westergaard 作品分析

映画、ミュージカル、音楽、自分が好きなものを分析して語ります。

A Place Called Slaughter Race 『あたしの居場所』独自訳詞・オマージュ分析

はじめに

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以前このブログに書きました、こちらの記事ではまだ米国公開当初のタイミングだったということもあり、細かい分析は十分にできておりませんでした。 

ikyosuke.hatenablog.com

 

が、2月12日より米国ではストリーミング配信が始まり、セリフも全て字幕という形であれば確認できる愛ようになりましたので、重箱の隅をつついていきたいと思っております。そして今回は前のブログの中で、やると宣言していた挿入歌「A Place Called Slaughter Race」の分析、考察をしていきたいと思います。また解釈していくうちに、吹替版上映に挿入されている吹替詞で納得のいかない部分が出て来たことをきっかけに独自で訳詞をつけてみるという試みをしてみました。

この記事が少しでも、「A Place Called Slaughter Race」の元の歌詞の意味するところや、ヴァネロペの心境についてより深く考えるためのヒントになればと思って書きたいと思います。

 

初めて聴いた時の感想

シュガー・ラッシュ・オンラインことRalph Breaks the Internetでミュージカル作品でもないのに突如挟まれた挿入歌。

アランメンケン作曲ということもあり、dpost.jpさんなどの記事でも公開前からかなりの期待とともに考察されていたほどで、私もどんな爆弾ソングが投下されるのかとワクワクしておりました。

dpost.jp

結局私は、映画公開を待てずに曲だけ配信されたときに聴いてしまったのですが、その時の最初の感想が「???????????」

そうなんです、映像がなかったので曲だけでは判断できなかったのもあるのですが、曲としてはあまり刺さらなかったのです。他の方がどう感じたかはわかりませんが、Tangledの I've Got a Dreamの雰囲気の前半、デュエットになる後半、最後のチロリーンというアラン・メンケンのプリンセスソングのおきまりの終わり方、それはわかるのですがあまり曲として面白さが感じられないまま公開日を迎え、劇場で映画を鑑賞し、ようやくこの曲の面白さがわかりました。

先ほどの記事でdpostさんもご鑑賞される前から「ディズニーのスタイルを『パロディ』するという前提であることを考えると、アラン・メンケンミュージックも例外ではない」と書かれていたように、確かにアラン・メンケンも自らの作風をセルフパロディしていたのですが、ロペス夫妻以降のプリンセスソングはハードルが上がってしまっていて、パロディの積み重ねだけで曲としてのインパクトはあまりなくなってしまった仕上がりになったのかなという風に思いました。

でも映像の方がそれを補っており、曲を聴くだけではわからないパロディ・オマージュが山のようにあった、というのが蓋を開けた感想でした。

 

まず前半でパロディ・オマージュを整理して、後半は原詞に対訳をつけながら、それを吹替詞と比較しつつ、私がつけた独自訳詞を紹介します。

 

パロディ・オマージュとしての A Place Called Slaughter Race

パロディ・オマージュ(1):ビジュアルとして引用されたアランメンケンソングたち

この歌の導入自体としてある、Oh My Disneyのプリンセスたちとの会話の中で前振りで「プリンセスが夢について歌い始めると音楽がどこかから流れて来てスポットライトが当たる」と教えられたヴァネロペがハンドルについて歌うとうまくいかず、ハンドルが「本当に望んでいるもの(somthing that you really want)」でないことが明らかになります。

うまくいかないヴァネロペに対してポカホンタスが言ったのが「自分が反射する場所へ行くこと・水面をみつけて見つめること(go some place to reflect / finding a form of water and staring at it)」でした。これは明らかにMulanでムーランが歌う「Reflection(リフレクション)」をはじめとする楽曲に対する言及であり、ヴァネロペがOhMyDisneyをあとにしてすぐコップからこぼれてできた水たまりに顔を移すショットは「Reflection」のイントロのショットそのもの。

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ラルフから着信がありハンドルがついに手に入ることがわかると、今まで曲が流れてこなかったヴァネロペに音楽が聴こえて来て、気づくと水溜まりはスローター・レースの壊れた消火栓から溢れた水に変わっています。

ヴァネロペにとっての「Important water」はスローターレースの消火栓の水だったのです。

そしてスポットライトの代わりにヘリコプターのサーチライトが当たるショットはプリンセスと魔法のキスこと Princess and the Frog のティアナのI Want Song「Almost There(夢まであとすこし)」のショットに類似。

手にとまるハトに歌いかけるショットはSnow Whiteの白雪姫のそれを、カートに捕まって移動するショットや、カートが倒れて地面に降りる動作はBeauty and the Beastのベルの「Belle(朝の風景)」のシーンを、それぞれ想起させます。

シャンク登場以降はしばらくスローター・レース内にあるものやいる人・動物の紹介が続き、タトゥーのおじさんが出てくるショットからはしばらくディズニーでないミュージカル映画のオマージュが挟まれます。

