westergaard 作品分析

映画、ミュージカル、音楽、自分が好きなものを分析して語ります。

Broadway Frozen 新キャスト情報・オリジナルキャストの最終日など

ブローズンが公開1周年を前にしてキャストチェンジ

ブローズンこと、Frozen the Broadway Musicalは公演開始1周年となる3月22日を迎える前に早くも一部のオリジナルキャストが去ることが発表されました。

クリストフ、オラフ、ハンスを含めたメインキャラクター全員をオリジナルキャストで鑑賞したければ2月17日日曜日までのチケットを手に入れる必要があることが判明しています。

(注:それまでであっても急にキャストがスタンバイやアンダースタディのキャストに変更になることはございますので確実にオリジナルキャストで観られる保証はありません。基本的には全て当日劇場でその公演のキャストが公表されます。)

また、2月19日以降の新キャストについても情報が公開されましたのでいかに情報をまとめます。

 

発表された情報のまとめ

以下、playbill.comにて公表された情報を箇条書きでまとめました。

(ソースhttp://www.playbill.com/article/ryann-redmond-to-play-olaf-in-broadways-frozen-noah-j-ricketts-and-joe-carroll-also-among-new-principals 

  • ライアン・レドモンドが次期オラフ役に。オラフ役としては初の女性キャストとなります。

  • ジョー・キャロルが次期ハンス役に。

  • 現在のアンサンブルメンバーでクリストフのアンダースタディを勤めているノーア・J・リケッツが次期クリストフ役に。

  • 3人の新メインキャストは、219日火曜日から公演に参加。

f:id:ikyosuke203:20190131041414j:image(左から、新オラフ役レドモンド氏、新クリストフ役リケッツ氏、新ハンス役キャロル氏:写真はplaybill.comより)

  • オリジナルキャストのクリストフ役ジェラニ・アラディン、オラフ役のグレッグ・ヒルドゥレス、ハンス役のジョン・リドルの最終公演は217日日曜日に決定。
  • エルサ役ケイシー・レヴィーとアナ役パティ・ミュリンは、それぞれ契約延長が決まり、引き続きFrozenに残ります。
  • ウェーゼルトン公爵役ロバート・クレイトン、パビー役ティモシー・ヒューゲス、オーケン役ケヴィン・デル・アグィラ、スヴェン役アンドリュー・プリオッツィらも続投が決定。
  • また2019年の秋(日程不明)からは、北米ツアー(キャスト未発表)に出ることが既にディズニーから発表されています。

 

いつまでに鑑賞すべきか

クリストフ、オラフ、ハンスも含めたメインを全員オリジナルで見たけれ217日日曜日までのチケットを手に入れる必要があります!逆に新キャストが見たい方は2月19日火曜日以降のチケットを取るべし!アナとエルサのプリンシパルキャストは引き続きケイシー・レヴィーとパティ・ミュリンが務めます。 

 

また、ここからは私の予想になりますが、ケイシー、パティらは秋からはツアー公演に移り、そのタイミングで新しいアナとエルサが入り主要キャストは全部ガラッと変わる可能性もありそうです。また詳細な日程は発表されておらず、「秋」と言われていますが、夏頃からブロードウェイの舞台に出なくなることもあり得ます。

こちらは確定情報ではありませんので断言はできませんが、ツアーに出る可能性もあることを考慮すると、確実に2人をブロードウェイのステージで拝みたい方は、少なくとも夏以前には訪れておいた方が良さそうです。

 

また、スタンバイやアンダースタディの仕組みについても近いうちに説明する記事を公開しようと思います。

 

Toy Story 4 ボー・ピープに関する記事の和訳

【英文記事の抜粋和訳】Toy Story 4 に再登場するボー・ピープについて

今回は自分のメモ用というのが大きな目的になっていますが、せっかくなのでここに書こうと思いました。

 

 

今回の元は、こちらの記事

Joseph Jammeer Medina (Jan.28.2019) "Toy Story 4: Bo Peep Is Back In New Teaser And Poster! New Synopsis Revealed!" on LRM Online ( lrmonline.com )

f:id:ikyosuke203:20190129074303j:plain

Bo Peep (Toy Story 4)

こちらの記事より部分的に抜粋して私なりの訳をつけたいと思います。

 

 

今回話題になっているのが、アメリカ時間1月28日の朝に突如 Pixar/Disneyから公開された、ボー・ピープの登場するTeaser動画と、ポスターになっています。

 

そしてこの記事では Synopsis あらすじも入手したということで、監督のコメントも交えて紹介されています。

その部分について原文と対訳をならべて記していこうと思います。

 

***

 

<イントロ>

“Bo Peep is back!” Disney shared an in an announcement.

「ボー・ピープが帰ってくる」ディズニー社が発表のなかで明らかにしました。

 

“This long-lost friend of Woody, Buzz and the gang always shared a special connection with Woody, but they have not seen each other in years, and Bo has become chipped and faded over time. 

「この長年離れ離れになっていたウッディ、バズと仲間たちの友達(ボー・ピープ)は、ながらくずっとウッディと特別な関係を持っていましたが、長年の間顔をあわせることがありませんでした。そしてボーは時が経つにつれて、(陶器製の体が)かけたり、色も褪せました。」

 

Bo’s strength and sarcasm always belied her delicate porcelain exterior, and it turns out she’s an adventure-seeking free spirit who feels right at home on the road.

ボーの強靭さと皮肉さは、常に彼女の壊れやすい陶器製の体を差し置いて前面に出て(直訳:覆い隠し)彼女が道端こそが居場所(ホーム)であると感じるほど、冒険志向の自由な精神の持ち主だということが明らかになります。

 

When she and Woody are reunited under unlikely circumstances, they realize they’ve grown worlds apart when it comes to life as a toy.”

彼女とウッディが思いもよらない状況で再会した時、お互いのおもちゃとしての人生が全くかけ離れていたことを二人は認識するのです。」

 

***

 

<クーリー監督と声優ポッツ氏のインタビュー>

"Bo's taken control of her own destiny", said Toy Story 4 director Josh Cooley.

「ボーは自分の運命を自分でコントロールしています」とトイストーリー4の監督ジョシュ・クーリーは話しています。

 

"While Woody was watching Andy grow up, Bo gathered dust until she took upon herself to head out into the world. And when Woody shows up, they can't believe that they've found each other again."

