westergaard 作品分析

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エルサの魔法の起源は月?解読されたルーン文字を解釈:Frozen における the Sun, the Moon, and the Sky

はじめに:Panyaさんのルーン文字解読

ブローズンのイデュナ女王はどうやら魔法ないし何か隠さなければいけない力を持っている設定であると解釈してほとんど良さそうな気がして来たわけですが、それはあくまで舞台版での話。

 

映画の世界にはHidden Folksではなくトロールたちが出てくるわけですし、イデュナ女王がJoikを唱えたわけではなく、映画の世界観の中においては、アグナル国王が王室図書の資料の中から探し出した地図を元にトロールたちの住むリビングロックの谷へアナを連れて行き、そこで魔法を取り除いてもらったという事実は揺るがないものです。

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でその王室図書の資料。ルーン文字で書かれているものを解読したブログがあることを @1cVam さんのツイートで知りその記事をご紹介いただきました。

 

こちらがそのブログ↓↓↓

Deciphering the Runes Book in Disney’s Frozen « Panya's Blog: Linguistic Aspects

 

その記事の中で著者のPanyaさんは、あの時アグナルが見た本のページのルーン文字を解読し、対応する言葉を英語で表の形にしてくれています。

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これが表の一部。

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しかし完全な文章にはなっておらず、またルーン文字から英語への翻訳の時点で生まれていると思われる解釈の余地があることも想定され、ある程度の限界が認められます。

本当は私がルーン文字自体を解読して解釈できれば良いのですが、まだその知識やスキルはないので、今回この記事ではそのブログで紹介されている翻訳表を元に解釈して行きたいと思います。

そしてそこでキーワードになる 石と月 について考えたいと思います。

 

 

Panyaさんの解読表を元に解釈してみる

まず、Panyaさんの表を元に、書かれている行ごとに単語を並べて行きます。

 

1: ᛋᛏᛅᛁᚾ ᚠᚢᛏᚢ ᚢᛅᛚᛏᛅᛦ ᛏᚢᚴᛚᛅᚼᛁᛘᛁᚾᛋᛁᛋ ᚦᛅᚢ

stone / brought forth / powers / of moon sky / they

 

2: ᛏᚱᚢᛚᛁᚾ ᛅᚠ ᛋᚢᛅᚱᛏᛅᚠᛁᛅᛚᛅᚱᛁᚴᛁ ᛅᛁᚴᚢ

The trolls / from / dark / mountain / realm / have

 

3: ᛚᛅᚴᚾᛁᛋᚼᚬᛏᛦ ᛋᚢ ᚬᛏ ᛁᛋ ᛅᚠ ᚴᛅᛚᛏᚱᛁ ᛋᛅᚱ

healing hands / A / soul / which / from / cold / wounded 

 

4: ᛘᚾ ᚴᚱᚢᚦᛅ ᛁᚠ ᚠᚢᚱᚦ ᛅᛚᛒᚱᛅᚦᛚᛁᚴᛅ ᛏᛁᛚ

will / heal / if / brought / very quickly / to 

 

5: ᚢᛅᛚᛅᛦᛁᛋ ᚦᛅᛁᛦᛅ ᛏᚱᚢᛚ ᛅᛁᚴᚢ ᚦᛅ ᚾᚬᛏᚢᚱᚢ

the field / of them / Trolls / have / those / nature

 

6: ᛅᛏ ᚦᛅᚢ ᚠᛅ ᛅᛚᚬᚾ ᚴᛅᛚᛏᚱ ᛅᚠᚦᛁᚱᚦᚬᚾ[ᛚ]

that / they / get / all / sorcery / thaw?