 

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タトゥーのおじさんのショットの後ろでは、Singin' in the Rain(雨に唄えば)以降 最近ではLa La Land や Mary Poppins Returns に至るまで、ミュージカルで電灯が出てくればあらゆるところで引用され続けている、電灯に捕まって回る振り付けが目に入ります。

そして続くショットはカラフルな車の上でカラフルな衣装で踊る人たち。これはもう明らかに La La Land のオープニングナンバー Another Day of Sun の引用とみてよいでしょう。

 

ここでまたアランメンケンソングからの引用に戻ります。
車の上で踊っているダンサーたちが左右を入れ替えるようにジャンプするドリーショットが続くのですが、これは Beauty and the Beast のショーストップナンバー「Be Our Guest」の最初のサビの終盤でジョッキたちがジャンプするショットの動きを再現しているように見えます。

続くショットはこれまたミュージカルといえばのバークレーショットと呼ばれる、真上から撮影することで万華鏡のように見えるショットのこと。

ブロードウェイで振付師をしていた Busby Berkeley (バスリー・バークレー1895〜1976)がミュージカル映画を手がけていく際に導入し、彼を一躍有名にした作品42nd Street (1933)でもしっかりこの真上から撮るショットが使われています。同年に公開されたFootlight Parade (1933) のプールのシーンも有名で、これはディズニー関連だと、アニメ版Beauty and the Beast (1991)のBe Our Guestでも、実写版(2016)のそれでも引用されています。

今回のバークレーショットは車で再現されるのですが、紫のライティングが実写版Beauty and the Beastの「Be Our Guest」のポット夫人のシーンに近い気がしたので並べて見ました。

バークレーショットからトランジションはタイヤが転がって来てワイプするというもの。これはまたお皿が左右から転がって来てトランジションする1991年アニメ版Be Our Guestのトランジションの引用とみてよさそうです。

そして自分の車をゲットしたヴァネロペが走り出すときの左右のダンサーたちは動きこそ逆ですがBe Our Guestの燭台たちのショット構図に酷似。

 

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反射する床の上を走って行くバックショットは、Aladdinの A Whole New Worldの終わりのショットも想起させます。

また照明で作られた星空のようなセットから、実際の星空へ移って行く様子は La La Landのプラネタリウムのシーンのようでもあります。

シャンクと二人で月に向かって車を走らせて行くシーンは A Whole New World そのもの。

そして途切れた高速道路の上で太陽に向かって歌うのは、構図こそ逆ですが、Pocahontasの「Color of the Wind」の終盤のショットを想起させます。

花火がわりに爆弾が爆発して散ってくる火花が背景にボカされて映るショットは、Tangledでラプンツェルが水面に映る無数のランタンを背景に空を眺めるショットに似ています。

 

と、このようにプリンセスものであればアラン・メンケン作曲のミュージカルナンバーのシーンからのビジュアル的な引用が大量になされており、さらにミュージカル映画といえば、という振り付けや最近のミュージカルの中でもアイコン化されるようなショットが盛り込まれているわけです。

ミュージカル映画好きなら、曲が刺さらなくてもこの映像を見ればいかにこれがパロディ作品であるかがよく伝わってくるのです。

でも残念ながら、いまに書いたように「ミュージカル映画好きなら」という条件がついてしまいます。それを別の方法で乗り越えようとしたのが吹替版「あたしの居場所」でした。

 

パロディ・オマージュ(2):歌詞として引用した吹替歌詞「あたしの居場所」

私は毎度、吹替歌詞がどのような要素を拾って、どのような要素を(やむなく)落としているかというのはかなり関心があって、比較をするようにしています。

というのは1〜2音節で一語の英語と異なり一音節で仮名一文字しか網羅できない日本語に、英語で作られた歌詞を翻訳するとどうやっても情報量が半分かそれ以下に削減されてしまうからです。

現在はアメリカに滞在しており、吹替版の上映を観ることができない予定だったので、サントラが出たら分析しようと思っていたのですが、それが出ず。結局たまたま急用で帰国した際に、字幕版と吹替版を一度ずつ見ることができたのですが、そこで驚きました。

前半部分の歌詞が元の英語歌詞と全然異なっていたのです。もともとあった要素が半分程度に削られるならともかく、なかった要素がガンガン加えられていたのです。

その部分がこちら

a) いつか必ず王子様が 連れてってくれる… なんてね

b) 鳥とおしゃべりできないけど それでもプリンセス?

c) そう!ここはホールニューワールド!

d) そーれ!もっと素敵な世界が待ってる

e) そうよありのままで

生きようこのスローター・レースで!

a) は白雪姫、b) はシンデレラやオーロラを想起させる言葉が並んでおり、c) はジャスミン、d) はベル、e) はエルサの歌うナンバーから直接歌詞を引用しています。