「ウッディがアンディの成長を見守っていた一方、ボーは自身の選択で外の世界に飛び出すまでの間、埃をかぶって使用されずに放置されていました。そしてウッディが姿を現した時、二人はお互いを再び見つけたことを信じられないのです。」

 

Annie Potts returns as the voice of Bo Peep. "She is modern, independent, capable and confident," said Potts of her character.

アニー・ポッツ(一作目の時の声優)がボー・ピープの声優として戻ってきます。「彼女は現代的で、自立していて、力量があって、地震もあります」ポッツは自身の担当するキャラクターについて語ります。

"Bo is written and conceived to be inspiring as she has weathered life's ups and downs with grace. I aspire to that"

「ボーは、雨風にさらされる人生の浮き沈みに加え、上品さも持ち合わせており、その点で(観客にとって)刺激的になるように描かれ想定されています。まさに私が強く望むものです。」

 

***

 

<公式発表されたあらすじ>

"Woody (voice of Tom Hanks) has always been confident about his place in the world, and that his priority is taking care of his kid, whether that's Andy or Bonnie. 

「ウッディ(声優トム・ハンクス)は常に彼の居場所について自信を持ち続けてきており、彼にとっての優先事項は、アンディであろうとボニーであろうと、彼の持ち主の子どもの面倒をみることです。

So when Bonnie's beloved new craft-project-turned-toy, Forky (voice of Tony Hale), declares himself as "trash" and not a toy, Woody takes it upon himself to show Forky why he should embrace being a toy.

そのため、ボニーが工作プロジェクトで作って新しくおもちゃになったフォーキー(声優トニー・ヘイル)が自信を「ゴミ」でありおもちゃではないと主張した時、ウッディはフォーキーにおもちゃであることを受け入れるべき理由を説明します。

But when Bonnie takes the whole gang on her family's road trip excursion, Woody ends up on an unexpected detour that includes a reunion with his long-lost friend Bo Peep (voice of Annie Potts).

しかし、ボニーがおもちゃの仲間たちを家族で行く小旅行に連れて行くと、ウッディは予期せぬ寄り道をすることになり、そこで長年離れ離れになっていた友、ボー・ピープとの再会を果たすのです。

After years of being on her own, Bo's adventurous spirit and life on the road belie her delicate porcelain exterior.

何年もの間一人で生きてきた結果、ボーの冒険精神と道端での暮らしは、彼女の壊れやすい陶器製の体をそぐわないものにしていました。

As Woody and Bo realize they're worlds apart when it comes to life as a toy, they soon come to find that's the least of their worries."

ウッディとボーは、二人のおもちゃとしての人生という点において、あまりにかけ離れていることを認識するにつれて、それこそ自分たちがほとんど全く心配したことがないことだったことに気づくのです。」

 

*** 

(翻訳終わり)

 

 

ということで、ブローズンの姉妹や、シュガーラッシュオンラインのプリンセスたち同様「ドレスを脱ぎ」「パンツ姿」になって再登場することになるボー・ピープ。

 

そして異常なほど真っ白だった肌はポリコレ意識の補正ではなく「色褪せ」(あるいはいわゆるおもちゃの「日焼け」というものかも)であるということも明らかに。

リークしていた画像にはありませんでしたがティザーポスターではかつてのスカートをケープとして活用していることも確認できます。

 

「埃まみれになっていたところを自分の意思で外の世界へ出た」という設定や、「陶器製の割れやすい体にそぐわないアクティブな生活をしている」といった表現もなかなか現代のコンテクストを意識している感があって、ディズニーの描く女性像研究をしている自分としては非常に興味深いです。

 

そして、バグズライフのアッタ姫以降、レミーのおいしいレストランのコレットやインクレディブルシリーズのイラスティガールことヘレン、そしてプリンセスの革命児にしてスタジオ違いのいじめられっ子メリダのように「タフな女性」を描き続けてきたピクサーが、ついにその歴史の中で例外でもあった男たちがウッディ探しに冒険に行く際(トイ・ストーリー2)には留守番をしていたボー・ピープをこのように描くというのは非常に面白い展開です。

 

引き続き注目して生きたいと思います。

今回はここまでということで。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*Frozen Broadway* 21. Finale / Let It Go

21. Finale / Let It Go

f:id:ikyosuke203:20191027003841j:plain

位置付け

アナが自身の姉への愛の行為(An Act of True Love)によって自分の凍りついた心を解かしたあと、エルサはアナからの愛と自分の心の中にあるアナへの愛に気づき、二人でてを繋いで一緒に手を(舞台縁を覆っているの)柱にかざすと、二人が触った部分から凍りついたアレンデールが氷解していきます。

 

クリストフはアナに向けて「You're amazing!! May I kiss you?」と申し出て跪きます。アナは映画と同じように「We may」と言って二人はキスをします。

起き上がってくるハンスをアナが右手パンチで処理し、エルサはみんなに怪我がないか確認します。

ここからフィナーレの曲が始まります。

 

歌詞と対訳

 

[Elsa] 

Is everyone alright?
みんな無事かしら?

 

[A Man] 

We are, your Majesty.
はい、陛下。

 

[Duke] 

Rest assured.
ご安心ください。

 

[Elsa] 

There's so much I've longed to say
ずっと言いたかったことがたくさんあるの

 

[Anna]

Then say it all, beginning with today
なら言ってよ、今日から始めればいいのよ

 

[Elsa]

It's like a dream
まるで夢のよう

I thought could never be
現実になると思ってなかった

 

[Anna] 

Elsa! You're free
エルサ!もう自由なんだよ

Let it go, let it go

Show us what you can do
何ができるのか見せてよ

 

[Anna, Kristoff & Olaf] 

Let it go, let it go

 

[Elsa]

The magic one is you
魔法なのはアナ、あなたよ

'Cause here we stand
だってこうしてここに一緒に立ってる

In the light of day
陽の光の当たる中

Let the sun shine on
陽よ照らせ

 

I take this warmth within and sending up above
この内なる温もりを天高く送り上げ

 

[Elsa & Anna]

Goodbye to dark and fear let's fill this world with light and love
暗闇や恐怖には別れを告げて この世界を光と愛で溢れさせ

 

[Elsa, Anna, Kristoff & Olaf]

And here surrounded by a family at last
そしてようやくここで家族に囲まれて

 

[All] 

We never going back
決して戻らない

The past is in the past
すべては過ぎたこと

 

Let it go, let it go

And we'll rise like the break of dawn
日の出のように立ち上がり

Let it go, let it go

The fear and cold are gone
恐怖と寒さは消え去った

Here we stand 
ここが私たちの居場所

In the light of day
陽の光の当たる中

Let our true love grow
私たちの真実の愛を育ませよう

Let it go
 

 

