01. Vuelie / Let the Sun Shine On 歌詞
位置付け
ブロードウェイで公開され、日本に持ち込まれたディズニーのミュージカルで最も新しいAladdinを含め多くの作品では、Overtureが用意されていますが、今回のFrozenにはOvertureがありませんでした。
2013年の映画版(2013年公開のウォルトディズニーアニメーションスタジオによる長編アニメーション映画 Frozen の省略表記)でもこのVuelieがWalt Disney Animation Studios のロゴをバックに始まることから、Vuelie自体がOverture として扱われていることが伺えるため、今回のサントラの一曲目は、OvertureとしてのVuelieとオープニングナンバー Let the Sun Shine On が一体化したものと位置付けられそうです。
歌詞と対訳
では早速歌詞と対訳いきます。
[Ensemble]
Na na na heia na
Na hi ja na
Na heia heia na ja no a
Ha na hei o no a na...
[Anna]
Do you want to build a snowman?
Come on! Let's go and play!
雪だるま作らない?
ねえ遊びに行こうよ
[Elsa]
I could cover this whole place in snow!
I'm not supposed to, though
部屋中雪で埋めることもできるよ
やっちゃダメだけど
[Anna]
Yeah.
Just do it anyway!
Do it for your sister!
Elsa, please
Oh please!
I can't do the things you do!
そうだね、じゃあやって!
妹のためにやってよ
エルサ、お願い、ねえお願い!
エルサのすること私にはできないの
<Elsa show some magical flurry>
<エルサが魔法を見せる>
That's what I'm talkin' about!
そう!これよこれ!
[Elsa]
You really want to build the snowman?
ホントに雪だるま作りたいのね
[Anna]
"You know I do"
わかってるでしょ?
[Elsa]
We'll stay up late and build that snowman!
夜更かししてつくろうね
[Anna]
"Yes"
やった!
[Both]
Me and You
ふたりでね
[Ensemble]
Na na hi ja na
Na na hi ja na
Once there was a family beloved by all
A king, a queen, two princesses
And the story starts when they were small
かつて皆に愛される家族がいた
国王、女王、二人の王女
物語は二人が幼い頃から始まる
[King Agnarr]
"Ladies, what have you been up to?"
二人とも、何してたんだ?
[Ensemble]
Elsa was a special child
From her first frozen tear
Her magic filled her parents' hearts
With so much love and fear
エルサは特別な子だった
最初に流した凍った涙から
両親の心は彼女に対する愛と恐れであふれていた
[Queen Iduna]
"Elsa, no! What did we say?"
「エルサ、ダメよ!約束したでしょ?」
[Elsa]
"Magic must stay secret"
「魔法は秘密にしてなきゃいけない」
[Queen Iduna]
"And there's just some things we can't do in public"
「人前ではやっていけないことがあるのよ」
[Anna]
"Like, run naked in the breeze"
「そよ風あびながら裸で走ることとかね!」
[Queen Iduna & King Agnarr & Elsa]
"Anna!"
「アナ!」
[Anna]
Let the
Let our hearts be light
Like this perfect, happy, shiny summer day
陽よ照らしてちょうだい
心を明るくするの
最高で幸せで輝く夏の日みたいに
[King Agnarr & Queen Iduna]
Let the
陽よ照らせ
[Anna]
'Cause it's all alright
だって何もかもうまくいくから
[King Agnarr & Queen Iduna]
Together we can keep the storm at bay
力を合わせれば 嵐を寄せ付けないようにしていられる
[Anna & Elsa](手遊びの掛け声)
One, two, three together
Clap together, snap together
You and me together
Knee together, freeze together
Up or down together, princess run together
Always be together
You and me!
[Ensemble]
Once there was a family
With secrets to keep
As rulers in a land where
Respect for the crown runs deep
かつて隠すべき秘密をもった家族がいた
王家への尊敬が深く浸透している王国の統治者として
[Anna]
Freeze my butt!
お尻を凍らせて!