上でみたように、白雪姫やベルはこのシーンにビジュアルとして確かに引用されています。またジャスミンも後半でビジュアルとして引用されます。

エルサはロペス夫妻作曲なので、ほとんど触れられていないわけですが、吹替版ではホールニューワールドと同格くらいの感じで曲のタイトルがガッツリと入れられているわけです。

でもこれらの要素は元の歌詞に全くありません。後ほどしっかりと対訳をつけますが、原詞ではむしろ、一見魅力のないように見えるスローター・レースにどうしてか惹きつけられてしまう自分について歌っているのです。

たしかにこの吹替詞はビジュアルとして引用されていることに気がつかない人でも歌詞を知っていればプリンセスソングの引用だということにすぐ気づけるようになっていてしゃれていると思います。

が、もし元の歌詞に忠実な訳詞がつけられていたらどうなっていただろうか、と考えてしまうわけです。

 

実験的に独自で訳詞をつけてみた

もし吹替えの歌詞が原詞の直訳に近かったら? 

私は、自分の気に入ったいろんなミュージカルナンバーを対象に、元の英詞を解釈して翻訳し、さらに気が向くとメロディに乗っけられるような独自の和訳詞を考えるというのを趣味的にやっているのですが、今回はこの「A Place Called Slaughter Race」について、原詞の意味するところや、大幅に歌詞の内容が変更されて翻訳された経緯を探るために私が独自で訳詞をつけてみました。

 もちろん、これには賛否があると思いますし、そもそもサラ・シルヴァーマンさんやガル・ガドットさんの声の上にボイスオーバーを載せるなどありえないなどという声もあると思いますので、再生される前に先に書かせていただきます。

 

<注意!>

これは、Ralph Breaks the Internet (2018) (邦題:『シュガー・ラッシュ・オンライン』)(2018)の挿入歌 "A Place Called Slaughter Race"(邦題:『あたしの居場所』)の原詞をブログ筆者が独自に和訳して詞をつけたものです。
元の映像の音声の上に、素人が歌声をボイスオーバーで重ねておりますので、不快に感じる可能性がある方は再生しないか、音声をオフにして再生することをお勧めします。冗談半分で、笑ってみていただけると幸いです。
また、訳詞の全文と、訳詞をこのようにつけた背景などについては、以下で紹介しておりますのでよかったら動画より下の部分をご覧ください。動画の下に、オリジナル歌詞とその対訳、吹替詞、そしてこの動画にて公開した独自訳詞の三種類とその解説を掲載しています。

 

youtu.be

 

原詞と対訳(直訳に近いもの)・吹替詞・独自訳詞

(凡例)

原詞:イタリックの英字

吹替詞:斜体青字

原詞の対訳:黒字

独自訳詞:赤字

 

(なお青字表記の吹替詞は公式から出ていないので、まだ私が吹替え版を確認しに行けなかった段階で、Twitterアカウント@kanatoto33 さんが提供してくださったものを許可を得て掲載しています。ありがとうございます。) 

[Vanellope]

What can it be that calls me to this place today? <いつか必ず王子様が>
今日この場所にあたしを呼ぶものはなんだろう?
あたしは何に魅せられて

This lawless car ballet, what can it be? <連れてってくれる…なんてね>
この無法地帯の車のバレエで、何が呼んでるのかしら?
来ちゃったのかな 無法地帯

Am I a baby pigeon, sprouting wings to soar? <鳥とおしゃべりできないけど>
あたしは飛び立つための羽が生え始めたハトの赤ちゃん?
羽が生え始めたハトさん

Was that a metaphor? <それでもプリンセス?>
いまのって(ベルが言ってた)隠喩なのかな?
それって あたしのこと?

Hey, there's a Dollar Store <そう!ここはホールニューワールド!>
ねぇ、1ドルショップだよ!
見て 1ドルショップ!

Look, I'm rhyming <そーれ!もっと素敵な>
見て!私いま韻を踏んで歌ってる
ねぇ 歌えてる

My spirit's climbing <世界が待ってる>
心が高鳴ってる
心が高鳴る

As I'm called through this fog of mace <そうよありのままで>
催涙ガスの霧の向こうから呼ばれて
霧の中 みちびかれ

To this place called Slaughter Race <生きようこのスローター・レースで!>
たどり着いたのはここ スローター・レース
たどり着いた スローター・レース!

 

[Shank]

Welcome Back, watch your head <おかえり気をつけて>
おかえり、頭上注意
おかえり、気をつけて

Hate to see you end up dead <危険がいっぱい>
あなたが死ぬとこ見たくない
死ぬのは早い

 

[A Thief]

Let's get this party rollin' <冷蔵庫お持ち帰り!>
さぁパーティはこれからだよ
さぁ パーティ始めようぜ

 

[Vanellope]

Is that appliance stolen? <あのおじさんドロボウ?>
あの電化製品盗まれてるの?
あれ盗んでってるの?