 

続きを読む

*Frozen Broadway* 20. Colder by the Minute

20. Colder by the Minute

f:id:ikyosuke203:20191027003738j:plain

位置付け

クライマックスの曲 20. Colder by the Minute。タイトルは映画で象徴的だったウェーゼルトン公爵のセリフからきています。

 

この曲は、ハンスがエルサの死刑を宣告するところから始まります。そして逃げ出すエルサ。それを追うハンス。

オラフの助けでクリストフを探しに外へ出たアナ。そして自分の心の中のアナへの愛に気づき、戻って来るクリストフ(戻る決心をするシーンは映画と異なり描かれないのがちょっと残念。まあ場面転換多すぎちゃうからっていう理由なのだろうけど。)

 

4人が吹き荒れる吹雪で視界が真っ白になる中、凍りついたアレンデールの中を駆け巡ります。

  

歌詞と対訳

 

[Ensemble] 

And born of cold and winter air
冷たい冬の空気から生まれた

The storm inside her grew
エルサの内なる嵐が大きくなってきた

The skies closed in, the wind picked up
空が迫ってきて、風は勢いを増し

Her mind grew dark, the cold wind blew
彼女の思考は闇に堕ちていき、冷たい風が吹く

 

[Hans] 

I charge Queen Elsa of Arendelle with treason and sentence her to death.
アレンデールのエルサ女王を反逆罪で死刑とする

 

[Elsa] 

What?! No!
何?!そんな!

 

[Ensemble] 

Nothing could contain
もはや何も

The tempest in her brain
 彼女の脳内の大吹雪を
封じ込めることはできなかった

And the storm raged on
そして嵐が勢いを増し

And they were ravaged by the wrath of snow
人々は雪の反撃を受けた

And the wind blew fear
風が恐怖を吹き寄せ

And the storm would grow
嵐は強さを増していく

Colder by the minute
Colder by the minute
刻々と寒く 刻々と寒く

 

 

[Anna] 

Keep walking, Anna, don't stop, don't rest
歩き続けるのよアナ、止まらない、休まない

He's out here somewhere
クリストフはこの辺りのどこかにいる

I can feel the ice in my chest
胸に氷があるのを感じる

In my heart, I don't care
心臓に、でも気にしない

I've got to reach you through the storm somehow
なんとしてもこの嵐の中あなたの元に辿りつかなくちゃ

Because the one thing that can save me now
だって私が助かる唯一の方法は 

Is your love
あなたの愛なの

 

[Kristoff] 

Anna...
アナ…

 

[Anna] 

True love...
真実の愛…

 

[Kristoff]

 Where are you?
どこにいるんだ?

 

[Ensemble] 

Colder by the minute

Colder by the minute
刻々と寒く 刻々と寒く

 

[Elsa] 

Can't run, can't stop. can't breathe, can't live and I can't die
走れない、止まれない、息ができない、生きられない、でも死ぬこともできない

 

[Hans]

Elsa, listen!
エルサ、よく聞け!

 

[Elsa] 

Can't hope to fix this mess, yet somehow still I have to try
この大惨事を元に戻せるとは望めない
それでもなんとかやってみなくちゃいけないの

 

[Hans]

Please surrender!
頼む、降参してくれ!

 

[Elsa] 

Conceal, don't feel, don't feel, get back into the cage
隠して、感じない、感じない、私の中のモンスターよ、檻に戻って

[Hans]

End this winter!
この冬を終わらせてくれ!

 

[Elsa]

I've unleashed a monster, I cannot stop the monster!
モンスターを解き放ってしまった、私には止められない!

 

[Hans]

And no harm will come to you

君を傷つけることはないから!

 

[Ensemble] 

And the north wind howled
北風が唸り

And they were trapped within the walls of white
4人は吹雪という白い壁の中に閉じ込められた

 

[Anna (Kristoff)] 

Don't give into the ice (Anna..)
氷に負けちゃダメ(アナ…)

Don't give into the cold (If you can hear my voice, hold on Anna...)
寒さに負けちゃダメ (もし俺の声が聞こえるなら、持ちこたえてくれ、アナ…)

True love...
真実の愛…

 

[Elsa]

I can't!
できない!

 

[Hans]

Elsa!
エルサ!

 

[Ensemble] 

And the storm raged on
そして嵐が勢いを増し

And nature tore the world apart
自然の力が世界を引き裂いた

And all was lost
もはやこれまでか

To the frozen heart
凍りついた心は

 

[Anna]

Kristoff...
クリストフ…

 

[Kristoff]

Anna...
アナ…

 

[Elsa]

Monster...
モンスター…

 

[Hans]

Elsa...
エルサ…

 

[Ensemble] 

Colder by the minute

Colder by the minute
刻々と寒く 刻々と寒く

 

 

[Hans]

Elsa! You can't run from this.
エルサ!逃れられないぞ!

 

[Elsa]

Where is my sister? Where is Anna?
妹はどこ
?アナはどこなの?

 

[Hans]

Anna? She returned from the mountain weak and cold. You froze her heart.
アナ?君の妹なら、山から戻ったよ。衰弱して凍えた状態でね!君が心(心臓)を凍らせたんだ!

 

[Elsa]

No...
そんな…

 

[Hans]

I tried to save her, but it was too late. Her skin was ice, her hair turned white.
僕は救おうとしたさ。でも手遅れだっった。肌は凍りつき、髪は真っ白。

Your sister is dead, because of you.
君の妹は死んだよ。君のせいで。

  

[Ensemble] 

And the wind blew soft
そして風は穏やかに吹き

And in her grief, the storm stood still
エルサの深い悲しみの中、嵐は静止した

 

[Anna] 

Kristoff?
クリストフ?

 

 

[Anna] 

 Elsa?
エルサ?