[Ensemble]
And so the royal family is ever on display
And people loved the princesses
And watch them as they play
王家はそうして(秘密を隠したまま)人前に立ち
アレンデールの人々は二人のプリンセスを愛し
二人が遊ぶのを見守った
Let the
Let our lives be free
Let the promise of our land be sure and strong
Let our hearts be warmed by this family
All the winter long!
陽よ照らせ
自由に生きられるように
王国の約束を確固たるものにせよ
この王家が心を暖めてくれる
冬の間中ずっと
Na
Na
Let the
Over Arendelle!
Let the crown be strong
And let your love be true
Bless our daughters fair, whom we love so well
We will look to you
陽よ照らせ
アレンデールの陽を
王権をより安定させ
愛を確かなものに
我らの愛する姫君たちを祝福せよ
あなたたちを頼りにしています
私の解釈と解説
ここからは、歌詞を改めて追いながら、途中途中で言いたいことを言うスタイルで書いていきます。
Vuelie
[Ensemble]
Na na na heia na
Na hi ja na
Na heia heia na ja no a
Ha na hei o no a na...
「ナーナーナ ヘイヤーナ」 でおなじみの Vuelie。
舞浜でも2015年のフローズンファンタジーイベント開始以来、毎年冬季期間のパレードルートで死ぬほど耳にしてきましたが、何度聞いても耳にするだけで体感気温が下がる感覚が抜けません。
映画版では、氷のうように透き通るイメージの高音域で歌われることが印象的ですが、ブローズン(このブログで用いる「ブロードウェイ版フローズン」の省略表記)では、歌い出しがより重厚な低音で始まります。
また映画版が1分36秒あるのに対し、ブローズンでは45秒程度と半分くらいになっています。
Let the Sun Shine On
オープニングナンバーは Frozen Heart じゃないの!?
これ、観劇した時に追加曲の中で一番好きになったナンバーです。アラジンでもノートルダムの鐘でもオープニングナンバーが一番好きな身としては、当然オープニングナンバーとして好きになるのは当然かもしれませんが、今回は状況が違いましいた。
アラジンであれば "Arabian Night" 、ノートルダムであれば "The Bells of Notre Dame" も、映画版のオープニングナンバーと比べると、状況や設定、歌詞、音楽の構成等だいぶ変更やアレンジが加えられているとはいえ、タイトル自体は同じで、メインとなるメロディも基本的には共通しています。
しかし、ブローズンの場合、映画版のオープニングナンバーのFrozen Heart はカットされ、劇中 Frozen Heart と名のついたナンバーは一度も披露されません。(まあ Frozen Heart で使われていたフレーズはブローズンの作中あちこちに散りばめられており、まさにこの Let the Sun Shine Onにも登場する訳なのですが。)
なんでFrozen Heart が大事な曲だったの?
Frozen Heart は映画版のナンバーの中でも異色なナンバーになりますが、歌詞の中には "cold", "winter", "icy force", "frozen heart", "love", "fear", "let it go", "beautiful", "powerful", "dangerous", "magic", "control" など、劇中で鍵となるワードがたくさん散りばめられており、"be ware the frozen heart"で締めくくられます。物語のアイスブレイクとなる曲を文字通り ice を break する様子とともに披露される大切な曲です。(クリストフとスヴェンの紹介という役割はもちろんのことですが)
そのため、昨年ブローズンのミュージカルナンバーが発表された時、Frozen Heartがないことに衝撃を受け、そんな Frozen Heart をとって変わるほどの曲がどんなものなのか期待と不安でいっぱいのまま St. James Theatre に向かいました。
Do You Wanr To Build a Snowman だと!?
そうして幕が開くと、期待通りの「ナーナーナ へイヤーナ」に続いて、耳に入ってきたのは、 Do You Want To Build a Snowman のイントロのピアノ!
え!? もう「雪だるまつくろう」なの!?まだ事故起きてないよね?
[Anna]
Do you want to build a snowman?
Come on! Let's go and play!
雪だるま作らない?
ねえ遊びに行こうよ
[Elsa]
I could cover this whole place in snow!
I'm not supposed to, though
部屋中雪で埋めることもできるよ
やっちゃダメだけど
[Anna]
Yeah.
