westergaard 作品分析

映画、ミュージカル、音楽、自分が好きなものを分析して語ります。

*Frozen Broadway* 07. Dangerous to Dream 歌詞

07. Dangerous to Dream

f:id:ikyosuke203:20191027003132j:plain

位置付け

舞台にはエルサを中心にそばに司教と召使い。

エルサは直前の曲、 06. Queen Anointed の終盤部分で、エルサはあの紫のマントを羽織らされます。

この描写、とっても大事な気がします。

映画版であのマントは、初めから身につけた状態で戴冠式のシーンがスタートします。

しかし、舞台では司教の前で、召使いにつけてもらう場面が挟まれることで、エルサにとって、マント(=女王としての責務の象徴)が「背負わされたもの」であることがビジュアルとして表現されるわけです。

ここがあることで、 "Let It Go" で吹き飛ばすことの意義が引き立ちます。

エルサが背負わされた国に対する女王としての責任を放棄(Let go)することを意味するのがより分かりやすくなるわけです。

(実際、映画版の絵的にもエルサはマントを引きずってノースマウンテンを登っているのも、その "重さ" からかもしれません。)

戴冠式の儀式が進行する中で、エルサが心中を打ち明ける形で心の声として歌われるのが、この 07. Dangerous to Dream です。

 

"Dangerous" は、映画版でも、"Frozen Heart" の歌詞の中で、"Beautiful, powerful, dangerous, cold!" と、キーワードの1つとして登場し、エルサが自分自身を Danger と捉えるようになっていくことが描かれます。

"Dream" については、映画ではあまり強調されていませんでした。

セリフとして発せられた中で、"dream" という単語が使われるのは(私が見落としていなければ)5回。

アナが "For the First Time in Forever" で2回、ハンスとの会話の中で1回、クリストフにハンスの目の色が "dreamy" だという時に1回。

あとは、オラフが "In Summer" で、

When life gets rough

つらい時には

I like to hold on to my dream

夢にしがみつこう

という詞の中で使いますが、エルサが口にしたセリフの中に "dream" はありません。

もちろん、オラフのセリフをエルサの本音とする説は多々あり、これもその一つだろうと私も解釈していたこともあり、今回、エルサのソロナンバーのタイトルに "dream" が入ってて、なかなか興奮しました。 

ブローズンでは、02. A Little Bit of You の記事で紹介したように、エルサがオラフに付け加えた自分らしい要素(a little bit of Elsa)の一つとして、「夢見るのが好き」というのをあげています。

ikyosuke.hatenablog.com

ここから、ブローズンのエルサは、オラフが(普通であれば溶けてしまう)夏の世界へ行くことを夢見るように、起こらないだろうことを想像し夢見るのが好きな人として描かれていると取られることができます。

 

では一体エルサは何を夢見ているのか、またそれがなぜ Dangerous 危険なのか、歌詞を分析したいと思います。

 


"Dangerous to Dream" from FROZEN on Broadway (Official Lyric Video)

歌詞と対訳

f:id:ikyosuke203:20191027003248j:plain

では歌詞と対訳です。

 

 

[Elsa]

I can't be what you expect of me

みんなが期待する女王にはなれないわ

But I'm trying every day with all I do

それでも毎日出来る限り努力をしてるの

And do not say

口にはしないけど

Here on the edge of the abyss

こうして崖っぷちに立ってるのも

Knowing everything in my whole life has lead to this

私の運命が導いたんだってわかってる

And so I pull inside myself

だから全てを内に秘めて

Close the walls put up my guard

壁で閉ざして警戒してる

I've practiced every single day for this

この日のために毎日毎日練習してきた

So why is it so hard

だから難なくできるはずよね?

 

'Cause I can't show you

だって見せられないんだもの

I'm not cold as I seem

思われてるほど冷たい人じゃないってことを

There are things you cannot know

みんなが知ってはならないことがある

And it's dangerous to dream

そんなこと夢見るなんて危険

 

[Anna]

Sorry, I'm late!