 

続きを読む

*Frozen Broadway* 19. True Love

19. True Love

f:id:ikyosuke203:20191027003711j:plain

位置付け

以外にもアナのソロ曲は映画本編にはなく、舞台でもこの一曲だけ。(まあ実質 Do You Want To Build a Snowman? はソロ曲みたいなものだけど、なんかあんまりソロ曲というイメージがない) 

さて、17. Kristoff Lullaby ののちに心を決めたクリストフはアナを抱いて城へ急いでいる中、18. Monster でエルサは自らハンスたちに降伏し、全員が城に戻って来ました。

クリストフはアナを守衛に引き渡すと、映画と同じように、スヴェンが無言でこれでいいのか?と問います。しかしクリストフは、「We DID the right thing.」と言い聞かせるように言って、アナを残してさって行きます。背景にはクリストフとアナのデュエットソング What Do You Know About Love? のメロディが寂しく演奏されています。

続いて氷かけているアナのいるところへハンスがやって来ます。

アナ: Hans, kiss me! Only an act of true love can thaw a frozen heart.
ハンス: A True Love's Kiss? If only there was someone out there who loved you.
アナ:You said you did!
ハンス:I lied! (←これ映画にないセリフ) As a thirteenth in line in my own kingdom...(以下略)

で、途中から歌に切り替わります。 これはサントラに入っていませんが3度目の「ハンスの歌」リプライズ

 

 

アナ: Hans, kiss me! Only an act of true love can thaw a frozen heart.
ハンス: A True Love's Kiss? If only there was someone out there who loved you.
アナ:You said you did!
ハンス:I lied! (←これ映画にないセリフ) As a thirteenth in line in my own kingdom...(以下略)

で、途中から歌に切り替わります。 これはサントラに入っていませんが3度目の「ハンスの歌」リプライズ

[Hans]

Once I kill Elsa

あとはエルサを殺して

And give you this ring

君にこの指輪をやれば

I'm King Hans of Arendelle

僕はアレンデールのハンス王だ

 

短すぎるのでCDに入らなかったのだと思いますが、コレ結構大事だと思っていて、
1回目 (5. Hans of the Southern Isles)Just Hans of Southern Isles

2回目 (12. Hans of the Southern Isles (Reprise))Prince Hans of Southern Isles

3回目 (無題だけどつけるなら (Rperise 2) ってとこ)King Hans of Arendelle
このように、回数を経るごとに、ハンスのアレンデールにおける立ち位置が変わって行く。しかもすべて自分からの「名乗り」であるというところがポイントで、それが同じメロディに乗せて歌われることで、どういう風にハンスが自身の位置付けを変化させていっているかがちゃんと描かれています。このあたりぜひ書籍『Frozen Heart』のハンスパートと並行してみていくと面白いです。

 

そして、ハンスが部屋に鍵をかけてアナを閉じ込めるとすぐに、ピアノのイントロが始まります。

 


Patti Murin - True Love (From "Frozen: The Broadway Musical" / Acoustic)

 

 

歌詞と対訳

 

[Anna] 

I've sat alone in this room before

前にもこの部屋に一人ぼっちで座ってたわね

Hours and hours on end

何時間も何時間もずっと

I know this delusional wish 

わかってる これは間違った希望だって

The door would open to reveal a friend

ドアが開いてそこに友達が現れるだなんてことは

 

 

I know this solitude

わかってる この孤独

I know this kind of cold

わかってる この種の寒さ

But I had faith in what the stories told

それでも私は信じてたの 語られる「物語」を

Of true love

真実の愛の物語

How I'd find true love

どうしたら真実の愛なんて見つけられるんだろう

 

 

And here I am in this room again

そうして再びこの部屋にいる自分

Just as lost and small

喪失感にみまわれ、縮こまってる

That lonely girl with a desperate heart

絶望している孤独な少女

Is who I am after all

結局のところ それが私

There's no escaping her

そこから逃れる道はなく

But now the dream is gone

でも今や夢も敗れ

Because I spent a lifetime counting on

だって私はそれだけを頼りに人生を過ごして来たんだもん

True love, true love

真実の愛

 

 

I was looking for a fairytale

私がみつけようとしてたのは「お伽話」

And dove headfirst into his

それで軽率にも彼の腕に真っ先に飛び込んだの

Turns out you can't find love

わかったの 愛は見つけられないんだって

If you don't know what it is

愛が何かもわかってないんだったら

 

  

 

And now it's clear

でももうはっきりわかった

I'll never leave this room

私はこの部屋からも出られないってこと

It ends as it began

私の人生はこうして終わるの、はじまりと同じように

With no one but myself to blame

責められるのはたったひとり自分だけ

I played my part in the play

私は自分の人生という劇の中で 自分の役割は演じきったわ

Dreaming got me here

夢みてたせいで こんなことになったの

And yet the dream won't die

でも それでも夢は完全にはなくならないの

I can't wish it away

どこかへ消し去るなんてできないの

No matter how hard I try

どれほど頑張って消そうとしても

True love

True love

True love

真実の愛

 

 

続きを読む

Ralph Breaks the Internet (シュガー・ラッシュ・オンライン)考察 [ネタバレあり]

概要

この記事では、『Ralph Breaks the Internet(邦題:シュガー・ラッシュ・オンライン)』のネタバレを含みながら、そのストーリーをディズニーの「プリンセス・ストーリー」という文脈に位置付けた時にどのようにアップデートされているかを分析・考察していきます。

 

分析のアウトライン

1)友達(親友・バディ)像

  • 「信頼」があれば、離れていても大丈夫

  • 夢を応援してくれない、相手を束縛するのは「友情」じゃない

2)プリンセス像

 書き換えられる部分

  • 「夢」は変更していい

  • 「ホーム」には帰らなくてもいい

 温存される部分

  • 自分のハンドルは自分で握る:「夢=自由」

  • 「I wish song」を歌う でも歌えるのは自分の心からの望みだけ 与えられた使命ではダメ(Moana)

3)ヒーロー(=BIG STRONG MAN)像

  • 「You’re welcome」は危険のサイン(Moana)

  • 常に相手を幸せにするのが自分の役目だなんて勘違いすべきではない

4)ヴィラン

  • 誰もがヴィランに成りうる(Frozen・Maleficent)

  • 物語の構造としても「ヴィラン」は出てこない世界観(Moana)

5)魔法使い像

  • 衰退する「魔女」「魔法」「真実の愛のキス」(Brave・Frozen)

  • 都合のいい「魔法のような手段」は存在しない→問題には自分で地道に向き合うこと(Brave・Frozen)

 

(物語の大筋を既にご存知の方は、スクロールしていただいて「続きを読む」以降の分析のみお読みいただくこともできます。)

 

