westergaard 作品分析

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「無限の彼方へは行けない」「ボニーは大切にしてくれなかった?!」Toy Story 4 インタビューと30秒広告の考察

ティム・アレンのインタビューと30秒広告の考察二本立て

またまた Toy Story 4 の記事です。

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今回は、Pixar Postに投稿されていた記事なのでお読みになった方も多いと思いますが、このティムアレンのインタビュー。 

www.pixarpost.com

それからこの、30秒予告編を二本立てで考察したいと思います。

どちらも私なりに和訳をつけて、その上で考察することにします。

www.youtube.com

 

 

(1)バズ・ライトイヤー声優 ティム・アレンのインタビュー

すでに日本語のサイトで訳されていたりもしますがちょっと解釈が違うのではないかなと思う部分もあるので、トイストーリーフランチャイズをよく知っている身として、いろいろと行間を捕捉しながら訳していこうと思います。ですので、和訳にはすでに私の解釈が大いに含まれています。

※なお、記事翻訳の下に、今回判明したことのまとめと考察を加えました。

 

こちらが元記事のさらに元になっている動画(1分42秒)です。直で見た方が早いという方は是非こちらをご覧ください。 

www.youtube.com

 

以下翻訳。

なお、英文は、PixarPostの書き起こしをベースに私が映像を見てより彼の喋った通りに近いように書き換えています。翻訳も独自で一部意訳し説明も加えたものをつけています。

 

◯イントロ◯

"This is funny because not even 20 minutes ago I left Disney and came here, I just finished up a little bit of Toy Story 4 and Hanks was coming in right after me — we're old good buddies and I asked him "What can I tell them about this?", and he goes "You've already said a bit too much".

まあこれは面白い話だよ、だってまだ20分も経ってないけど、僕はディズニー(のスタジオ)からここへきたんだ。ちょうど Toy Story 4 の録音を少し終わらせたばっかりでね。(トム)ハンクスが入れ替わりにスタジオに入ってきたんだけど、もちろん僕らは中の良い友達さ、で、彼に聞いたんだ「番組でこの作品について何なら言えるかな?」って、そしたら「君はもう喋りすぎだよ」ってさ。

 

◯ 最後のセリフについて◯

Cause I say Tom and I both (I gotta be careful), we both read the last two lines of this movie, I get choked up and he even said "I had to turn around in the booth", and I said, "I did too".

だから喋り過ぎちゃわないように気をつけないといけないんだけど、トム(ハンクス)と僕は、この映画(Toy Story 4)の最後の二行のセリフを読んで、言葉がでなくなるほど胸が詰まって、トムは「レコーディングブースでは顔は向けられないな」とまで言ってきて、「僕もだよ」って返したよ。


The last couple of scenes, especially the last lines of the movie will be a memorable moment for everybody. Oh, it's wonderful, it's wonderful.

最後の数シーンは、特に映画の最後のセリフはみんなに記憶される瞬間になるだろうね。本当に素晴らしいんだ。

 

◯ボーピープについて◯

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Bo Peep has been missing and you're going to find out in a very tragically where she's been and what that means for toys like her, and Woody has to decide where he's gonna fall on that deal. It's really so clever, so wonderful, so warm about and how they (Pixar) do this? How these guys (creators at Pixar), I just say this story is so emotional, so funny, so brilliant.

ボー・ピープはしばらく登場していなかったんだけど、彼女がどこで過ごしてきたか、とっても悲劇的な形で映画の中でわかるんだ、それが彼女のようなおもちゃにとって何を意味するのか、そしてウッディはどこでそのような処遇に向きあうことにするのかを決めねばならないんだ。とっても巧みで、とっても素晴らしく、とっても心温まる展開で、ほんとピクサーはどうやって作ってるんだろう?とにかく彼らは、まあ僕がいうならこの物語はとっても感動的で、とっても面白くて、本当に見事なんだ。

 

◯ボニーについて◯

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Toy Story 3 ended originally with a little girl sitting there, and all of us saw that little girl smile and Andy said with his eyes (a cartoon character) she might take care of these toys — cause we were originally in Toy Story 3 waving on the porch, that was it. It looked like maybe this little girl will take care of us — well, maybe she didn't take care of us so well.