遅れてすみません!

 

[Elsa]

I know I'll never see that sunny day

わかってる 私が二度とあんな輝く日を過ごせないこと

When this trial is finally through

この試練がついに終わったら

And it could just be me and you

あなたと私で二人きりになれる

I can't dwell on what we've lost

私たちが失ったものをくやくや悩んではいられない

And our secrecy and silence comes at such a cost

私たちの秘密や黙秘がこれほどの犠牲を生むとは

 

I wish I could tell the truth

本当のことを言えたらいいのに

Show you who's behind the door

閉ざした扉のこちら側にいる本当の自分を見せられたらいいのに

I wish you knew what all this pantomime

And pageantry was for

この振る舞いや演技を何のためにしているのか

あなたが知っててくれたらいいのに

I have to be so cautious

とても用心深くしていないといけない私

And you're so extreme

あなたはかけ離れてるわよね

We're different, you and I

あなたと私は違うのよ

And it's dangerous to dream

こんなこと夢見るのは危険よね

 

It's dangerous to wish

I could make choices of my own

こんなことを願うのは危険

私が自分で決断できるなんてことを

Dangerous to even have that thought

そんなこと思うことさえ危険だわ

 

I'm dangerous just standing here

For everyone to see

私は危険なの

大勢の前でここに立っているだけでも

 

If I let go of rules

もし「きまり」を捨てて自由になったら

Who knows how dangerous I'd be?

私がどんなに危険だか、誰が知っているかしら?

 

[Bishop]

Your Majesty, the gloves

陛下、手袋を

 

[Elsa]

Why right now would I make this mistake?

いまここでミスを犯すわけないよね?

How could I let my concentration break?

集中を切らしてしまうなんてあり得ないわよね?

"Conceal... Don't feel..."

"Conceal... Don't feel..."

"Conceal... Don't feel..."

隠して感じないように

 

[Bishop]

Sem hon heldr inum helgum eignum

Ok krýnd í þessum helga stað

Ek té fram fyrir yðr...

Queen Elsa of Arendelle!

アレンデールのエルサ女王!

 

[Ensemble]

Queen anointed

聖別されし女王

Our chosen daughter

我らが選ばれし女性

Our blessed queen behold!

我らの神聖な女王が即位された!

 

[Elsa]

I can't believe that I'm standing here

信じられないわ

今こうしてここに立ってること

Did I really make it through?

本当に何事もなく終わったの?

"Father, I did it!"

お父様、私やったわ!

Now, what do I do?

これからどうしたらいいの?

I can't stop smiling, how strange

嬉しくて微笑みが止まらないわ 変な感じね

Does this mean that things are different?

これでもう全てが変わったってこと?

Could they really change?

本当に世界が変わるのかな?

 

And could I open up the door

扉を開け放てるの?

And finally see you, face to face

ようやくあなたと顔を合わせられるの?

I guess the queen can change the rules

女王はきまり変えることはできるはずだけど

But not the reasons they're in place

その「きまり」が定められている理由を変えるのはムリね

I can't be what you expect of me

やっぱり私はあなたが期待するような人にはなれないわ

And Im not what I seem

私はみんなに思われてるような人じゃない

But I would love to know you

それでも私はあなたのことをもっと知りたい

Is it dangerous to dream?

これって危険なことかしら?

 

 

 

 解釈と解説

f:id:ikyosuke203:20191027003328j:plain

 それでは、歌詞を改めて見ながら、私なりの解釈を語っていきます。

 

[Elsa]

I can't be what you expect of me

みんなが期待する女王にはなれないわ

But I'm trying every day with all I do

それでも毎日出来る限り努力をしてるの

And do not say

口にはしないけど

Here on the edge of the abyss

こうして崖っぷちに立ってるのも

Knowing everything in my whole life has lead to this

私の運命が導いたんだってわかってる

And so I pull inside myself

だから全てを内に秘めて

Close the walls put up my guard

壁で閉ざして警戒してる

I've practiced every single day for this

この日のために毎日毎日練習してきた

So why is it so hard

だから難なくできるはずよね?