物語の大筋

まずはざっくりとストーリーを3幕に分けて、それぞれの段階でのラルフとヴァネロペの軸となる思考をまとめると次のようになります。 

初期状態

ラルフ:「ヴァネロペが一緒にいてくれれば他には何もいらない」<ヴァネロペ依存症>

ヴァネロペ:「シュガーラッシュは退屈、もっと自由で刺激のある新しい世界に行きたい」<典型的なプリンセス願望> 

ACT1

ラルフ:「ヴァネロペを喜ばせるにはハンドルを手に入れるしかない、そうすれば元の生活と元のヴァネロペが戻ってくるはず」

ヴァネロペ:「自分のホーム(=シュガーラッシュ)、自分のあるべき姿(=レーサー)を取り戻すためにハンドルを手に入れなきゃ」

ACT2

ラルフ:「ヴァネロペを喜ばせるにはハンドルを手に入れるしかない、そのためならどれだけ痛い目にあっても、どれだけネットで誹謗中傷されても構わない」

ヴァネロペ:「外に広がる広大な自由な世界を知ってしまった、自分の居場所は本当にシュガーラッシュなの?」 

ACT3

ラルフ:「ヴァネロペをシャンクに奪われてちゃう!居場所を勘違いしているヴァネロペを自分が救ってあげないと」

ヴァネロペ:「ラルフには言いづらい、だけど見つけてしまった自分の居場所、もう元いた場所には戻れない」

  

分析のアプローチ

この作品、とにかく扱っているメッセージが多すぎるので自分の中でも要素に分けて整理してみようと思いました。

 

劇場を出た直後のツイートで、私は次のように書きました。

「もともとヴィランズを別視点から見て、再定義しようというとこからスタートしたシリーズ

Ralph Breaks the Internetでは、プリンセス像、ヒーロー像、ヴィランズ像、魔女・魔法使い像といったディズニーが扱うメインのものを一斉に書き換えようという試みに見えた 大革命ではないけど、多分現時点での集大成か」

 

そこで今回は、

メインテーマであり全体を通して描かれる

1)友達(親友・バディ)像

に着目しながら、まずはストーリーをなぞり、その上で

2)プリンセス像(主な比較対象:モアナ)

3)ヒーロー像(主な比較対象:マウイ)

4)ヴィランズ像(主な比較対象:エルサ、マレフィセント、テ・フィティ)

5)魔女・魔法使い像(主な比較対象:『メリダとおそろしの森』の魔女)

がどのように従来の姿から書き換えられているかを分析していこうと思います。

また、描くかとみせかけて描かない、

6)子育てをする「理想の親」像

についても最後に少し触れようと思います。

  

1)友達(親友・バディ)像

- 依存から信頼へ:自分の中の「insecurity」の解消は自分でするしかない -

 

ACT1:

シュガーラッシュで起こることはすべて把握してしまって毎日同じことしか起こらないシュガーラッシュはつまらない、もっと刺激が欲しいと思い始めるヴァネロペ。

一方、悪役としてプログラムされたせいでみんなから嫌われていたが一昨目でヴァネロペを助けたことで、唯一自分を気にかけてくれる親友ができ、彼女と毎日いられるならそれ以上の望みは何もないというラルフ。

コースが3つしかないことに不満を言ったヴァネロペを喜ばせようと、新しいコースを作ったところヴァネロペは喜んだけど、プレイしていた子どもは状況がわからず壊れたと思い強くひねってしまい、さらに取れたハンドルを戻そうとしたオーナーがハンドルを壊してしまう。

ebayに代わりのパーツがあるが生産終了済みの商品のため高値になっており、オーナーはゲームを破棄することに決め、ヴァネロペたちシュガーラッシュの住人は無職かつホームレスに。

つまらなかったとは言え、生きがいだったレースを失い、これから毎日何を過ごして暮らせばいいのか、と途方にくれるヴァネロペ。

一方ラルフは仕事しないで毎日親友の自分と遊んで暮らせるなんてパラダイスじゃないか、と。

ラルフのスイッチを入れてしまうのは、次の会話。

ヴァネロペ:If I’m not a racer anymore, then what AM I?

ラルフ:You’re my best friend!

ヴァネロペ:That’s not ENOUGH!

 

本作のキーワードは「insecure」。この時点でヴァネロペは居場所・ホームを失い、また生きがいであった仕事を失った結果、自分が何者であるかわからなくなっており、未来も見えないため非常に不安定:insecure になっています。

一方ラルフは、現状に満足しないヴァネロペを喜ばせようと思った結果、さらにヴァネロペを追い込んでしまったことに負い目を感じつつも、自分の親友であるだけでは足りないと言われたことで、彼女が何を求めているのか理解できず不安定:insecureになっています。

毎晩仕事帰りにヴァネロペと飲みに行くタッパーのバーでも、タッパーに「Insecure なのはどっちだよ。(むしろお前だろ?)」と言われる始末。

 

「ヴァネロペを喜ばせるにはハンドルを手に入れるしかない」と考えたラルフはヴァネロペを連れて新しく設置されたWIFIルーターを通ってインターネットの世界へ。

ebayに着いた時には、ハンドルの入札終了まであと30秒というところ。金額であることを理解せずにありえない額まで釣り上げてしまったラルフ。落札したものの支払いの手段がない二人は、24時間以内にお金を用意する方法として、ゲームのアイテムを奪ってきて売る商売をしているJPスパムリーのアドバイスで、Slaughter Race というオンラインレースゲームに忍び込み、ボスキャラであるシャンクの車を奪おうとしますが、捕まってしまいます。

シャンクは、ヴァネロペのレースの才能を褒めた上で、ネット上でお金を稼ぐもっといい方法としてBuzzzTubeを紹介してくれます。

BuzzzTubeにおいては、視聴者がハートを送るとそれがお金に換算されるという仕組みになっており、広告収入云々のないシンプルな仕組みになっています。BuzzzTubeのキュレーターを務めるアルゴリズムであるイエスの助けの元で、ラルフが出演する動画を撮り一気に再生回数が伸ばして一晩でハートを集めまくります。

ヴァネロペはそれを助けるために、ポップアップ広告を持って宣伝をして回ることにします。

でもラルフは動画を撮り続けなきゃいけないのでそれは離れ離れになることを意味します。

ラルフが言うには、「僕らは靴と靴下みたいに一緒じゃ無いと成り立たない関係なんだ!」ろ。

ヴァネロペは、「だからこそ一瞬くらい離れても大丈夫なんだ」と主張しますが、それに対しラルフは

「お前は kid (ラルフが通常ヴァネロペに対して使う呼び名としての意味と、子どもという文字通りの意味が重なっている)なんだから、迷子になったらどうするんだ?」と。

ヴァネロペが「じゃああんたは大人なの?」となじるとラルフは「少なくとも大きいし。」と。(BIG STRONG MANのフラグ)

結局イエスが専用のブラウザ(=乗り物)と、連絡を取り合うBuzzzFace?という正方形の折りたたみ式スマホみたいな端末を二人にくれる、ということでラルフは了承。

別れ際に、

ラルフ:We’ve never been a part for 6 years. I’m going to miss you.