前作の Toy Story 3 は少女(ボニー)が座っていて、僕ら(観客)がみんな見たように、ボニーが微笑んでて、(まぁアニメーションのキャラクターではあるからこういうのも変なんだけど)アンディーの送る視線は「きっとこの子が自分の大事にしてきたおもちゃたちを可愛がってくれるんだ」って言ってるようだったでしょう。だってほら、僕ら(おもちゃたち)は Toy Story 3 で最後(ボニーの家の)玄関に座って(車で大学に向かってさっていくアンディに)手を振っていてそれで終わったでしょう。それで、この女の子ボニーがきっと僕らを大事にしてくれるだろうって感じだったじゃない?でも、どうやらボニーは僕らおもちゃたちをあんまり大切にしてくれなかったようだね。」

(どよめくスタジオ)

 

◯アウトロ◯

It's just wonderful where it goes and how it comes together.

ただただ素晴らしいんだ、物語の結末とどうやって話がまとまるのかってとこが。

(スタジオの出演者の一人: "I just can't wait to see the drama of it" もうその展開が見られるのが待ちきれないね。)

Oh, it's wonderful. But it's, the best thing is Forky, is the new character.

ああとっても素晴らしいよ。でも最高なのはフォーキー。新しいキャラクターだよ。

 

ティム・アレンのインタビューで判明したこと

  • 最後のシーンはウッディとバズの会話で、非常に感動的な展開になるということ。
  • ボー・ピープが2作目以降どのように過ごしてきたかは「悲劇的な形」で語られるということ。
  • ボー・ピープのようなおもちゃ(というのが何を指すのか明確ではないが)にとってそのような状態(これも明確ではない)が何を意味するのか、がウッディたちにとっても重要なことであるということ。(この点は下で考察する)
  • ウッディはなんらかの決断を下さなければいけないということ。(これも以下で考察)
  • 3作目でアンディがおもちゃたちを託したボニーはあまり大事に扱ってくれなかったようであるということ。(これが今回の一番の衝撃事実)
  • それでもやっぱり最高なのは新キャラクター、フォーキー。

 

(2)Super Bowlに際して公開された30秒予告編

www.youtube.com

 

こちらもせっかくなので書き起こしましょう。

Woody: Wow! This place is amazing.

ウッディ:うわぁ!ここはすごい場所だな。

Boo: Wasn't that Buzz gonna meet us here?

ボー:私たちはここでバズと会うんじゃなかったっけ?

Woody: He must be held up somewhere.

ウッディ:どっかにくくりつけられてるはずだよ。

Ducky: Hey, up here Astro Boy.

ダッキー:おい、アトムくん、上だよ。

Bunny: If you think you can take our top prize spot, you're wrong.

バニー:もし自分が最高賞の場所にくくりつけてもらえると思ってたんだったら、お前は勘違いしてる!

Ducky: Dead wrong!

ダッキー:ものすごくな!

Buzz: Help me get out of here.

バズ:ここから出るのを助けてくれ

Ducky: I will help you. With my foot!

ダッキー:助けてやるさ、オレの足でな!

Ducky: How you like that, cheater?

ダッキー:どうだ、気に入ったか?この詐欺師が。

Ducky: Oh! To infinity and my foot! Boom!

ダッキー:あ、これはどうだ、無限の彼方へさあ「足で」!バーン!

Bunny: Hahaha.

バニー:(笑)

Ducky: And back in the space they can ac..scaaaaaa!

ダッキー:それから宇宙に戻ったら、みんなはあああああああ!

Bunny: Wow!

バニー:おぉい!