 

"pull inside myself" "Conceal, don't fell, don't let them know" の言い換え。 "Close the walls put up my guard" は比喩的な表現でもありますが、城門や扉を閉めることで、物理的にも行われているわけです。ですからこれは "Don't let them in, don't let them see" に当たると捉えられるでしょう。

また、"I've practiced every single day for this"  の「この日のために」という表現は、03. Do You Want to Build a Snowman? の回を見ていただくと、追加された父アグナル王のエルサへのセリフの中に、ずっと戴冠式を意識してきたことがわかるようなセリフが追加されています。

 

( 03. Do You Want to Build a Snowman? )

[King Agnarr]

"Good. But there will come a day when you have to stand before your people without them. You must be prepared for everything, Elsa. Now again."

良かった。でもいずれ、手袋を外して人前に立たなければならない日が来る。

エルサ、どんなことにも対応できるように備えないといけない。

じゃあ、もう一度。

詳しくはこちら参照。

ikyosuke.hatenablog.com

 

 

'Cause I can't show you

だって見せられないんだもの

I'm not cold as I seem

思われてるほど冷たい人じゃないってことを

There are things you cannot know

みんなが知ってはならないことがある

And it's dangerous to dream

そんなこと夢見るなんて危険

 

 

マントを背負わされたエルサ。周りには、戴冠式に出席しに来た来賓たち。

左右一人ずつ代わる代わるにエルサのところへきて挨拶していく。

 

まず注目したいはここ。

"I'm not cold as I seem" (思われてるほど冷たい人じゃないってことを)

4年前、"Let It Go" を解釈したい、という思いからFrozen分析沼にハマった私からすると、"Let It Go" に出てくるワードはみんなキーワードだと思ってます。

特に "cold" は、"The cold never bothered me anyway" を理解するポイントになるかと思っています。

ここでは、人と関わりをあまり持たない「冷たい」と、していますが、どうなのでしょうか。まだ、この段階ではハッキリということができませんが、今後検討していきたいと思います。 "Colder by the Minute" という曲がクライマックスでも出てきますし、ブローズンではますます "cold" は重要なキーワードになってきます。

 

続いて、この状況で歌われる部分に出て来る、 "you" は、「みんな」つまり、エルサにとって自分の力、魔法について知らないあらゆる人たち、を指す言葉として訳出しました。

英詞を理解する場合、 "you", "they" など対象がはっきりしない人称代名詞が指すのが誰なのかを文脈的に、歌詞であれば対比の構造などをヒントに、舞台の場合であれば演出をヒントに追っていくことが解釈のための道筋となります。

  

[Anna]

Sorry, I'm late!

遅れてすみません!

 

ここでハンスとお喋りしていたせいで遅れて入ってきたアナが登場します。

舞台の中央で座り込み、エルサがその後ろに立った状態で歌が続きます。

エルサの意識がアナへと向かいます。

これにより、アナの登場前までは、 "you" が、エルサの秘密を知らないみんなを指す一般的な "you" として使われていましたが、ここからの "you" はアナのことを指すようになる、と解釈できます。

 

[Elsa]

I know I'll never see that sunny day

わかってる 私が二度とあんな輝く日を過ごせないこと

 

エルサが、二度と見ることがないだろう "sunny day" というのは、もちろん劇冒頭の

"Let the Sun Shine On" していた時の状態のことだと考えられ、両親によって歌われるフレーズで言えば "together we can keep the storm at bay"の状態でしょう。

 

また、エルサが誤ってアナを傷つけHidden Folksに治癒してもらった後、父アグナルの判断でエルサ隔離が決まった際の、母イデュナのフレーズ "back to be a family again" があり得ない、とエルサが考えていることが "I'll never see that sunny day" から読み取れるかもしれません。

"Let the Sun Shine On?" についてはこちら参照。

ikyosuke.hatenablog.com

 