ヴァネロペ:You’ll be fine. If your video goes viral we can get home! (この時点ではヴァネロペは、シャンクやSlaughter Raceに惹かれつつも、まだシュガーラッシュに帰ることがゴール。)

ラルフは見送った後で、イエスに行き先を確認するとゲーム地区に送ろうとしていることが発覚。

地図で目に入ったのは紛れもなく「Slaughter Race」。

ラルフは「危険だから」と言って「Family Friendly」なサイトの方がいい、なんなら事実上はプリンセスな訳だしこのお城のマークのとことかどうかな?ということで OhMyDisney.com へ行き先を変更。プリンセスたちの元へ導いてしまったのも実はラルフが原因を作っているという。

 

ここまでが前半。多分時間にしてもここまが半分くらいだったのではないかと思います。

このように本作の前半では、「現状に満足しない」親友ヴァネロペを喜ばせるために翻弄するラルフの姿が一貫して描かれます。

また、ヴァネロペのことを信用していない、一人前の一人の「大人」として扱っていない、どこかで保護してあげなきゃという思いが働いてしまっている様子が上手く描かれます。

ジェンダーも反映されていると思う一方で、いわゆる友達や恋人同士、また親子関係としても当てはまるような多様な読みが可能な描き方になっているのが秀逸。

 

ACT2:

ヴァネロペは OhMyDisney.com でラルフの動画へユーザーたちを導くポップアップ広告を持って宣伝活動をしていると、警備員であるストームトルーパーたちに捕らえられそうになる。逃げ込んだ先はプリンセスの楽屋。

警戒するプリンセスたちに対して彼女は自分が設定上のプリンセスであることを言いますが信じてもらえません、しかし彼女がプリンセスであると認めてもらえた要素が一つだけありました。それは、「力持ちで体の大きい男のおかげで問題が解決したと思われている」ことに対する反発心。

ヴァネロペを受け入れてくれたプリンセスたちは、シンデレラの友達であるネズミたちに頼んでヴァネロペが着ているのと同じ、ガウンよりも着心地の良さそうな部屋着に着替えます。アリエルがこういうシャツが着て見たかったという想いを Part of Your World に乗せて歌うと、スポットライトが当たり伴奏が流れてくるのを見て、ヴァネロペが質問すると、ティアナが「プリンセスが自分の夢を歌う時にはこうなるの」と。

本当に今欲しいものについて歌ってみたらと促されたヴァネロペが「ハンドル(Steering wheel)」の歌を歌おうとしても何も起きない。ムーラン、ポカホンタス、アリエル、モアナ、白雪姫、シンデレラが言うには「重要な水面を見つめていないと歌が出てこないかもしれない」と。

 

一方、イエスと一緒に動画を作り続けているラルフ。あと30分というところでアップロードが止まってしまい、間に合わないかもしれないと思ったラルフは、半ば強引にハートを集めに行きます。その途中で「コメント欄」という場所に足を踏み入れてしまいます。

そこで目にしたのは、ハートの数にも関わらず、「ラルフの動画はアホ」「馬鹿っぽい」「太ってて醜い」などたくさん書かれている誹謗中傷のコメント。

「ネットにおける一番大事なルールはコメントを見ないこと。これはあなたの問題じゃなくて彼らの問題だから(First rule of the internet, DO NOT READ COMEENTS. It’s not about you, it’s about them!)」となだめるイエスに対してラルフは「俺はもともと嫌われ者だったから気にならない。ヴァネロペが俺のことを好き(like)でいてくれるなら、他の人なんていらない。ヴァネロペがくれたこのハート(=「YOU’RE MY HERO」メダル)だけが本当に重要なんだ。(つまりBuzzzTubeのいいね=ハートは手段でしかなく、同様にコメントも別に重要な問題では無い、と。)」

このセリフは一見潔くて美しいようでいて、ラルフの不安定さを非常によく表しています。

「ヴァネロペが好きでいてくれる限り」といいつつも彼の本心は、「ヴァネロペがいつ何時も自分と一緒にいてくれる限り」なのでしょう。

 

この時点でラルフは必要だった額以上のお金をBuzzzTubeを通して稼ぐことを達成。

ヴァネロペにBuzzFaceで連絡を入れると、ヴァネロペは水面に向かって歌が出てくるのを待っているところでした。

嬉しい報告にヴァネロペは一瞬喜びますが、ラルフの「Finally our life goes back to normal!」というセリフで表情が曇ります。

本当に自分が望んでいることはなんなのだろうか、と考えていると自然と歌が口から出て来て、ラルフがなんて言うかは不安だけど、自分のいるべき場所は「Slaughter Race」なんだと確信。

 

無事にシュガーラッシュのハンドルの支払いは完了し、ゲームセンターに発送されることに。しかし約束したはずのヴァネロペの姿が見当たりません。ラルフが再び連絡を入れてもヴァネロペはシャンクと話し込んでいて気づきません。バイブレーションで落ちた反動で通話状態になってしまい、さらにヴァネロペ側はサイレントモードに設定されていたため、ラルフからだけ一方的に会話が聞ける状態に。

ここで再びラルフのスイッチを入れてしまった、ヴァネロペとシャンクの会話。

 

ヴァネロペ:「ラルフに言えないことなんだけど、正直ここに着た瞬間からシュガーラッシュよりも自分のホームだって感じたの。これこそ私の夢なの。何が起こるか本当にわからない。でもラルフの夢は毎日同じことをすること。」

シャンク:「私が何年も前に学んだことを一つ教えるなら、友達同士が同じ夢を見なきゃいけないっていう決まりはどこにもないってこと。生活が元に戻ったら、いつでもここに遊びにきていいよ。」

ヴァネロペ:「元に戻る(go back to normal)なんて望んでない。ここにいることこそが私の望みなの!」

言葉も出ないラルフはここで通話を切ります。

 

ACT3:

ラルフは、「ヴァネロペは俺の親友なはずだ。自分の知ってるヴァネロペは絶対に俺を見捨てたりなんてしないはず。ヴァネロペはシャンクに洗脳されたんだ。」と考えます。

ラルフの中では「Slaughter Race = ヴァネロペにとって確実に悪影響のあるゲーム」という位置付けなのです。

ウイルスで「Slaughter Race」の進みを遅くしてつまらなくさせればヴァネロペは帰ってくるだろうと考えたラルフは、最初にお金の稼ぎ方を紹介してくれたJPスパムリーに頼んで、ウイルスの手に入るダークネットへ向かいます。