Just do it anyway!
Do it for your sister!
Elsa, please
Oh please!
I can't do the things you do!
そうだね、じゃあやって!
妹のためにやってよ
エルサ、お願い、ねえお願い!
エルサのすること私にはできないの
'Do it for your sister' って、アナ、エルサの攻め方わかってるな 笑
'I can't do the things you do' っていう表現も美しい。
この時点で "magic" は姉のエルサにはできて、妹のアナにはできないこと、「ただできる人とできない人がいるだけのこと」として描かれているのが「美しい」と感じる理由です。純粋にみればそうなんですよね。
<Elsa show some magical flurry>
<エルサが魔法を見せる>
That's what I'm talkin' about!
そう!これよこれ!
[Elsa]
You really want to build the snowman?
ホントに雪だるま作りたいのね
[Anna]
"You know I do"
わかってるでしょ?
[Elsa]
We'll stay up late and build that snowman!
夜更かししてつくろうね
[Anna]
"Yes"
やった!
[Both]
Me and You
ふたりでね
扉で隔てられていないアナとエルサが二人で雪だるま作ろうを歌う姿だけでジーンときてしまいますが、そこからもう一度 Vuelieのフレーズを挟んで、国王アグナル、女王イデュナ、そしてアンサンブルが舞台へ登場。
こうして Let the Sun Shine On パートが始まります。
Frozen Tear:赤ん坊のエルサが流した「凍った涙」
[Ensemble]
Na na hi ja na
Na na hi ja na
Once there was a family beloved by all
A king, a queen, two princesses
And the story starts when they were small
かつて皆に愛される家族がいた
国王、女王、二人の王女
物語は二人が幼い頃から始まる
[King Agnarr]
"Ladies, what have you been up to?"
二人とも、何してたんだ?
[Ensemble]
Elsa was a special child
From her first frozen tear
Her magic filled her parents' hearts
With so much love and fear
エルサは特別な子だった
最初に流した凍った涙から
両親の心は彼女に対する愛と恐れであふれていた
エルサが魔法をもってることの発覚って、エルサが流した 'frozen tear' だったって設定なんですね…
泣いた瞬間に凍るのか、どうなのかわかりませんが、すごい設定。
両親の心に溢れるのも、"love" だけでも "fear" だけでもなく、どっちも言及されています。
Frozen Heart の名残り"love" と "fear" からの 裸で走りたがるアナ
[Queen Iduna]
"Elsa, no! What did we say?"
「エルサ、ダメよ!約束したでしょ?」
[Elsa]
"Magic must stay secret"
「魔法は秘密にしてなきゃいけない」
[Queen Iduna]
"And there's just some things we can't do in public"
「人前ではやっていけないことがあるのよ」
[Anna]
"Like, run naked in the breeze"
「そよ風あびながら裸で走ることとかね!」
[Queen Iduna & King Agnarr & Elsa]
"Anna!"
「アナ!」
ここで "Frozen Heart" のメロディが初登場します。と言っても台詞の裏のインストルメンタルのフレーズとして登場するだけですが、それは映画版でもブローズンでも同じように登場する For the First Time in Forever (Reprise) でエルサの魔法がアナのheartに直撃した時、オーボエによって奏でられる旋律とほとんど同じです。
ちょうど、この会話の直前のアンサンブルによる、love and fear に被せる形で、 "Frozen Heart" のフレーズが奏で始められるのですが、 初登場のタイミングがここなのも納得がいきます。なぜなら、"love" と "fear" という二つの大事なキーワードは、映画版では "Frozen Heart" の中で紹介されており、"Frozen Heart" のフレーズが "love" と "fear" に結びついていることが再確認できます。同時に、この曲が "Frozen Heart" の役割も受け継いでいるのです。
そんな深刻そうな舞台上の雰囲気も、アナのやんちゃな発言で吹き飛びます。
Let the STORM RAGE ON <ー> Let the SUN SHINE ON
そして、'Let the
[Anna]
Let the
Let our hearts be light
Like this perfect, happy, shiny summer day
陽よ照らしてちょうだい
心を明るくするの
最高で幸せで輝く夏の日みたいに
[King Agnarr & Queen Iduna]
Let the
陽よ照らせ
[Anna]
'Cause it's all alright
だって何もかもうまくいくから
[King Agnarr & Queen Iduna]
Together we can keep the storm at bay
力を合わせれば 嵐を寄せ付けないようにしていられる
'Let the
'Together we can keep the storm at bay' という両親の表現も注目です。 "storm" というキーワードが初めて言及されるのがここになります。そしてやはり "storm" は "
映画版では、For the First Time in Forever (Reprise) で対で描かれます。アナの口からは "We'll reverse the storm you've made / We'll make the sun shine bright" と歌われますし、エルサも "Go enjoy the sun and open up the gates" / "No escape from the storm inside of me" と歌います。
さらに、ここからわかるように、'keep the storm at bay' するために両親が選んだ手段は、
[Anna & Elsa](手遊びの掛け声)
One, two, three together
Clap together, snap together
You and me together
Knee together, freeze together
Up or down together, princess run together
Always be together
You and me!