 

[Shank]

We have <まあね>
ここには
ここには

 

[Butcher Boy]

Falling wires <電線注意>
切れて落ちてる電線
切れてる電線

 

[Little Debbie]

Dumpster fires <燃えるゴミ>
ゴミ箱の炎
燃えてるゴミ箱

 

[Clown]

Creepy clowns <ピエロだよ>
気味の悪いピエロ
おかしなピエロ

 

[Felony]

And burning tires <タイヤはいかが?>
火のついて燃えてるタイヤ
焼けてるタイヤ

 

[Shank]

That great white in the sewer <下水道のサメ>
下水道にいる あの大きな白いの(Great White Shark:ホオジロザメ
下水道の白い子

You'll be happy that you knew her <でもホントはいい子>
もう会ってて良かったと思うはずよ
前にも会ってるよね?

 

[Shark]

Dogs and cats, they sure taste great <ワンコニャンコ可愛いし>
犬さん、猫さん、もちろんとっても美味しい
犬さん 猫さん とっても美味しい

 

[Wolf]

With a side of license plate <ナンバープレートも>
ナンバープレートの付け合わせもついてくる
ナンバープレートの付け合わせ

 

[Dog]

Some find us deplorable <かわいそうなオレたち>
ボクらを悲惨な状況だって見る人もいる
哀れなボクら

 

[Vanellope]

Well, I think you're adorable <そうかな?楽しそうだよ>
そうかな、あたしはとっても可愛いと思うよ
とっても可愛いと思うよ

 

[Shank]

We may be a motley crew, but our hearts ring true <怖く見えても意外とピュア>
わたしたちは雑多な集団だけど、心は誠実なの
メンツはカオス でも誠実

 

[Tatoo Guy]

And just for you, a face tatoo <こころ込めてタトゥー>
そしたらキミだけ特別に、フェイスタトゥーを
キミだけにフェイスタトゥー

 

[Vanellope]

My heart's in flight, and, wow, it's a blast <ワクワクがわぉ!止まんない>
心が飛んでるみたい うわぁ ホントに最高
心ウキウキ もう最高

Feels like my dreams are real at last <夢をついに見つけた!>
ようやくあたしの夢が現実になるみたいに感じる
ついに夢が叶うの

 

[Shank]

No trace of a frown upon your face <もう何も迷わないで>
しかめっ面してたけど跡形もなく消えたね
悩みが消えたなら

 

[Vanellope]

Flying so fast <飛び立とう>
すごい速さで飛んで行こう
飛ばそう

 

[Shank]

Setting the pace <今こそ>
先頭に立ってリードして(「ペースを作る」から転じてこのような意味)
先頭を

 

[Vanellope]

Living the life <生きよう>
人生を送ろう
生きよう

 

[Shank]

Loving the chase <レースに>
競争を愛しながら
競争に

 

[Vanellope]

Now is the time <あたしの>
いま時が来たの
いまこそ

 

[Shank]

Here is the place <居場所は>
ここがその場所
この場所で

 

[Both]

This Slaughter Race <このスローター・レース>
このスローター・レースが
そう スローター・レース

 

[Vanellope]

I know I should go <帰れないよ>
わかってる 帰るべきだっていうのは
帰らなくちゃ

But home feels so slow <お菓子の国>
でもお家は何もかもがとってもゆっくりに感じる
でも 見つけたの

These roads are paved with dreams <探してたマイドリーム>
ここの道はたくさんの夢で敷き詰められてるんだもん
この夢の道

 

[Clown]

Happy dreams, not creepy clown dreams <お嬢ちゃん死んでも知らないよ〜>
楽しい夢ね、奇妙なピエロの夢じゃなくてね
楽しい夢ね、ピエロが出ないやつ

 

[Vanellope]

What would Ralph say <ラルフ ごめん>
ラルフはなんて言うかな?
なんて言うかな

If it turns out I stay <あたしは生きる>
もしあたしがここに残るってわかったら
でも 気づいちゃったの

 

[Vanellope & Chorus]

In this place called Slaughter Race <このスローター・レースで>
スローター・レースって呼ばれてるこの場所に
あたしの居場所は スローター・レース

 

[Vanellope]

In this place called Slaughter Race <このスローター・レースで>
スローター・レースって呼ばれてるこの場所に
居場所はスローター・レース

 

 

独自訳詞について この語選びになった背景の解説

基本的に
1)できるだけ原詞で表現されている要素をそのまま入れ
2)音節数をできる限り合わせ
3)各節の歌い始めの子音か母音をできるだけ合わせる
4)歌い終わりや伸ばす部分の母音をできるだけ合わせる
という方向性で、元の響きの雰囲気を残しつつ意味を拾えた訳詞をつけています。

それではここから、一節ごとにどうして私が上記の赤字のような語を選んだのか背景を解説します。

 