 

7: ᚢᛦ ᚴᚢᚴᚢᛚᛁᚴᛁ ᚾᛁᛘᚬ ᛅᛁᚾ ᚦᚢᛁ ᛏᛅᚦ ᚴᛅᚱ

out of / approached body / to save / one / such / action / done

 

8: ᛁ ᚢᛚᚢᚴᛁᚾᛁ ᛅᛋᛏ ᛁᛋ ᛋᚢ ᛅᛁᚾᚬ ᛁᛋ ᚠᛅᛦ

in / true? / love / is / an / only / which / can

 

9: ᛅᚠᚦᛁᚱᚦᚬᚾ[ᛚ] ᚼᛁᛅᚱᛏᛅ ᚴᚱᚢᛏ ᛅᛚᛒᚱᛅᚦᛚᛁᚴᛅ

thaw / heart / stoned / very quickly

 

つづいて、私がこれらを意味の通る英文にしてみます。

もちろん、?となっている単語もあるのでなんとも言えませんが、このブログの解読が基本的にすべて正しいと仮定してやってみましょう。

ちなみに一行目は前のページからの続きになっているのでそもそも完全な文章ではありません。

 

(前半は見えないので挿絵から想像する)stone brought forth by powers of moon sky

月空のパワーによって生み出された石(が王族の一人XXの心に刺さった(?))

 

The trolls from dark mountain realm have healing hands.

暗い山の王国(領域?)にいるトロールたちは治癒する手を持っている。

 

A soul which (suffered) from cold wounded will (be) heal(ed), if (you) brought (them) very quickly to the field of them.

冷たく傷ついた魂*は、彼らの地へ急いで連れて行けば治癒される。

 

Trolls have those nature that they get all thaw out of approached body to save one.

トロールたちは、(魔法を)とかして(魔法によって)犯された体から取り除き救う(ことができる)特質を持っている。

 

Such action done in true love is an only which can thaw heart stoned very quickly.

真実の愛において行われる行為だけが唯一Stoned Heartを迅速に解かすことができる。(映画の中の言葉で言うなら、“An act of true love is the only way to thaw a frozen heart” となるでしょう。)

 

解釈する上で生じた問題:"Stone" と "Soul"

いかんせん私が元のルーン文字の表す言葉のニュアンスがわからないため、Panyaさんがトランスレートされた英語をつないで解釈するところしかできないので限界がありますが。

大きな問題は2つ。

一つ目は “Stone” 。“Stoned Heart” が “Frozen Heart” だとするとこのStoneはなんだろうか。氷の塊?もしかしてティザーで大量に浮いているあの結晶のこともStoneっていえるのかな?

ただ、トロール自体が岩であることや、F2の予告編の描写で石や岩が多く出てくること、またFROZEN IIというロゴ自体も下半分が石になっていることから石である可能性もあります。なんとも言えません。

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二つ目は “soul”。この文書によれば「 “cold wounded” な “soul” はトロールが治癒できて、“stoned heart” は “an act of true love” によってしか “thaw” できない」と書いてあるわけですが、映画に照らし合わせるとトロールが治癒できるのは head。真実の愛の行為だけで溶かせるのは Frozen heart。だからこのsoulはheartというよりはheadとかbodyのはずなんです。でもなぜsoulなのか、あるいは元の言葉のニュアンスはもっと広いのか、ちょっとわかりません。

これらは私がここで唸っても答えは出ないので保留にします。

 

"Stone" をもたらした "Power of moon sky" を考える

Stoneが「石」なのか、Frozenという意味の方で「氷」や「氷の破片」をさすのか定かではありませんが、「石」か「氷」かをもたらしたのは「The power of moon sky」であることは確実です(元記事でのルーン文字解読が正しければ)。

 

ではここでFrozenの世界において "moon" がどういう意味を持っているか考えてみます。

まず F1ことFrozen (2013) 本編ではMoonという言葉はセリフとしては全く出てきません。

そこで Frozen Fever(エルサのサプライズ), Olaf's Frozen Adventure(家族の思い出) まで範囲を広げてみると、Moonが出てきている箇所が一つだけあります。

 

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それはFrozen Fever の Making Today a Perfect Day の最初のサビに入る前、エルサが歌うこの一節。