 

Super Bowlの30秒予告編で判明したこと

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  • 舞台となるカーニバルは山間にありそうだということ。
  • 観覧車や出店、ゲームがある後ろには大きめのアンティーク屋さんの店舗が構えられているということ。
  • バズがカーニバルのゲームの景品としてくくりつけられてしまうということ。
  • ウッディはボーと落ち合い、バズが括られているところを見にいくということ。
  • バズはゲームの景品の中でトッププライズにはなれないということ。

おそらくまとめるとこの5つくらいでしょう。

 

 

2つを合わせた考察

 ではインタビューと予告編からわかったことを合わせながら考察していきます。

 

【1】ボニーはおもちゃたちを手放してしまう?!

さあ大変です。ボニーはあまり大事に扱ってくれなかったらしいということです。

まあこれまでに発表されている公式のプロットでは、次のように書かれていました。

 

But when Bonnie takes the whole gang on her family's road trip excursion, Woody ends up on an unexpected detour that includes a reunion with his long-lost friend Bo Peep (voice of Annie Potts).

しかし、ボニーがおもちゃの仲間たちを家族で行く小旅行に連れて行くと、ウッディは予期せぬ寄り道をすることになり、そこで長年離れ離れになっていた友、ボー・ピープとの再会を果たすのです。

(これについて詳しくはこちらの記事参照。)

ikyosuke.hatenablog.com

 

おそらくこの小旅行というのが、数日前にSuper Bowlにあわせて登場したこの30秒の広告に出てくるカーニバルへの旅行なのだろうとは思っていましたが、この「unexpected detour(予期せぬ寄り道)」というのがもしかすると、ロッツォのように忘れられてしまうということなのかもしれませんし、そうでないのかもしれませんし、なんともわかりませんでしたが、ティム・アレンのインタビューを見る限り、ボニーが簡単に手放してしまうという展開の可能性も否めなくなりましたね。どんな展開だったとしても、アンディ的にもおもちゃたち的にも相当ショックでしょうね。

 

 

【2】ウッディが向き合わねばならない運命とは?

次にインタビューにあったこの一節を考えます。

 

Bo Peep has been missing and you're going to find out in a very tragically where she's been and what that means for toys like her, and Woody has to decide where he's gonna fall on that deal. 

ボー・ピープはしばらく登場していなかったんだけど、彼女がどこで過ごしてきたか、とっても悲劇的な形で映画の中でわかるんだ、それが彼女のようなおもちゃにとって何を意味するのか、そしてウッディはどこでそのような処遇に向きあうことにするのかを決めねばならないんだ。

 

一つずつ整理していきましょう。

 

1)「(ボー・ピープが)どこで過ごしてきたか」

これは前の記事ですでに判明したように、路上です。誰かの家ではありません。

After years of being on her own, Bo's adventurous spirit and life on the road belie her delicate porcelain exterior.

何年もの間一人で生きてきた結果、ボーの冒険精神と道端での暮らしは、彼女の壊れやすい陶器製の体をそぐわないものにしていました。

 

2)「悲劇的な形で」

これはティムアレンの喋り方的に、「悲劇的に」が判明の仕方の方にかかるのか、それとも彼女が過ごしてきた場所やその展開が「悲劇的」なのか、どちらとも取れそうな曖昧な言い方をしていました。そのため少し訳すのに悩みました。

ただ悲しい過去に相当するものはすでに判明していてそれは前の記事でも書いたように次のように語られていました。

"While Woody was watching Andy grow up, Bo gathered dust until she took upon herself to head out into the world. And when Woody shows up, they can't believe that they've found each other again."

「ウッディがアンディの成長を見守っていた一方、ボーは自身の選択で外の世界に飛び出すまでの間、埃をかぶって使用されずに放置されていました。そしてウッディが姿を現した時、二人はお互いを再び見つけたことを信じられないのです。」

つまり、使用されずに埃をかぶって放置されていたということです。これは次のポイントにつながってきます。

 

3)「彼女(ボー・ピープ)のようなおもちゃ」

これは、彼女がベビー用ルームランプの飾りであることを指しています。アンディのような想像力豊かな子でなければ、おもちゃとしてではなくあくまで置物くらいにしか見てもらえない、という意味でしょう。さらに彼女は陶器です。そもそも子どものおもちゃには向いていません。