(凡例)

原詞:イタリックの英字吹替詞:斜体青字原詞の対訳:黒字独自訳詞:赤字

 

[Vanellope]

What can it be that calls me to this place today? <いつか必ず王子様が>
今日この場所にあたしを呼ぶものはなんだろう?
あたしは何に魅せられて

This lawless car ballet, what can it be? <連れてってくれる…なんてね>
この無法地帯の車のバレエで、何が呼んでるのかしら?
来ちゃったのかな 無法地帯

ヴァネロペがOhMyDisney付近でコップから溢れた水たまりを眺めているうちに、いつの間にかスローター・レースの中にワープしています。これについてヴァネロペは、「call」されているからと認識しているわけです。

この場所の何が自分を呼んでいるかわからない。でも何かに呼ばれているのです。それも一見あまり魅力的に見えないこの無法地帯のカオスな場所に。でも何かに呼ばれている気がするんです。

でcar balletは盛り込めませんでしたが、このballetという言葉は、ヴァネロペがゴミを避けながら歩くことで知らず識らずのうちにステップを踏んでしまうところに対応しています。そしてその背景に流れる音楽はバレエの雰囲気のある管楽器のサウンド
普通に独り言を言っているだけだったらステップなんて踏まないよね(笑)っていう皮肉なのか。

 

Am I a baby pigeon, sprouting wings to soar? <鳥とおしゃべりできないけど>
あたしは飛び立つための羽が生え始めたハトの赤ちゃん?
羽が生え始めたハトさん

Was that a metaphor? <それでもプリンセス?>
いまのって(ベルが言ってた)隠喩なのかな?
それって あたしのこと?

Hey, there's a Dollar Store <そう!ここはホールニューワールド!>
ねぇ、1ドルショップだよ!
見て 1ドルショップ!

ヴァネロペが歌い始めたのをきっかけに飛んで来たのはハト。それも白雪姫に飛んで来たような白い鳩ではなく、都会にいるようなハト。これは「Enchanted(魔法にかけられて)」でおとぎの世界からニューヨークに来たジゼルが歌ったときにハトやゴキブリが現れたことのパロディのようにも見えます。ですがこれについては原詞では歌っていません。むしろ、自分を生まれたてのハトに投影しているのです。

そしてここでハンドルについてプリンセスたちの前で歌ったときにベルに言われた「それ(ハンドル)って何かのメタファー?」という言葉が頭を遮ります。自分をハトになぞらえるなど、実際の会話ではしませんが歌の中でよくなされるそれをヴァネロペは自分もやっていたことに気がつくのです。

ここは一番解釈が難しいのですが、特別な場所でもなんでもないのですがONE DOLLAR STOR(アメリカに住んでいる感覚だと、日本でいう百均よりも品揃えはイマイチ)を見つけて歌います。大したものではないですが、シュガーラッシュの世界にはないものなので、ヴァネロペにとってはテンションの上がるものなのかもしれません。でもそれが見ている観客の感覚では、特になんの変哲も無い100均なので、それをわざわざ歌詞に盛り込んでしまうほど興奮しているヴァネロペとのギャップが面白いのです。
ここは結構劇場でもウケていました。

 

Look, I'm rhyming <そーれ!もっと素敵な>
見て!私いま韻を踏んで歌ってる
ねぇ 歌えてる

My spirit's climbing <世界が待ってる>
心が高鳴ってる
心が高鳴る

As I'm called through this fog of mace <そうよありのままで>
催涙ガスの霧の向こうから呼ばれて
霧の中 みちびかれ

To this place called Slaughter Race <生きようこのスローター・レースで!>
たどり着いたのはここ スローター・レース
たどり着いた スローター・レース!

個人的には吹替詞が落としてしまった一番重要な要素はこの「I'm rhyming」だと思っています。なぜなら、ラプンツェルに言われて歌って見たハンドルの歌では音楽は流れてこなく、スポットライトも当たりませんでした。そのときヴァネロペは次のような会話を言います。(セリフの対訳も筆者による独自のもの)

[Vanellope] Wait. You're saying if I just stare at some water...
え待って。つまりあたしがなんかの水をみつめると…

[Ariel] Duh! IMPORTANT water. 
もう、わかってないわね。「自分にとって大切な水」よ。

[Venellope] Right, of course. Important water. I stare at that important water and somehow magically I'll start singing about my dream?
そうよね。もちろん。「大切な水」ね。あたしがその「大切な水」を見つめると、なんか魔法のように自分の夢について歌い始めちゃうってわけ?
[Princesses] Yeah. / For sure.
えぇ、そうよ。/もちろん。

[Venellope] I don't think so, ladies. But thanks.
あたしはそんなことないと思うわ。でも、ありがと。

つまり、ヴァネロペは表向きには「magicaly I'll start singing about my dream」について非常に懐疑的です。にも関わらず、そのOhMyDisneyを去った直後、ラルフからハンドルが手に入ったという連絡を受ける前、ヴァネロペはなぜか水たまりを覗き込みながら、次のような独り言を言っています。

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[Vanellope]
Come on song, come on. I'm REFLECTING!
歌よ出てこい、出てきて! あたし反射してるじゃん!!