"I'm giving you the sun, the moon, and the sky"

元の歌の意味合いからすればこれは、エルサとアナの13年の隔絶が終わって初めての穴の誕生日に張り切るエルサが自分の心境を大げさに表現した歌詞にすぎず、ラブソングの歌詞にあるような I can give you the world と似たような表現であると言えます。

しかし私はどうしてもこれを単なるそれだけの意味の歌詞として見逃すことはできないと考えています。

なぜなら the sun, the moon, the skyのうち the sun, the sky はどちらも本編で数回ずつ言及され非常に重要な意味を持っているからです。それではひとつずつ見ていきます。

The Sun

"sun" という単語はFrozen本編の中で5回言及されます。

【1回目:オーケンのセリフ】
Big summer blowout.(夏物大セール)
Half off swimming suits, clogs, and a sun balm of my own invention, yah? (水着、サンダルに独自開発した日焼けオイルが半額、どう?)

>これはSunなんか照ってない今の状況を逆に強調するためのものであるのでそれ以上解釈の余地はないとする。

【2回目:オラフのセリフ】
Oh. I don't know why, but I've always loved the idea of summer. And sun, and all things hot.

>オラフの憧れる、愛しているものの一つであることがわかる。

【3回目:オラフの歌う歌詞 In Summer】

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When life gets rough (人生が辛くなったら)
I like to hold on to my dream(自分の夢にすがりつくのが好きなんだ)
Relaxing in the summer sun(夏の太陽の光の中でリラックスして)
Just letting off steam(ストレスを解消するんだ)

>辛い時にすがりつく夢として描かれるのは 夏の日の光の中ストレス解消している自分の姿。

【4回目:エルサの歌う歌詞 For the First Time In Forever (Reprise)】

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Anna, please go back home(アナ、帰ってちょうだい)
Your life awaits(あなたの人生が待ってるわ)
Go enjoy the sun and open up the gate(陽の光を楽しみに行って、門を開けて)

>エルサの考えているアナにとってのベストな状態は、門を開けて太陽(日の光)を楽しむこと。そしてそれはエルサにはできないこと。

【5回目:アナの歌う歌詞 For the First Time In Forever (Reprise)】

Anna: Don't panic(パニックにならないで)
Elsa: There's so much fear!(怖すぎるわ)
Anna: We'll make the sun shine bright(一緒に太陽を輝かせるのよ)
Elsa: You're not safe here!(あなたはここにいたら安全じゃないわ)

>アナは二人で一緒に太陽を輝かせようと言っている。これはつまりエルサに魔法の冬を終わらせてもらうことと同義であり、アナが具体的にできることがあるわけではない。取り戻したい夏の象徴としてのthe sunである。

 

ここまでは本編のSunでしたが、「夏の象徴」としてはもちろん、「失われたもの=取り戻すべきも」のとしての使われ方であることがはっきりしています。

さらに顕著になるのが ブローズンにおける使われ方。

まずオープニングナンバーはその名も「Let the Sun Shine On」。
これは「Let It Go」で3回繰り返されるフレーズ「Let the storm rage on」の対になるように作られているフレーズであることは明らか。

つまり、取り除くべきものとしての「the storm」<ー>取り戻すべきものとしての「the sun」という対応関係が明確に示されるようになっているわけです。
さらに歌詞の中では「Together we can keep the storm at bay」(一緒に力を合わせれば嵐を寄せ付けないようにしていられる)という一節もあり、the stormこそが煩わしいこと、問題、ネガティヴなことの象徴となっていることもわかる。

さらに戴冠式の進展を描きながらエルサが自分の心のうちにある本当はアナと過ごしたいという気持ちを歌う「Dnagerous to Dream」においては「I know I never see the sunny day」という一節があり、これは「Let the Sun Shine On」を歌っていた時のような幸せな日々は帰ってこないという旨の歌詞であることが推察される。

