聴き取ったものになるので正確かどうかの保証はありません。また対訳もざっくりとつけていますのでご指摘やご意見ありましたらコメントしてください。

※2.歌詞だけが見たい場合はこのままみてください。「続きを読む」以降では、合間で解釈や解説を語りながら、あらためて歌詞をおさらいします。

 

[Anna]

The window is open, so's that door

窓も開いてて、ドアも開いてる

I didn't know they did that anymore

こんなの私が知ってる限りでは初めて

And there's two nice ladies helping me get dressed

それに優しい二人がドレス着るのを手伝ってくれるの

 

"Thank you! Thanks!"

ありがとう!どうも!

 

For years I've roamed these empty halls

ずっと行ったり来たりしてた誰もいない大広間

Why have a ballroom with no balls?

舞踏会を開いてこその舞踏室でしょ

Coronation day is just the best!

戴冠式ってほんと最高!

 

There'll be actual, real-life people

ホントの生きてる人が来るんだ

It'll be totally strange

なんだかとっても妙な感じ

Wow, am I so ready for this change?

あぁ、私ったら心の準備はできてるかしら?

 

For the first time in forever

ほとんど永遠ぶりに

There'll be music, there'll be light

音楽が奏でられや陽が差し込む

For the first time in forever

ほとんど永遠ぶりに

I'll be dancing through the night

夜通し踊り続けるの

Don't know if I'm elated or gassy

大はしゃぎ?それとも有頂天?

But I'm somewhere in that zone!

でもなんかそんなとこ!

'Cause for the first time in forever

だってほとんど永遠ぶりに

I won't be alone

独りじゃないもの

 

"(gasp) Oh, I can't wait to meet everyone!"

(息を呑む)あぁみんなに会うのがまちき入れないわ!

"(gasp) What if I meet ... the one?"

(息を呑む)運命の人にあっちゃったりして?

 

Tonight, imagine me, gown and all

今夜の私はガウンとか身にまとって

Fetchingly draped against the wall (gasp)

魅力的に壁にもたれかかっちゃったり(息を呑む)

The picture of sophisticated and grace

まさにエレガントで上品って感じ

(gasp) I suddenly see him standing there

(息を呑む)突然、立ってる彼に気がつくの

A beautiful stranger, tall and fair

背が高くて色白の美しい見知らぬ人に

I wanna stuff some chocolate in my face

チョコかなんか頬張るものが欲しくなるわ

But then we laugh and talk all evening (gasp)

んでそれから一晩笑ってお喋り

Which is totally bizarre

とっても可笑しいわ

Nothing like the life I've led so far

こんなの人生で初めてよ

 

For the first time in forever

ほとんど永遠ぶりに

There'll be magic, there'll be fun

魔法のようなことや楽しいことに出会えるの

For the first time in forever

ほとんど永遠ぶりに

I could be noticed by someone

誰かの目に留まるかも

And I know it is crazy

わかってるわ馬鹿げたことだって

To dream I'd find romance

恋を夢見るなんて

But for the first time in forever

でもほとんど永遠ぶりに

(gasp) At least I've got a chance

チャンスはきたのよ

 

[Elsa]

Don't let them in

悟られないように

Don't let them see

見られないように

Be the good girl you always have to be

私はいい子でいなきゃ、いつでも

Conceal, don't feel

隠して、感じないように

Put on a show

さあやるわよ

Make one wrong move and everyone will know

一つでもミスればみんなにバレちゃうの

But it's only for today

でもそれも今日一日のこと

 

[Anna]

It's only for today

今日一日だけ

 

[Elsa]

It's agony to wait

早く終わって欲しい

 

[Anna]

It's agony to wait

待ちきれないわ

 

[Elsa]

Tell the guards to open up the gates

門を開けるよう衛兵に指示して

 

[Anna]

The gates

 

[Guests & Townspeople]

The gates, the gates, the gates

 

[Anna / (Elsa)]

For the first time in forever (Don't let them in, don't let them see)

ほとんど永遠ぶりに (悟られないように、見られないように)

I'm getting what I'm dreaming of (Be the good girl you always have to be)

夢みてたことが現実のもになって来てるの (いい子でいなきゃ、いつでも)

A chance to leave my lonely world (Conceal)

私の孤独な世界を抜け出すチャンスよ (隠して)

A chance to find true love (Conceal, don't feel, don't let them know)

そして運命の人を見つけるチャンス (隠して、感じないように、知られないように)

 

[Guests & Townspeople]

For the first time in forever

ほとんど永遠ぶりに

We're no longer shut outside

やっと中へ入れてもらえる

For the first time in forever

ほとんど永遠ぶりに

The gates are open wide

城の門が開かれてる

 

 

[Anna / (Guests & Townspeople)]

I know it all ends tomorrow

明日になったら何もかも終わりなのはわかってる

So it has to be today

だから今日しかないの

'Cause for the first time in forever (The first time)

だってほとんど永遠ぶりに

For the first time in forever (The first time in forever)

ほとんど永遠ぶりに

Nothing's in my way! (Today!)

なににも邪魔されないわ!(今日は!)