 

 

When this trial is finally through

この試練がついに終わったら

And it could just be me and you

あなたと私で二人きりになれる

 

"this trial" が何を指すのか。終わったらアナと二人きりになれる、とのことですので、戴冠式のことでしょう。エルサは "For the First Time in Forever" 

"But it's only for today / It's agony to wait"

でも今日だけだもの/待つのが辛いわ(早く終わって欲しいわ)

と歌っていますから、とにかく早く終わることを願っています。

ここからエルサは、戴冠式を "trial" つまり「課された試練」だと捉えていることがわかります。そして終わったら二人きりになれる、と言っていることから、エルサもアナと二人きりになりたいという思いを持っていることもわかります。

  

I can't dwell on what we've lost

私たちが失ったものをくやくや悩んではいられない

And our secrecy and silence comes at such a cost

私たちの秘密や黙秘がこれほどの犠牲を生むとは

 

 

短編(中編?)オラアドのオープニングナンバー、 "Ring in the Season" では、 "We'll make up for all we have missed in the past" などと歌ってますね。

このような、楽しく過ごせるはずだったのに、それがかなわなかった過去、それがエルサとアナにはずっとつきまとっています。それこそが、この歌詞でいう、"what we've lost" 「失ったもの」なのでしょう。

 

  

I wish I could tell the truth

本当のことを言えたらいいのに

Show you who's behind the door

閉ざした扉のこちら側にいる本当の自分を見せられたらいいのに

I wish you knew what all this pantomime

And pageantry was for

この振る舞いや演技を何のためにしているのか

あなたが知っててくれたらいいのに

 

本当のことを言いたいし、アナが雪だるま作りたい?って呼びかけ続けたドアの向こうにいた本当の自分を見せたい、と願っているんです。

願っているけどできない、それがエルサのジレンマです。

それができないのは、 "It's best for her, it's best for me." のロジックがエルサの行動の全てを支配しているから。エルサを支配するこのロジックについては、こちらの記事参照。

ikyosuke.hatenablog.com

(なぜ雪だるま作ろうの前の曲をサントラに入れなかった!まだ言う)

 

 

I have to be so cautious

とても用心深くしていないといけない私

And you're so extreme

あなたはかけ離れてるわよね

We're different, you and I

あなたと私は違うのよ

And it's dangerous to dream

こんなこと夢見るのは危険よね


さて、そろそろ気になりはじめる "its dangerous to dream" の真意。

 "I wish I could tell the truth / Show you whos behind the door"

 本当のことを言えたらいいのに/

ドアの向こうにいる本当の自分を見せられたらいいのに

「アナ(あるいはアナを含めたあらゆる人たち)に本当のことを言って、本当の自分を見せられたらいいのに、と思ってる。でも、こんなこと夢見るなんて危険よね。」

それが、"Its dangerous to dream" の真意かと解釈してます。

続けます。

 

It's dangerous to wish

I could make choices of my own

こんなことを願うのは危険

私が自分で決断できるなんてことを

Dangerous to even have that thought

そんなこと思うことさえ危険だわ

 

これ(=秘密、力、魔法=本当の自分 を暴露すること) は自分で自分の都合の良いように判断していいことではない、と思ってます。

エルサの決断には必ず "they" =自分以外の人たちの存在 が強くつきまとうのです。

これがエルサの苦難。次の部分では "everyone" と言い換えられていますが。

 

I'm dangerous just standing here

For everyone to see

私は危険なの

大勢の前でここに立っているだけでも

 

If I let go of rules

もし「きまり」を捨てて自由になったら

Who knows how dangerous I'd be?

私がどんなに危険だか、誰が知っているかしら?

 

ここで初めて、"Im dangerous" と言います。エルサは自分が他の人にとって危険だと認識しています。

そして "LET GO" きました!