What is that I want? What is my quest? What is my dream?
よし、あたしの望みはなに?あたしが探してるものは?あたしの夢って?

Raah! (OhMyDisneyの城に目をやり)Well, ladies I tried. No song for this princess I guess.(ポケットに手を入れてゴミを蹴飛ばすw)
はぁ。プリンセスのみんな、やってみたよ。でもこのプリンセスには歌はないみたい。

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ちなみにこのシーンで後ろに写っている「J・I・V・E」はなんの略称かわかりませんが、Jiveというのは俗語で「調子のいいことを言って人をだます/いいかげんなことを言う(英辞郎 on the web参照)」という意味がありますので、ヴァネロペはプリンセスたちに騙されたと(この時点では)思っているのを反映しているのかもしれません。


ただここで再度トライしていることからもわかるように、なんだかんだ言ってヴァネロペは自分にも歌が出て来て欲しかった、つまり自分をプリンセスの一人としてアイデンティファイしたかったんです。

ヴァネロペはプリンセスの素養を持っていることが、OhMyDisneyのシーンで明らかになっていて、それはラプンツェルの問うたこれでした。

youtu.be

[Rapunzel]
And now for the million-dollar question.
じゃあこれは一番大事な質問。
Do people assume all your problems got solved because a big strong man showed up?
大きな力持ちの男の人が出て来たことであなたの問題が解決されたと周りの人たちから思われてる?

[Venellope]
Yes! What is up with that?
そう!ほんとアレなんなのよ?

[Princesses]
She is a princess!
この子はプリンセスね!

ここの翻訳は色々争点になっていますが、(親がいないかどうかはおいておいても)唯一この質問に当てはまったことで、彼女はプリンセスの一人として認められます。
そしてティアナのセリフでは、

[Tiana]
That's what happens when a princess sings about her dream
プリンセスが自分の夢について歌うとそうなるのよ

つまりヴァネロペが本当に「プリンセス」としての素養を満たしているプリンセスだったら(ちょっとややこしい言い方だけど)、これも当てはまるはずなんです。
あのゴミを蹴っている時のヴァネロペの心境としては「やっぱり歌えないってことはあたしはホンモノのプリンセスじゃないのね。あーあ。」って感じなんだと思われます。

寄り道しすぎましたが、だ・か・ら この「I'm rhyming」はどうしても訳して欲しかったんです。「韻を踏んでる!!歌えてる!!」っていうこのヴァネロペの喜びは一ドルショップがどうこうよりもずっと大きく重要なはずです。
これこそがまさに彼女が自分自身をプリンセスだとアイデンティファイできた瞬間なんです!

 

熱くなりすぎました。つづけます。

 

[Shank]

Welcome Back, watch your head <おかえり気をつけて>
おかえり、頭上注意
おかえり、気をつけて

Hate to see you end up dead <危険がいっぱい>
あなたが死ぬとこ見たくない
死ぬのは早い

[A Thief]

Let's get this party rollin' <冷蔵庫お持ち帰り!>
さぁパーティはこれからだよ
さぁ パーティ始めようぜ

[Vanellope]

Is that appliance stolen? <あのおじさんドロボウ?>
あの電化製品盗まれてるの?
あれ盗んでってるの? 

[Shank]

We have <まあね>
ここには
ここには

[Butcher Boy]

Falling wires <電線注意>
切れて落ちてる電線
切れてる電線 

[Little Debbie]

Dumpster fires <燃えるゴミ>
ゴミ箱の炎
燃えてるゴミ箱 

[Clown]

Creepy clowns <ピエロだよ>
気味の悪いピエロ
おかしなピエロ 

[Felony]

And burning tires <タイヤはいかが?>
火のついて燃えてるタイヤ
焼けてるタイヤ

 

このあたりはどうしても一節ごとの音節数が少なすぎるのでいろんな遊びを盛り込むことが難しいです。 Dumpster FIreは燃えるゴミといいつつゴミ箱ごと燃えているので、吹替詞では「燃えるゴミ」というあえて普通の言い方を持ってくることでギャップでウケ狙いしようという翻訳の意図だったのだと思います。

次行きます。

[Shank]

That great white in the sewer <下水道のサメ>
下水道にいる あの大きな白いの(Great White Shark:ホオジロザメ
下水道の白い子

You'll be happy that you knew her <でもホントはいい子>
もう会ってて良かったと思うはずよ
前にも会ってるよね?