 

 

解釈と解説

正直あんまり変更点も多くないので語る箇所は少ないです。

でも今回は翻訳の視点もいれながら書いてみました。翻訳をつける行為自体が、一つの解釈行為となりますので、毎回つたないながらも対訳をつけるようにしています。翻訳を生業にされている方がみたら、違和感を抱かれたり、不快に思われる点があるかもしれません。すみません… その際はコメント等でご指導ください。

 

ということで 「For the first time in forever」の映画版からの変更点は主に4つ!

 

変更点(1)ブローズンの「生まれて初めて」はアナが生着替えしながら歌う

一つ目。

アナの部屋にモーニングコールしにくるのはカイではなくて、二人の女性です。オラアドでもしっかり出てくるカイがブローズンに登場しないのは本当に残念。

で、サビの一番は、部屋でアナが生着替えしながら歌う関係で、お皿を持って廊下を通る召使いが登場しないため、歌詞が変更になっています。

 

And there's two nice ladies helping me get dressed

それに優しい二人がドレス着るのを手伝ってくれるの

 

"Thank you! Thanks!"

ありがとう!どうも!

 

アナも two nice ladies なんて言葉つかうんですね。(偏見)

変更前は

Who knew we owned 8,000 salad plates

8000枚もサラダ皿があったなんて誰が知ってたかしら

でしたね。

ちなみに there's two nice ladies と文法的には there're が正解ですが、明らかにsの発音をしているので、歌の歌詞あるあるのそういう仕様なんだと思います。

 

変更点(2)消えた "Finally they're opening up the gates"

二つ目。

For years I've roamed these empty halls

ずっと行ったり来たりしてた誰もいない大広間

Why have a ballroom with no balls?

舞踏会を開いてこその舞踏室でしょ

Coronation day is just the best!

戴冠式ってほんと最高!

 

変更前は

Finally, they're opening up the gates

ついに、(召使いたちが)城の門を開けるのよ

 

これ、変更された理由がわかりにくいですが、私の解釈ではカッコ書きした they が問題になったのではないかと。

確かにアナから見たら、実際に門を開けるのは、エルサの指示の指示を受ける門番というか衛兵なわけで、theyが彼らを指すなら間違ってはいないんです。

でもやっぱりこの作品で、door や gates を開くのはエルサであるべきですし、実際いま決定権を持ってるのはエルサなんですよ。

でも、ここでアナが仮に

Finally, she is opening up the gates

ついに、エルサが城の門を開けるのよ

っていうのも、なんだか明るく歌うこの曲の文脈的にそぐわないですし、

エルサがどうこうというより、門が開いてその結果人が来るっていうことにアナの意識は行っているわけで、あんまりこの時点ではエルサのことを(少なくとも意識的には)考えてないはずなんです。

そういえば吹き替えでは、門を開く主体が誰かとかそういう話以前で、そもそも「門」すら言及されないですが…  ここ「綺麗に飾られて〜」ですし。

 

変更点(3)孤独な世界を変えるのではなく抜け出す! "change" → "leave"

門が開いた後、アナとエルサがかけあいながら歌う印象的な場面。

[Anna / (Elsa)]

For the first time in forever (Don't let them in, don't let them see)

ほとんど永遠ぶりに (悟られないように、見られないように)

I'm getting what I'm dreaming of (Be the good girl you always have to be)

夢みてたことが現実のもになって来てるの (いい子でいなきゃ、いつでも)

A chance to leave my lonely world (Conceal)

私の孤独な世界を抜け出すチャンスよ (隠して)

A chance to find true love (Conceal, don't feel, don't let them know)

そして運命の人を見つけるチャンス (隠して、感じないように、知られないように)

単語ひとつですが、結構大きな違いだと思います。

アナに与えられる「自由」はたった1日("It's only for today")で、明日には終わってしまう("I know it all ends tomorrow")のです。

映画版時点の私の解釈では、この二行の A chance は同じことをいっていて、"find true love" によって "change my lonely world" が成し遂げられるという関係だと解釈していました。(ちなみにtrue love は、ここでは文字通りの「真実の愛」というよりは、転じて「運命の人」という意味になるかと。)

でもブローズンのアナは、映画版の「孤独な世界を変えるチャンス」ではなく、「孤独な世界から抜け出すチャンス」と歌います。もしかしたら、ブローズンのアナは、たった1日で、lonely world を change することは難しいとわかっているのかもしれません。

 

変更点(4)追加された部分が問う、"For the first time in forever" =「生まれてはじめて」なのか問題

こうして詞を訳していますが、原詞はあらためていい歌詞だなと思う反面、

吹き替え版歌詞の言葉がすっごいしっくり来たり、来なかったりするのを感じています。

あれほど多くの人の共感を呼び、これでもかと老若男女に歌われた歌詞ですから、当然一語一語美しく、それでいてかなり原詞の持ってるニュアンスを表現していて、しかもリップシンクも意識されていると思うと、素晴らしいなと感動するんですが、それでもやっぱり英語を日本語にするときは吹き替えなら音節数、字幕なら文字数という制約からは逃れられませんから、いろいろと苦労した結果なんだろうなと思い…