ここはファンにとっては嬉しいところ!本編からは削除されてしまった曲、We Know Better のあの一節がこのような形で採用されるとは!
[Ensemble]
Once there was a family
With secrets to keep
As rulers in a land where
Respect for the crown runs deep
かつて隠すべき秘密をもった家族がいた
王家への尊敬が深く浸透している王国の統治者として
王家への尊敬が深く根付いているのであれば、しっかり理解してくれそうな気もしますが、アグナルとイデュナが国民の自分たちに寄せる信頼を意識しすぎたがゆえに隠すことしか考えられなくなっているのかもしれません。しかしまだこの時点では、危険なものとしては認識していません。
[Anna]
Freeze my butt
お尻を凍らせて!
butt 大好きなアナ。ブローズンの劇中でアナは3回butt と言います。一回目がここ。二回目が "A Little Bit of You" というオラフをつくるシーン。三回目は大人になったながノースマウンテンでオラフと出会ったシーン。
[Ensemble]
And so the royal family is ever on display
And people loved the princesses
And watch them as they play
王家はそうして(秘密を隠したまま)人前に立ち
アレンデールの人々は二人のプリンセスを愛し
二人が遊ぶのを見守った
ここから曲が最も盛り上がる部分。
舞台の中央にはメイポールが登場し、メイポールから垂れたリボンの先端をもってアナ・エルサそしてアンサンブルが演じるアレンデールの国民たちが、踊ります。
(フローズンファンタジー・パレードの先頭の「町娘」と呼ばれていたダンサーさんたちのユニットがパレード停止時に見せるメイポールダンスのイメージ、といって伝わる方は Frozen Crazy ですね 笑)
[Ensemble]
Let the sun shine on!
Let our lives be free
Let the promise of our land be sure and strong
Let our hearts be warmed by this family
All the winter long!
陽よ照らせ
自由に生きられるように
王国の約束を確固たるものにせよ
この王家が心を暖めてくれる
冬の間中ずっと
Na
Na
Let the
Over Arendelle!
Let the crown be strong
And let your love be true
Bless our daughters fair, whom we love so well
We will look to you
陽よ照らせ
アレンデール中を!
王権をより安定させ
愛を確かなものに
我らの愛する姫君たちを祝福せよ
あなたたちを頼りにしています
最後のパート、
We = 国王・国民両方と捉えるのが良さそうです。
"our daughter" という表現、戴冠式で歌われる Queen Anointed などでも出てくる表現のため、国民が2人の王女すなわちエルサとアナに対して使う言葉であることは確実です。また、文字通りアグナルとイデュナからみれば当然娘であるので、our daughter という言葉は当然アナとエルサを指します。
そしてこれを歌っているのは、幼少期のアナとエルサももちろん舞台上にはいますが、基本的には、両親と国民(アンサンブル)が2人のことを歌っているので両者と捉えるのが適当でしょう。
'We will look to you' は、国王・国民がアナとエルサに自分たちでどうにか解決する方法を見出すよう期待している、ということになるのでしょうか?
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