ウイルスメーカーのダブルダンにゲームをつまらなくするようなウイルスを売ってくれるように頼むと、「アーサー」というゲームの中における不安定な(insecure)プログラムを見つけてそれを複製しまくる、彼の言うところの「insecurity virus」を紹介される。ラルフが確認するとゲームの中にとどめている限りは誰も傷つくことはないとダブルダン。

 

ヴァネロペは、「Slaughter Race」に残り、シュガーラッシュには帰らないことをまだラルフに伝えていません。シャンクに促されつつも、ラルフにその決断を伝えることで拒絶されるのではないかという不安から、踏み出せずに言います。それが彼女の心境をinsecureにしており、勝手にglitchする症状が発生しています。

そのため、ラルフが実際にアーサーを放ったところ、ヴァネロペのinsecureをコピーし始め、Slaughter Race内のあらゆるものがglitchし始めます。

ウイルスが検知されウェブサイトがリセットされようとしている中、異変を察知したラルフが間一髪でヴァネロペを助け出します。

この時点でラルフはヴァネロペにとってはある意味ヒーロー。

ラルフは自分がしたことを正直に説明しようとしますが、ヴァネロペに盗み聞きしたり、ウイルスを持ち込んだりしたことを咎められると、お前もシュガーラッシュや俺のことを見捨てようとした以上責任はあるじゃないかと怒鳴ってしまいます。

ヴァネロペはこんなことをするなんて酷いといって、「YOU’RE MY HERO」メダルをインターネットの奥底へ捨ててしまいます。

ヴァネロペを救出する際に破ったファイアーウォールの穴からアーサーがインターネットに抜け出し、ヴァネロペを失ったことで取り乱しているラルフのinsecurityを検知し、無数に複製し続けます。

この過程でラルフのクローンが大量に生成されインターネット中を破壊し始めます。

 

ヴァネロペと合流したラルフは、検索エンジンのノウズモアからアンチウイルス地区へクローンを導けば一瞬で全てを消去できると知らされます。

エスのパーソナルブラウザでクローンラルフたちを導きながらアンチウイルス地区へ急ぐ一行。

ラルフはゾンビのようにヴァネロペを追いかけ続ける大量のクローンを見ながら「こうしてみると自分がどれだけヴァネロペに固執して自暴自棄になっていたかがよくわかる」と呟きます。

 

でも最近のディズニー作品では当然そうであるように、他人の力を頼った解決方法はうまくいきません。

アンチウイルス地区にたどり着く直前で、クローンの大群に襲われてPinterestビルに突っ込みます。

ヴァネロペとイエスを逃してラルフが一人でクローンの大群が形成したジャイアントラルフと闘いますが、勝ち目はありません。

ラルフは振り払われて、ヴァネロペはジャイアントラルフに捕まってしまいます。

ジャイアントラルフはヴァネロペを捕まえると、インターネットの世界で一番高いGoogleの頂上に登り、満足そうにヴァネロペを眺めます。

ラルフが再び攻撃を仕掛けると今度はラルフを握りつぶそうとするジャイアントラルフ。

ヴァネロペはその状況に耐えかねて、「私の親友を殺さないで!私が唯一の友達になってずっと一緒にいれば満足なんでしょ?」と叫ぶ。

それを聞いたホンモノのラルフは、「そんなこと自分は望んでないはずだ!友達っていうのはそういうものじゃない!友達なら夢を応援してあげるべきだ!確かに彼女を手放すのは心が痛むかもしれない、でも大丈夫。どんなに離れても親友は親友でいられる、信用しあってさえいれば!」そうジャイアントラルフに言い聞かせます。

斯くしてラルフの心のinsecurity:不安が解消されると、ジャイアントラルフは心臓にあたる部分から消えていきます。

 

ジャイアントラルフが消えて足場がなくなったラルフ。

JPスパムリーが助けに来ますが、ラルフは重すぎて彼のポンコツなブラウザでは強度が足りずすり抜けてしまいます。

下で見ていたプリンセスたちがラルフを助けようと試みます。

モアナが波を作り、アリエルが螺旋状にかたちづくり、ジャスミンのカーペットに乗ったエルサが(まるでインクレディブルのフロゾンのように)凍らせて滑り台にし時間を稼ぐ。

その間に、ラプンツェルの髪の毛をオーロラが糸車で編み込んで、シンデレラのネズミたちがが複数のガウンを縫い付けることでパラシュートを作り、ベルがバットで打った白雪姫の毒林檎をムーランが四等分にしその爆発でパラシュートが開くようにします。完成したものをメリダの矢で飛ばして、白雪姫のガウンを着せることで意識を失ったラルフにうまく装着させ、ポカホンタスの起こした風でベッドのある場所に着地させます。

白雪姫のドレスを着たまま意識のない状態のラルフに対し、ティアナがカエルの姿のナヴィーンにキスをさせて目覚めさせます。

 

ヴァネロペは再起動したあとの「Slaughter Race」にコードも組み込んでもらい、死んでも再生するように設定してもらった上で、「Slaughter Race」を新たなホームにすることにします。

ラルフは、「割れちゃったけどそのおかげで半分ずつ持っていられる」といって、ヴァネロペが投げた際に割れてしまった「YOU’RE MY HERO」メダルの半分を渡します。二人はお互いが見えなくなるまで手を振り続けます。

 

ラルフは、ヴァネロペと過ごす時間が減った分、読書会に参加したり、他のゲームのメンバーを招いてパーティーをしたり、いろいろな人と関わるようになりました。

そして次の電話は、ヴァネロペがしてくるまで待つ、と。

これまでのディズニーにおけるバディものは、ピクサー作品も含めて一緒にいることがとにかく大事でした。それを離れていても信頼し合っていれば大丈夫というところに昇華させた点はバディものとしてのディズニー作品をアップデートさせた点であると言ってよいでしょう。

 

続きを読む

ブロードウェイ・ミュージカル「キング・コング」レポート

これまでこのブログでは「Frozen the Broadway Musical」のみの分析記事を書いて来ましたが、今回はブロードウェイの最新作「King Kong」をレポートしたいと思います。