オラフのIn Summerがエルサの本心の代弁である、という話は多くの人が長らく論じてきたことだが、「Dnagerous to Dream」で「Sunny dayが本当は見たいけどもう見れないのはわかってる」とエルサ本人の口から歌われることで、その答えあわせがされたと言っても良いだろう。

The Sky

"sky" という単語はFrozen本編の中で4回言及されます。

【1回目:幼少期アナのセリフ】
The sky is awake, so I'm awake. So, we have to play.
(お空が起きてるから私も起きてる。だから二人で遊ばなくちゃ。)

>「お空も起きてるし、私も起きてる」という吹き替えのセリフのニュアンスがちょっと違うのがお分かりいただけるだろうか。お空が起きてるのと私もが起きてるのは並列ではない。「お空が起きてるから私も起きてる」なのだ。(ここが解釈に関係してくれるかは定かではないが)

【2回目:エルサの歌う歌詞 Let It Go】

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I am one with the wind and sky
(私は風と空とひとつなの)

>これはのちほど下でじっくり書く。

【3回目:オラフの歌う歌詞 In Summer】

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Oh the sky will be blue and you guys will be there, too
(あぁ 空が青くなって きみたちもそこにいっしょにいるんだ)

【4回目:オラフのセリフ】
Look Sven, the sky is awake
(見てスヴェン、お空が起きてるよ。)

The sky is awake はオーロラのことについての言及であり、オーロラとエルサの魔法の関連性の可能性については以前の記事で述べているので、そちらを参照していただきたい。

The Wind の使われ方からわかること

ただここで確認して起きたいのは、Let It Goに登場するこの一節 I am one with the wind and sky。

The windも実は劇中2回しか登場しておらず、どちらもエルサによっておなじ Let It Go 中で歌われている。

【1回目:エルサの歌う歌詞 Let It Go】

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The wind is howling like this swirling storm inside
(風が唸っている この内で渦巻く嵐のように)

【2回目:エルサの歌う歌詞 Let It Go】

I am one with the wind and sky
(私は空と風と一つなの)

 

となると風がエルサの心の中の嵐、すなわちエルサの心境を映し出すように機能していると考えると、風が彼女の一部であることはよくわかります。

I am one with the wind and skyの一節を真面目に取れば、同様にthe skyも彼女の一部であるはずである。

The Sky=オーロラであれば、オーロラが彼女の心境や魔法を映し出していると考えることができ、筋は通るわけである。

つまり、何が言いたいかと言えば、I am one with the wind and sky の一件普通の単語に見える "the wind" と "sky" はしっかり脚本全体を通した上で選ばれている言葉であることが確認できるのだ。

 

The Sun, The Moon, The Sky

ということでこれまで見てきたように
「Making Today a Perfect Day」に登場する一節 "I'm giving you the sun, the moon, and the sky" のうち、the sun と the sky ははっきりと作品の世界観の中における意味合いが表明されていることがわかります。

そして、the windの使われ方でみたように、ロペス夫妻が何も意味もなくなんとなくごろが良いからという理由で "the moon" をここにいれているとは思えない、と私が思う理由もお分かりいただけたかと思います。

これ以上どう妄想するかは個人にかかっていると思いますが、もし Panyaさんのルーン文字解読が当っていて、 The power of moon skyが魔法の起源だとすれば、月について何かしらの言及がFrozen IIでなされる可能性が高いのではないかと思われます。

また気になるのは The power of moon ではなく moon sky となっている点です。

でもこれはルーン文字を私が直接解読できない以上、そのあたりのニュアンスを判断するのは難しく、現時点ではなんともコメントできません。

 

おわりに

最後にブローズンで月がしっかり描かれるのは、Frozen本編でもそうであったように Love Is an Open Door のシーンにおいてのみです。このシーンで月が象徴的に描かれることは果たして関係あるのでしょうか?
アナとハンスのシーンでありエルサにはあまり関係ないと思うので、ここの月は単なるシーンを作り上げる小道具の一つであると個人的には思っていますが…

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