言わずとしれた "Let It Go" 。これを本質的に理解するのも it に解釈の余地があるから難しいし、人によって解釈が異なるし、だから議論ができるし、楽しいですよね。

 

で、ここではなにを "let go" すると言っているかというと、

If I let go of rules

もし「きまり」を捨てて自由になったら

「もしもルールから解き放たれたら」つまり、「ルールから自由になったら」、「ルールがなくなったら」、「ルールを無視したら、破ったら」

Who knows how dangerous I'd be?

私がどんなに危険だか、誰が知っているかしら?

 つまり、「誰もまだ見たことがないくらいに危険である」ということです。

もちろんエルサもずっと抑えてきましたから、自分でもどのくらい何ができるのか、何をしでかしてしまうのか、わからないのです。

だからこそエルサは恐怖に支配されています。何ができるのかやってみたことがないからこそ、ただ、危険だとしかわからないのです。

自分で何ができるのかを知るためには、"Let It Go" まで待たねばなりません。

つまり、"Let It Go""It" の一つには、ここでいう、"rule" が含まれることが明確に示された、とも捉えられます。

 

そして今までつけることで安心してきた手袋を外す時がきます。父アグナルの言った、

"a day you have to stand in front of your people without them" (手袋を外して国の人々の前に立てねばならない日)が今まさに現実になろうとしているのです。

 

[Bishop]

Your Majesty, the gloves

陛下、手袋を

  

ここで手袋を外しますが、映画と違う点があります。

外した手袋を預かるのはなんと、他の誰でもなく、アナなのです!

 

[Elsa]

Why right now would I make this mistake?

いまここでミスを犯すわけないよね?

How could I let my concentration break?

集中を切らしてしまうなんてあり得ないわよね?

"Conceal... Don't feel..."

"Conceal... Don't feel..."

"Conceal... Don't feel..."

隠して感じないように

 

エルサは自分に言い聞かせます。

"For the First Time in Forever" で自分で歌っていたように "Make one wrong move and everyone will know" (一つ間違えれば、みんなに知られてしまう)ですから、ミス一つ許されません。

映画では、手元からどんどん凍っていく様子がクローズアップされたショットが入ることで緊迫感が高まりますが、舞台のため寄りのショットは使えません。

音楽と、司教の映画と同じ古ノルド語のセリフ、エルサが繰り返す、 "Conceal, dont feel" によってその緊迫感が描写されます。

 

[Bishop]

Sem hon heldr inum helgum eignum

Ok krýnd í þessum helga stað

Ek té fram fyrir yðr...

Queen Elsa of Arendelle!

アレンデールのエルサ女王!

 

[Ensemble]

Queen anointed

聖別されし女王

Our chosen daughter

我らが選ばれし女性

Our blessed queen behold!

我らの神聖な女王が即位された!

 

この曲の直前の曲、 "Queen Anointed" がリプライズされます

 

そして、そのまま舞踏会のシーンへ。

映画版のような「北欧」な音楽ではなく、 "Queen Anointed" をワルツ調にアレンジしたもう少し「ディズニープリンセス」なイメージの音楽が流れる舞踏会です。

 

[Elsa]

I can't believe that I'm standing here

信じられないわ

今こうしてここに立ってること

Did I really make it through?

本当に何事もなく終わったの?

"Father, I did it!"

お父様、私やったわ!

 

戴冠式という "trial" 試練を、"make one wrong move" / "make mistake" することもなく、なんとか乗り越え、「成功」させたエルサは、そんな自分が信じられないようです。

まるで、初めてひとりでおつかいに行けた子どものような無邪気さで、"Father I did it!" と、亡きアグナル父に向かって語りかけます。

まさか大人になったエルサの無邪気さがここで感じられるとは思いませんでした。

(エルサプこと "Frozen Fever" でのエルサはもちろん無邪気さで一杯ですが、Cassie エルサの、高貴な雰囲気の中に挟まれた数少ない無邪気モーメントは必見。(何の宣伝?笑))

  

Now, what do I do?

これからどうしたらいいの?