********

第一幕

時は、1930年代、戦間期大恐慌時代のニューヨーク。
建設中の高層ビルがそびえ立つ空から、ビルの間を降りていきます。労働者たちがクレーンに捕まり降りてくる。
ステージは半円で、背景が全面LEDスクリーン。オープニングアクトから映像がすごい。もはや映画のようなカメラワークの背景にシンクロするように舞台上のアクターやプロップスが動いていく。

 

Queen of New York、すなわちブロードウェイのスターになることを夢見て出てきたアフリカンアメリカンの女性アンは、オーディションに落ちまくりストリートの生活。(それをブロードウェイのスターが演じてると言うのも笑える)
行き場もなく長居していたレストランで店員にひどい対応をされているところを助けてくれた売れない映画監督カールのオファーに応じて船に乗り込む。

 

船の舞台装置がまたすごい。ステージの一部が傾いて船になる。この動きと背景の海の映像が合わさって本当に航海しているかのよう。
なかなか島につかないことに苛立つ船長は、こんなの詐欺だと言って船員たちとともにカールを殺そうとするも、アンがそれを拒み偽物の爆弾をプロップスにして迫真の演技で船長らを脅し、カールの命と撮影プロジェクトを救う。もちろん彼女自身のデビューという目的達成のためではあるが。

 

ようやく島に着いて登場するリアルサイズのキングコング。舞台上のパペットなのに映画ばりのスリル感。
アンがキングコングに捕まったにもかかわらずカメラを回し続けるカール。しかし結局カメラは破壊されフィルムは失われる。そんな中、キングコングはアンを連れて走り去る。光の網で表現されるジャングルの中を駆け巡るスローモーション風の演出は舞台ならでは。

 

アンはキングコングの寝ぐらまで連れて行かれるも、怯えて何もできなくなるどころか、彼とコミュニケーションをとり、理解しようとし始める。襲ってきた大蛇から彼女をかばって戦ってくれて、怪我したキングコングをアンが治癒する姿は、美女と野獣で狼から助けてくれたビーストを介抱するベルの姿そのもの。キングコングは島の海岸で月を眺めながら、アンの歌を聴きながら眠りにつきます。
アンがベルと異なるのは、彼女は人間がここの島にいるべきではないと悟って、逃げ出す点。

 

一方フィルムを失ったカールはこのままでは島まで航海して来た分の投資をペイできないということで、キングコングを見世物として連れて帰ることを決意し、戻る。

 

カールらと遭遇したアンは、アンを助けるよりもカメラを優先したことを咎めた上で、キングコングが自分を追ってくる可能性があるから早く島を去ったほうがいいと提案するも、カールはキングコングは映画より舞台向きだ、と言う。(このあたりもメタ的な発言と捉えると結構挑発的で笑える)

 

アンが叫べばキングコングを誘き寄せられると考えたカールはアンを、これまで彼女の才能を見出さなかった世間への怒りを込めて叫べと促し、アンは叫ぶ、というか吠える(笑)カールの算段通りキングコングはやってきてガスによって睡らせられ捕まる。
何をしてしまったの?と問うアンに対し、カールは「我々はたった今世界を変えた」と答え、1幕終了。


 

第二幕

キングコングを連れてニューヨークに戻ったところからスタート。

カールは「これ以上に最高な『Beauty and the Beast』のストーリーはない」と大興奮。ここまでのパロディが意図的であったことがセリフによって明かされます。

一方アンはキングコングに間違ったことをしてしまったと謝ります。それでも「自分はずっとスターになりたかった。あなたもスターになるのよ。」と彼女はまだ夢を諦めていません。

 

続いてキングコングを見つけたストーリーを伝える劇中劇のリハーサルが行われます。
劇中劇に登場する監督役(その名も「Fake Carl」(笑)本当にこれでクレジットされてるから笑ってしまう)は、本物よりもmasculineなマッチョな男性が演じていて彼のheroicさが強調されています。対照的にアンは本人役で演じさせられていて、本物の監督は、アンはただ叫べばいいと指示します。よりheroicに描かれる監督役に対するfemininityの強調はコメディタッチで描かれるだけに非常に皮肉な演出。カールの構想では、アンが叫ぶとホンモノのキングコングを舞台に登場させて観客を驚かすという演出なのです。

 

アンは、キングコングのことを想うと、こんなことはできないと言って劇場を飛び出します。「代わりの女優はいくらでもいる。成功するためには今叫ぶしかないんだ」と無理無理カールに諭されて楽屋に戻り、舞台に向けた準備をしていると、船で声をかけてきてくれた監督の助手であるランピーがやってきて、再びアンに声をかけます。彼は、アンの中に感染症で亡くなった自分の娘と似たものを感じると言い、特にこの恐慌の時代人は成功することに取り憑かれて善を見失う、と語りかけます。

 

そんな中いよいよキングコングのお披露目の舞台が始まり、キングコング登場の合図であるアンの叫びのキューを監督が出します。
しかし彼女は、もうお金のために叫ぶことはできない、と言って舞台に手錠をかけて連れてこられたキングコングに対し、今こそ反撃すべきだと言います。
反抗した彼女をスタッフが連行すると、キングコングは彼女を助け出そうと手錠を破壊してアンを連れて劇場の外へ。
ニューヨークの街の中を駆け巡りエンパイアステートビルに登り始めます。
縦縞のスクリーンが降りてきてそこへ投射される窓の光がどんどん下へ降りていくことで、キングコングが登っていく様子が再現されます。

 

アンのせいでキングコングは逃げてしまい、劇場も破壊されたと落ち込むカールの元へ助手のランピーが現れ、もうこんな仕事は続けられないと告げる。カールはお前は頼る人がいなくなるだろうと言うと、「ひとりになるのはあなただ」と監督に告げて立ち去る。カールはこれ以降登場しない。

 

エンパイアステートの頂上(当時世界最高なのでようするに「Top of the World」)で2人は追いかけてくる警察や消防を見下しながら、アンは言います。
「みて、みんなが私たちに注目している。私はこうして注目されることを目指してきた。でもどれだけ名前を知られても顔を知られても、あなたが何者であるかは誰もわかってくれない。」
そして島での時と同じように月を眺めながら、アンは再びキングコングに歌いかけます。

 

すると当時の最新兵器である複葉機が近づいてきて、キングコングを周りから襲撃。ビルから落下。

エンパイアステートの頂上に残されたアンは、誰もあなたのことを忘れないだろうと歌います。



*********


まだサウンドトラックがでていないのと、歌詞が公表されていないのでこれ以上詳しい分析は現時点ではできませんが、ざっくりと覚えている範囲でのレポートでした。