私は翻訳をちゃんと学んでいるわけではありませんが、趣味レベルで好きな曲の訳詞とか吹き替え詞とかを考えたり歌ってみたりするので、プロの翻訳プロセスでボツになった言葉とか言い回しも気になるな〜と。

アナと雪の女王を訳した高橋知伽江さん、近年は四季のアラジンも担当されてますし、もしブローズンが四季に来るときには、ご自身で訳された映画版の曲に、別の詞をつけることになるのだろうか?そうなったらそれもまた興味深いな…

 

前回の記事では「Do you wanna build a snowman?」を「雪だるま作りたい?」とあえて直訳しましたが、ちょっとアナがお願いというより、エルサの内なる欲求を引き出そうという挑発的な部分があるのかなというのも意識しながらの直訳を選んで見ました。

「For the first time in forever」は「ほとんど永遠ぶりに」としてみましたが、正直悩みました。これはあえて不自然な日本語を使っています。というよりfor the first time in forever という表現自体英語としては不自然な表現と考えられるからです。

確かに「生まれてはじめて」はとっても自然で、心に響く的を射た表現だと思うのですが、For the first time in foreverの語感とちょっと違うんですよね。

もちろん、for the first time in XX years で「XX年ぶりに初めて」となるのが直球だからといって、文字通り訳すと「永遠ぶりに初めて」となり、かなり不自然です。

 

では「For the first time in forever」はどんな感覚なのか。

「永遠ぶりに感じるくらい前のことすぎて、ほとんど始めてに感じる!」っていうのがこの感覚をストレートに表していると私は思います。

ただ、アナは実際に記憶を消されてますから、アナの意識としては本当に文字通り「生まれてはじめて」のように感じられるのかもしれませんから、それで良いのかもしれません。

しかしブローズンの "For the First Time in Forever" は、アナの視点以外も考慮に入れねばなりません。

変更点としてあげたように、曲のクライマックスではアレンデール王国の国民や、ハンスやウェーゼルトン公爵らのように来賓として来た人たちも加わって歌います。

 

[Guests & Townspeople]

For the first time in forever

ほとんど永遠ぶりに

We're no longer shut outside

やっと中へ入れてもらえる

For the first time in forever

ほとんど永遠ぶりに

The gates are open wide

城の門が開かれてる

 

実際にハンス王子のようにアレンデールの門をくぐるのが「生まれてはじめて」の人もいますが、特に国民などは門が閉ざされる前交流があった人もいるでしょうから、(根拠:オラアドでの回想シーンでユールの鐘を鳴らす際にコートヤードに人々がいたので、あの設定が適用されるなら、14年くらい前には少なくとも国民を城の門の中へ通していたと考えられるはず。)いつぶりだかわかんないくらい長い間門は開いてなかったけど、やっと開いたんだ!っていう感覚が、

For the first time in forever

ほとんど永遠ぶりに

We're no longer shut outside

やっと中へ入れてもらえる

という表現に現れているのかと。

これも直球で行けば、「もう今は締め出されてない」になるわけです。

そしてこのシーン歌詞の変更こそありませんが、実は描き方がかなり変わっています。

これは舞台のため映画ほど場面転換をしづらいという制約も加わっているのでしょうが、私は舞台の方が好きです。

エルサが、門を開けるよう指示するよう指示したあと(まどろっこしい)、The gates, the gates と言って、アレンデール国民や、ウェーゼルトン公爵はじめ来賓たちも門に入って来ます。そして、ハンスとクリストフそしてスヴェンはここが初登場シーンとなり、劇場では拍手が起こります。

彼らも、アナと同じように shut outside されて来た人たちで、ブローズンでは彼らが「中に入ってくる」のが描かれるんです。

映画版で描かれているのは、アナが外に出て来ちゃってるせいで、彼らが「中に入っていく」様子です。

 

ちなみにこのとき、クリストフとスヴェンも入ってくるのですが、この描写についても解釈が難しいところです。この日は戴冠式だから氷職人とトナカイでも入れたのかな〜?と。

というのは、心が凍りかけているアナを送り届けにやって来たとき、アナを預けた後クリストフの前で門が閉まるイメージがすごく強く心に刻まれている自分としては、こんなに簡単になかに入れていいのか、と初見で思いました。(ちなみに映画版だけでなくブローズンでもこの描写あります。)

でもよくよく考えると、ハンスが国を任された後、"the gates are open" と言って、中で温まってホットグロッグもあるみたいなことを告知してるはずなので、その方針が中止になっていなければ、クリストフが来た時は、誰に対しても門は開かれている状態なはずなんですよね。まぁエルサ探しのために任されているハンスすら出かけたりしてたから誰も入れない方針に転換したのかな〜?

 

とにかく、今後も映画版で既に訳詞や吹き替え詞がある曲であっても私なりの解釈で訳詞をつけてみようと思っていますので、ぜひぜひコメント等でフィードバックお待ちしてます。

それにしても四季のプロダクションに持ってこられたら何て訳されるのか、すごく気になる。

 

 次回は、ハンスの歌 Hans of the Southern Isles を書きます。

 

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