また、ここで重要になるのが、30秒予告編の最初のショットで見せられるカーニバルの後ろにある建物です。

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アンティークと書かれている建物で、他のテントと比較してもアンティークショップにしてはかなり大きく見えます。

ボーピープが陶器であることと、ここにウッディたちがボニーによって連れてこられた際にボー・ピープと再会するであろうことが読めるため、それらを加味すると、ボー・ピープがアンディの次に渡った持ち主によって、このアンティーク店に出品されたのではないか、という可能性も出てきます。

埃をかぶっていた場所がどこなのか、明確にされていませんから、もしかしたら店で埃をかぶっていた可能性だってあり得ると思うんです。

 

***

 

では、これらを踏まえて、ウッディが向き合わねばならない運命を考えます。

ウッディは2作目で日本のコニシ博物館に高額で売られるほどのコレクターグッズだったことが判明していますが、それはもう20年以上前のこと。

そして95年にはアンディのような子どもがあれほど喜んだバズ・ライトイヤーは、20年以上経った今、30秒予告編で新キャラにしてカーニバルのプライズのおもちゃであるダッキーとバニーに茶化されているように、こんなカーニバルのゲームの景品ですらトッププライズになれないくらい価値が低くなっているのです。

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当然ここででてくる「To infinity and my foot」というのは、昨年11月に公開された、Teaser Trailer 2で、ダッキーとバニーが「To infinity and beyond」というバズのセリフを茶化していたところからつながってくるわけですが、単なるネタではなさそうなのです。

もう一度あの予告編を振り返ると、「To infinity and beyond」というバズのセリフに対して、ダッキーとバニーは次のようにリアクションしていました。

www.youtube.com

Ducky: That's the stupidest thing I've ever heard.

ダッキー:今まで聞いた中で一番馬鹿げてるって。

Bunny: You can't go to infinity dummy. It's impossible.

バニー:無限にはいけないって、マヌケが。不可能だって。

Ducky: You don't know nothing about science.

ダッキー:科学のことなんにもわかってないんだな。

 

これって単純なネタではないと思うんですね。

1作目では、新しいおもちゃも古いおもちゃも大事にしてくれる持ち主によって。

2作目では、ジェシーのように一度あきられたり、プロスペクターのように買ってくれる人があまりいなくても、どこかには大事にしてくれる人がいるからそれを信じようということで。

3作目では、成長しても次の持ち主への受け渡しによって、ウッディたちは主人+居場所と、おもちゃとしての人生をつなぐことができてきたわけです。

 

アンディからボニーへの受け渡しのようなものが永遠に行われていけばおもちゃたちは「無限の彼方」までいけるかもしれません。しかし、今回バズの価値が下がっていることや、ボーが割れてしまっていることなどからもわかるように、歳を重ねてしまうことに逆らうことはできないのです。

そういう意味で、「無限にはいけないって」なのではないでしょうか。

だとすると、ボー・ピープが怪我をしている=割れている、というのは単なるタフな女の子を描くフェミニズムの一環でもないような気もしてきます。

どのタイミングで割れたのかはっきりしない以上、なんとも言えませんが、例えば、割れてしまったせいで、ほぼお金にならないような額でアンティーク店に出品されるも誰にも見向きもされなくて、自分で直して外の世界へ出た、などもありえるかもしれません。

この辺りは妄想にすぎませんが、カーズ3がそうであったように、トイ・ストーリーも、おもちゃとしての経年劣化や価値の低下という「老い」に向きあい、どこで「持ち主に大事にしてもらう」という、ウッディがずっと大切にしてきたおもちゃとしての人生に諦めをつけるのか、考えることになるのかもしれません。

 

現時点で出ている情報で私が考える「ウッディが向き合わなければならない」ものは、「(持ち主に大切に遊んでもらえるという)おもちゃとしての現役人生」の終え方です。

 

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フォーキーがどう絡んでくるのかはまだ情報が少なすぎるのでまた情報が公開され次第追って考察していこうと思います。