I can't stop smiling, how strange

嬉しくて微笑みが止まらないわ 変な感じね

 

エルサは幼少期の頃から、父アグナルに、この「試練」に向けてあらゆることを準備しろ、と言われてきて、それが全てでした。それが無事に終わった今、どうしていいのかわからないのです。

嬉しくてニヤニヤが止まらない彼女は問います。

 

Does this mean that things are different?

これでもう全てが変わったってこと?

Could they really change?

本当に世界が変わるのかな?

 

"Could they really change?" を、本当に世界が変わるのかな?と訳してますが、 "they" は、一つ前の "things" を指すと思われて、

"things are different" というのは、「前とはすっかり変わった」という意味になりますので、「あらゆることが」=「世界が」と転じさせてます。

今のエルサにとっては、まるっきり変わった世界「A Whole New World」を迎えたのではないか、くらいに思っているかもしれません。

今回、 "For the First Time in Forever" における "A chance to change my lonely world" というアナのフレーズは削除されましたが、エルサも同じように思っていてもいいかなと察します。当然、アナが孤独を感じて居たのと同じか、それ以上にエルサも辛い思いをして来たはずでしょうから。

  

And could I open up the door

扉を開け放てるの?

And finally see you, face to face

ようやくあなたと顔を合わせられるの?

 

この歌の後に入るナンバーこそ、ハンス王子とアナによる "Love is an Open Door" な訳ですが、エルサだって扉を開けたかったんです。

それなのに、口論になった時、アナに「あなたは、人や世界を "shut out" することしか知らない」と言われてしまうのです。辛い…辛すぎる…

そしてエルサの無力感が自分の口で語られます。 

 

I guess the queen can change the rules

女王はきまり変えることはできるはずだけど

But not the reasons they're in place

その「きまり」が定められている理由を変えるのはムリね

 

戴冠式という試練は無事に、何事もなくのりこえたけれども、結局自分の力を理解してもらうことはできそうにない。

自分が全てを閉ざして秘密にしていなきゃいけない理由が変わったわけではないし、買えることはできない。だからなんでも決められる女王といっても、自分の持って生まれたものからは自由になれない。

だから、この歌の冒頭に出てきたフレーズが繰り返されます。

I can't be what you expect of me

やっぱり私はあなたが期待するような人にはなれないわ

ここの状態から、実は何も変われなかったことに気づくのです。

 

And I'm not what I seem

私はみんなに思われてるような人じゃない

"cold" ここでは繰り返されません。

ミュージカルなどでは繰り返されるから大事なキーワードという場合もありますが、この作品の場合は繰り返しが多いので、繰り返されないものが逆に大事ということもありますね。( "Fixer Upper" なんかはすごく良い例)

そして印象的なエンディング。

 

But I would love to know you

それでも私はあなたのことをもっと知りたい

Is it dangerous to dream?

これって危険なことかしら?

 

この歌が終わった直後、あの

Elsa: Hi.

Anna: Hi me? Ummm... hi.

の、会話になるんです。

 

つ!ま!り!!

あそこのエルサの最初の "Hi." は、かなりいろんな想いの詰まった、"Hi." なんです。

ただの "Hi." なんかではないんです。

 

アナに本当のことを伝えたくて仕方なくて仕方なくて、でもどうしようそんなことしたらどうなるかわからない。

やっぱり、理解してもらえるなんて夢見るのは、危険よね

って自分を納得させながらも、ほんの少しばかりアナに真実を伝えられないかなって期待しての、 "Hi." だったんです!!

 

熱くなりましたが、これをわかって、 "Dangerous to Dream" を聴くともうなんだか、嬉しいやら悲しいやらで胸がいっぱいになります。

この曲は、日本でもYouTubeで公式が出しているものを聴くことが出来ますので、これを読まれた後で一度聴いてみてください。

 


"Dangerous to Dream" from FROZEN on Broadway (Official Lyric Video)

 

 

 他のナンバーも更新中。ブローズン関連記事一覧はコチラ↓↓↓