Great White Shark でホオジロザメなのですが、見たらわかるだろうということであえて白い子と言いました。その方がシャンクが可愛がっているのが伝わる気がしたからです。また、「You'll be happy that you knew her」というのも面白くて。
これは、最初にスローター・レースに足を踏み入れた時、このサメに二人は怯えてしまいます。で、シャンクはなんらかの形でヴァネロペがすでにこのサメにあっていることを知っていて、You'll be happyというのは前にあってたけどその印象とは本当は違うから、今もう一度紹介してあげると前に出会えててよかったと思えるはずだよ!っていう意味だと解釈できます。なので前にもあってるよね?という確認風にしました。

[Shark]

Dogs and cats, they sure taste great <ワンコニャンコ可愛いし>
犬さん、猫さん、もちろんとっても美味しい
犬さん 猫さん とっても美味しい

[Wolf]

With a side of license plate <ナンバープレートも>
ナンバープレートの付け合わせもついてくる
ナンバープレートの付け合わせ 

[Dog]

Some find us deplorable <かわいそうなオレたち>
ボクらを悲惨な状況だって見る人もいる
哀れなボクら

[Vanellope]

Well, I think you're adorable <そうかな?楽しそうだよ>
そうかな、あたしはとっても可愛いと思うよ
とっても可愛いと思うよ 

サメさんは、犬猫のことを「可愛い」とは言ってません。「味がすごくいい」と言ってます。スローター・レースの世界はシュガー・ラッシュのように「甘い」世界ではありません笑
むしろ、「可愛い」という評価を持ち込むのはヴァネロペの方です。これは重要だと共います。彼女はラルフが逃げ出したくなってしまうようなこの世界をadoreできる、愛せるのです。
ナンバープレートはメインディッシュである犬猫についてくる「付け合わせ」だそうです。

[Shank]

We may be a motley crew, but our hearts ring true <怖く見えても意外とピュア>
わたしたちは雑多な集団だけど、心は誠実なの
メンツはカオス でも誠実

[Tatoo Guy]

And just for you, a face tatoo <こころ込めてタトゥー>
そしたらキミだけ特別に、フェイスタトゥーを
キミだけにフェイスタトゥー 

元の英詞では、crew, true, tatoo で伸ばす部分で韻を踏んでいるので、ここではたまたま良い言葉が見つけられたので、「ツ」「ス」「つ」「トゥ」を合わせてみました。

 

[Vanellope]

My heart's in flight, and, wow, it's a blast <ワクワクがわぉ!止まんない>
心が飛んでるみたい うわぁ ホントに最高
心ウキウキ もう最高

Feels like my dreams are real at last <夢をついに見つけた!>
ようやくあたしの夢が現実になるみたいに感じる
ついに夢が叶うの

ここは、La La Landの車のシーンの引用の直後空を飛んでいるので、あのプラネタリウムのシーンや、Moulin RougeのYour Songのシーンを彷彿とさせます。要するにこれは本当に飛んでいるかどうかはともかく、彼女的に軽くなって上昇し飛んでいる気分になっていることが重要です。その感じを出すために響き的に浮いてそうなウキウキにしてみました(笑)。

[Shank]

No trace of a frown upon your face <もう何も迷わないで>
しかめっ面してたけど跡形もなく消えたね
悩みが消えたなら 

ここは、traceというのがトレースという言葉があるように跡、痕跡を意味しており、顔にしかめっ面をしていた跡がなくなっていることをシャンクが鋭く観察していうわけです。(シャンクの観察力というのもヴァネロペの気づいたザンギエフのムダ毛処理の話とつながってくるのですが今回は置いておきます。)

そして Nから始まっているので「悩み」というワードをチョイスしました。

[Vanellope]

Flying so fast <飛び立とう>
すごい速さで飛んで行こう
飛ばそう

すでに「飛んで」はいますし、「飛ばそう」とすることでスピードを飛ばしていく方にかかるなと思いこうしました。

[Shank]

Setting the pace <今こそ>
先頭に立ってリードして
先頭を

「set the pace」というのは、集団で走っている時に先頭に立つことで自らがレースのペースをつくるという意味です。「リードしよう」なども考えましたが、元がSから始まっているので、「先頭」を選びました。 

[Vanellope]

Living the life <生きよう>
人生を送ろう
生きよう

 

[Shank]

Loving the chase <レースに>
競争を愛しながら
競争に

 

[Vanellope]

Now is the time <あたしの>
いま時が来たの
いまこそ

 

[Shank]

Here is the place <居場所は>
ここがその場所
この場所で

 

[Both]

This Slaughter Race <このスローター・レース>
このスローター・レースが
そう スローター・レース 

この辺りはとくに深く解説することはありません。

[Vanellope]

I know I should go <帰れないよ>
わかってる 帰るべきだっていうのは
帰らなくちゃ

But home feels so slow <お菓子の国>
でもお家は何もかもがとってもゆっくりに感じる
でも 見つけたの

These roads are paved with dreams <探してたマイドリーム>
ここの道はたくさんの夢で敷き詰められてるんだもん
この夢の道 

ヴァネロペは「帰れないよ」とは言ってません。「帰らなくちゃいけないのはわかってる。でもお家はゆっくりすぎる」と感じています。その要素を入れたかったのですが、むしろそのあとの「These roads are paved with dreams」を大事にしたかったのでそちらを優先しました。

これは「pave」が舗装するという同士なので、「ここにある道路は夢で舗装されてる、夢で敷き詰められている、夢であふれている」というかなり洒落た言い回しになっています。「夢の道」という語にすることで、夢の溢れている道であることを反映するとともに、それをたどっていくことで夢に迎えるという意味合いも私が勝手に加えてしまいました。

[Clown]

Happy dreams, not creepy clown dreams <お嬢ちゃん死んでも知らないよ〜>
楽しい夢ね、奇妙なピエロの夢じゃなくてね
楽しい夢ね、ピエロが出ないやつ

ここについてはなぜ、吹替詞が「死んでも知らないよ」にしたのかよくわかりません。
ここもこちらの劇場ではかなり爆笑ポイントだったのですが、それはピエロの夢じゃないと言っているにも関わらずピエロが出て来てそれを言っているというギャップが面白いのです。そもそもピエロがいてもここは夢で溢れているというのがヴァネロペの視点なので、ヴァネロペがいかに観客である我々やラルフと価値観が違うかというのも示されます。

[Vanellope]

What would Ralph say <ラルフ ごめん>
ラルフはなんて言うかな?
なんて言うかな

If it turns out I stay <あたしは生きる>
もしあたしがここに残るってわかったら
でも 気づいちゃったの 

ここもまた、吹替詞が曲げてしまった大きなポイントだと思います。
ラルフに対しごめんとは言っていません。ラルフにごめんとは言っていません!
ヴァネロペがラルフに謝るのは、死にかけたのを助けてくれたあそこではじめて謝ります。

ちなみに全編の中で「sorry」という言葉は11回登場しており、そのうちラルフとヴァネロペの間で交わされたのはたったの4回のみ。

  1. ラルフ:自分が作ったコースのせいでヴァネロペがコースアウトしてしまった時
  2. ヴァネロペ:ゲームレスになって取り乱し、ラルフが単なる友達では不十分だと言ってしまった時
  3. ラルフ:クローンが生成されたことについて何をしたの?と問われてわからないと答える時
  4. ヴァネロペ:ラルフから半分のペンダントを渡され、壊してしまったことに気づいた時

特に注目すべきなのは、スローターレースがクラッシュしたあと、ラルフに助けられたヴァネロペがラルフに言うセリフにsorry は含まれていないとうことです。

[Vanellope]

Ralph, I messed up so bad.
ラルフ、あたしめちゃくちゃにしちゃった。

It's all because of me and my glitch.
これぜんぶあたしとあたしのグリッチのせいなの。

I should've just stayed with you instead of following some stupid dream!
バカみたいな夢を追いかけたりしないで、ただただラルフと一緒にいるべきだった!

I've ruined everything!
何もかも台無しにしちゃったよ!

「心配かけてごめん」くらい言っても良い気がするのですが、それは言いません。むしろここで言うのが「I should've just stayed with you」なのです。

ちなみにこれは先ほど出て来た「I know I should go」に対応しています。だからあそこは「帰れないよ」ではニュアンスが違いすぎる気がすると言うのもお分かりいただけるかと思います。

 

とにかく、これだけ「sorry」と言う言葉がタイミングを選ばれて使われている以上、勝手に一回ここで増やしてはマズイと思うんです。

(このようなキーワードで分析する考察はちまちまとツイッターの方で呟き始めようと思っています。後々このブログでもまとめるかもしれません。)

 

つづけます。

[Vanellope & Chorus]

In this place called Slaughter Race <このスローター・レースで>
スローター・レースって呼ばれてるこの場所に
あたしの居場所は スローター・レース 

[Vanellope]

In this place called Slaughter Race <このスローター・レースで>
スローター・レースって呼ばれてるこの場所に
居場所はスローター・レース

どうしても「あたしの居場所」というのを回収したかったのと、「スローター・レースで」という吹替詞だとスのところでウを伸ばしてしまうのが気持ち悪いということや、できるだけキーワードとなる部分は元のままにしたかったというのもあり、そしてIn thisというiから始まっているので「居場所」を盛り込めるなと気づいたのでこのようにしました。

 

おわりに

ということで、私がつけた訳詞やその音声によって不快な思いをさせてしまった場合は申し訳ありません。

でも、元の歌詞のニュアンスを私以外の方にも知っていただけたらという思いから、もし吹替詞が直訳に近かったらどうなっているのかをみる実験としてやらせていただきました。

最後までお読みいただいた方、そしてお粗末なものをお聞きいただいた方、本当にありがとうございました。

引き続き、この作品を分析していきたいと思います。